「いきなりステーキ」のペッパーフード 株価急騰で囁かれる再編劇

「いきなりステーキ」のペッパーフード 株価急騰で囁かれる再編劇

大ブームを巻き起こした(C)日刊ゲンダイ

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「いきなり!ステーキ」などを展開するペッパーフードサービス(一瀬邦夫社長)の株価が急騰している。

「緊急事態宣言の全面解除を受け、営業自粛の緩和期待が株価を押し上げている面があるが、株価上昇の要因はそればかりではない」(大手証券幹部)というから興味深い。

 鍵は6月1日に効力が発生する会社分割による新会社の設立が握っている。

 同社が4月30日の取締役会で決議した内容によると、設立される新会社は「株式会社JP」で、資本金は1000万円、ペッパーフードサービスの100%出資子会社となる。代表者は一瀬邦夫氏。新会社に分割・承継されるのは主力のペッパーランチ事業で、直近の売上高は80億7400万円(2019年12月期)にあたる。

 先の大手証券幹部によると、「新会社は総資産の5分の1以下が分割される場合に適用できる簡易新設分割で行われており、株主総会の決議を得る必要がない。競争力のあるペッパーランチ事業を切り出す、いわば新旧勘定の分離のようなもので、M&Aなど再編の環境整備と言っていい。会社分割の場合、旧勘定となる既存会社は特別清算する一方、新勘定となる新会社に出資者(スポンサー)を募り、出直すことも一般的に行われる手法だ」という。市場では、ペッパーフードサービスの再編の可能性が囁かれているわけだ。

 ペッパーフードサービスの取引金融機関の幹部は、「創業者の一瀬氏は母子家庭で育ち、高校卒業後、レストラン、ホテルでシェフとして経験を積み、1970年にレストラン『キッチンくに』を創業。社員の暴行事件や食中毒事件など経営の危機を乗り越え、一代でここまで事業を拡大させてきた。映画とのコラボや日本航空やローソンとのタイアップ企画など、アイデアマンでもある。必ず危機を乗り越えてくれるだろう」と期待を寄せる。

 だが、期待された新株予約権発行による資本調達は、コロナの影響もありうまくいかず、直近の19年12月期決算では、継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在するとして「注記」が付いた。同社の先行きに注目が集まる。

(小林佳樹/金融ジャーナリスト)

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