114店を閉鎖「いきなり!ステーキ」復活への険しい道のり

114店を閉鎖「いきなり!ステーキ」復活への険しい道のり

ペッパーランチは投資ファンドに譲渡(C)日刊ゲンダイ

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 崖っぷちからひとまず生還――といったところか。外食チェーン大手のペッパーフードサービスが安価なステーキが主体の洋食事業「ペッパーランチ」の売却に踏み切る。売却資金は、今月末に期限の迫っている短期借入金20億円の返済原資や主力「いきなり!ステーキ」事業のリストラ費用などに充てる。単体ベースで約70億円の売却益を計上できる見込みで、債務超過転落の危機に瀕していた財務基盤も「一息つく」(関係者)格好だ。

 売却するのは6月に本体から分離したペッパーランチ運営子会社、JP社株。人気アパレル「WEGO」の買収などで知られる独立系投資ファンドのJ―STARに8月末メドに譲渡する。売却金額は85億円だが、JP社の収益目標達成度合いに応じて最大102億円まで増額される。

 ペッパーフードは「いきなり」の急速大量出店などがたたって2019年12月期で27億円強の最終赤字に陥った。このため自己資本比率が同12月末時点でわずか2%に低下、債務超過が目前に迫っていた。この間、資金の流出も加速。現預金は1年間で42億円超目減りして24億円余にまで落ち込むなど手元流動性は一気に逼迫した。

 そこに襲い掛かったのがコロナ禍だ。多くの店舗が休業を余儀なくされ、株価低迷で3月には増資も中断。6月には2位株主で主要取引先の食肉製造、エスフーズの村上真之助社長個人から借金して当座の資金繰りをしのがざるを得ないハメに追い込まれるなど経営は「綱渡り」(事情通)状態に陥っていた。

■全国で114店舗を閉鎖

 それだけにJP売却収入はまさに「干天の慈雨」。これを元手として「いきなり」主体に全国で114店舗を閉鎖。対象店舗の従業員を中心に200人規模での希望退職も実施する。

 もっとも市場関係者の間ではこれが「いきなり」再生の足掛かりになるか、危ぶむ声も少なくない。国内ステーキ市場は規模が限られるうえ、「ステーキガスト」や「やっぱりステーキ」といった競合店が勢力を広げるなど競争環境は日増しに厳しさを増しているからだ。金融筋からは「立て直しにつまずけば『いきなり!倒産』もあり得る」との声もちらほら。

(重道武司/経済ジャーナリスト)

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