【農業ワールド:2】積載UPと自動操縦で効率化!農業ドローン

【農業ワールド:2】積載UPと自動操縦で効率化!農業ドローン

エンルートブースに展示されていたドローンのコンセプトモデル。来年発売の予定で、積載量などのほかデザインにもこだわった

【記事のポイント】
▼近年の積載量アップで、農薬散布の時間や範囲がより実用レベルに向上
▼自動操縦が可能な農地管理の分野にこそ、中小農場の利便性がある


 今後の日本の農業を担うさまざまな機器、オペレーション、ソリューションが集まった「農業ワールド2016」。その中でも、特にドローンについては最新モデルから旧来型までさまざまなモデルが展示され、農業用機器としての関心の高さがうかがえた。会場ではドローンメーカーであるエンルート 代表取締役 伊豆智幸氏が、「農業におけるドローンの活用」というテーマでセミナーを開催。これからの農業にドローンをどう活用していくかについて語っている。

■より多く積めて、より広い範囲を飛べるドローンが登場

 農業におけるドローンの利用としては、農薬散布、種まき、作物のモニタリングといった用途が考えられている。ドローンメーカーもこれに向けて、最大積載能力、また積載物の散布能力の拡充を図ってきた。最新モデルでは最大積載量10kg(10リットル)クラスのモデルが登場。より多く積めて、より広い範囲を飛べるモデルに注力している。

「これまで農薬散布には無人ヘリなどが利用されてきました。ただこれは価格も安くなく、ある程度の耕作面積をもつ大規模農業事業者でないとコストに合いませんでした。広い大きな圃場だけではなく、小さな圃場にも向いているのがドローンなのです」

 ドローンはフレキシブルに利用できることが特徴で、たとえば少し大きめのビニールハウスや果樹園の林などでも利用できるのだという。「狭い小さい圃場でも行なえる効率的な農業経営、これを精密農業支援と呼んで、ドローンの利用を呼び掛けています」と、中小規模の農業事業者にも適した機器であると語る。


■ドローン自動操縦でより効率的な農業経営を

 さらに、ドローンで今注目されているのが自動操縦だという。これはあらかじめドローンにルートを設定し、自動的に飛行させて帰還させるというもの。農薬散布のような液状散布の場合は法律で自動操縦は禁じられているが、作物のモニタリングなどのケースで利用が見込まれている。

 同社のドローンでは、マイカセンス社の高性能マルチバンドカメラを搭載している。マルチバンドカメラとは4原色以上で被写体の色を記録し、正確に色を再現・分析する技術を搭載したカメラのことで、近赤外線・近赤外線境界領域も含めた撮影が可能。こういったカメラと自動操縦を組み合わせることによって、農地管理における事業者の負担をより軽くすることが狙いだ。

「これまで空からの圃場撮影では衛星写真が利用されていました。しかしこれはコストが高いうえに、雲があると撮影ができないなどの弱点がありました。ドローンならば、より安く、より確実に土壌分析や作物の成長具合のモニタリングが行なえます」

■農業でより進む「無人化」の先駆的機器

「今後の農業の進むべきひとつの方向は『無人化』です。ドローンの自動操縦技術は、その先駆となるべきものです」と伊豆氏は話す。自動掃除機のヒット、乗用車での自動運転の取り組みなど、自動化機器の広がりはこの数年目覚ましいものがあるが、地上よりも障害物の少ない空中を飛ぶドローンこそ、自動化に向いた機器と言える。

「毎日定期的に飛行させることで、ドローンの音による害獣防止にもなります。私たちはこれを『動くカカシ』と呼んでいます」と話すように、意外な効果もあるようだ。

 無人ヘリや衛星写真などよりもコストが安く、フレキシブル性が高く、大規模圃場だけではなく小規模圃場にも向いている。ドローンの農業活用は、中小規模の農業事業者への利点が大きいという印象を受けた。自動化というのはやはり大きな着目点であり、農業機械にも今後多く取り入れられていくことだろう。トラクター、田植え機、稲刈り機、精米機など、農家に不可欠な機器は多いが、こういった機器とともに、ドローンが農家の必携機器となる日も遠くなさそうだ。

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