経団連・中西会長 ご三家の日立化成売却も原発は前のめり

経団連・中西会長 ご三家の日立化成売却も原発は前のめり

経団連・中西会長(C)日刊ゲンダイ

「過去に固執したらロクなことがない」 

 経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)は、平成の30年を振り返って凋落著しい電機業界や半導体事業についてこう言明した(日本経済新聞社“令和を歩む”5月3日)。「良いモノを作れば売れるという価値観が通じなくなり、大赤字になった事業が次々と消えた」(同)というのが理由だ。 

 その言葉通りということであろうか。日立製作所はグループの中核会社で、日立金属とともに「ご三家」と呼ばれてきた日立化成を売却する方針を固めた。1910年の創業以来、日本の製造業を牽引してきた日立。ものづくりの基盤となる素材を担ってきた日立化成の売却は「過去の固執からの脱却」なのか。

 日立は日立化成株の51%を保有する親会社。しかし、日立化成では昨年、検査データの改ざんなどの不正が発覚。日立は保有株について複数の事業会社や投資ファンドと売却交渉に入っている。

「売却は、ものづくりからデジタルへの転換を急ぐ日立の強烈なメッセージだ」(市場関係者)と受け止められている。

 日立化成の売却は日立金属の前身、戸畑鋳物設立以来、培ってきたものづくりからの決別であろうが、「もうひとつの過去」といっていい原発事業からは決別するどころか、「化石燃料を使い切った後、原子力以外に生活や工業を支えるエネルギーはない」(中西会長)と、一層前のめりになっている。

 日立は英原発事業の凍結により、19年3月期決算で約3000億円の特別損失を計上し、5900億円を見込んでいた当期利益の半分弱が吹き飛んだ。それでも原発事業は継続・発展させるというのは、国内の電力事業に力を入れていく意思表示か。「海外が駄目でも、国内があるさという戦略転換」(電力アナリスト)という見方が強い。

 原発事業では東芝がウェスチングハウスでこけて、会社存続の危機に瀕したのは記憶に新しい。原発という過去に固執することこそ、ロクなことはないのだが……。

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