日本でサービスロボットを活用するには?/店舗ITソリューション展

日本でサービスロボットを活用するには?/店舗ITソリューション展

(株)hapi-robo st 代表取締役社長、ハウステンボス(株)取締役CTO、(株)エイチ・アイ・エス取締役CIO 富田直美氏

【記事のポイント】
▼誰でも買えるサービスロボットだが、日本ではまだ活用されていない
▼国の規制が緩くなるのを待っていては、新しいビジネスは生まれない
▼ロボットやAI、IoTのメリット・デメリットを理解することが重要


 2017年5月10〜12日、東京都江東区の東京ビッグサイトにて開催された店舗のIT化に関する製品・サービスの専門展「第1回店舗ITソリューション展【春】」。店舗運営・集客ソリュ―ションやオムニチャネル、POSシステムなど店舗のIT化に関する製品・サービスが出展されていたほか、店舗のIT化に関するセミナーも開催された。

 その一つとして(株)hapi-robo st 代表取締役社長、ハウステンボス(株)取締役CTO、(株)エイチ・アイ・エス取締役CIOの富田直美氏による講演『AI、ロボット、IoTの活かし方〜店舗運営の未来を語る〜』を紹介する。

 富田氏は「ロボットの王国」や「変なホテル」など、ロボットを活用したサービス展開を手がける第一人者。今回のセミナーでは富田氏が店舗運営におけるロボットやAI、IoTの活用についてのヒントを提示する内容となった。

■サービスロボットが日本で発展しない理由

 講演開始と共にセグウェイに乗って颯爽と壇上に現れた富田氏。富田氏によれば、セグウェイは現在最も優れたロボットの一つだという。そして、その優れたロボットがどこでも買うことができ、誰もがロボットの性能を試すことができる時代でもあると述べた。

 しかし日本はロボット活用において世界に大きく遅れをとっているという。日本と言えば“ロボット大国”のイメージがあるが、それはあくまで工場などで用いられる産業ロボットの話。セグウェイに代表されるサービスロボットの活用は、世界的に見てもまだまだというレベルだそうだ。それは一体なぜなのだろうか?

 日本におけるロボット活用の遅れについて富田氏は「日本人には考える力が失われている」と断言する。「20世紀の日本はアメリカの技術をコピー・アンド・ペーストすることで発展してきた。模倣は日本人の得意分野である。しかし、ゼロからものを考えることは不得手」と富田氏はいう。つまり日本人は「ロボット」というまったく新しいものを、どう活用していけば良いのかを考えるのが苦手ということである。

■日本の店舗運営におけるロボット活用のためのポイント

 それでは「ロボットの王国」や「変なホテル」のような、ロボットを活用した斬新なサービスを生み出すためにはどうすればよいのだろうか?

 富田氏は「最新の技術を使えばアイデア次第で何でもできる」と強調する。その裏付けとなるのが講演中に流された迫力ある花火の映像。実は富田氏は日本で初めて打ち上げ花火の中をドローンを使って撮影することに成功した人物なのだ。通常の空撮では花火に肉薄することは困難であり、臨場感あふれる映像を撮影することはできない。そこでドローンを使えば花火の中に入って迫力ある撮影することができるのでは? という発想が生まれた。最新の技術(ドローン)を使ってアイデア(花火の中を撮影する)を実現した好例と言えるだろう。

 しかしドローンやセグウェイなどの利用には何かと制約が厳しい日本。これらのロボットを積極的に活用するのは難しいのではないだろうか? 


 ロボットの積極的な活用について富田氏は「国の規制が緩くなるのを待っているのでは遅い」と述べている。富田氏が取締役を務めるハウステンボスは、モナコ公国と同等の面積をもつ広大な私有地だ。私有地であるため自社で開発したロボットの実証運用も自由に行うことができる。さらに自社開発のロボットだけでなく、他の企業が開発したロボットも積極的にハウステンボス内で実証運用を行っている。「これからの時代は一つの企業が持つテクノロジーだけでは進化できない。他の企業や国と手を結ばなくては発展することは難しい」と富田氏は続けた。

 さらに「日本人のクセである“入念にプランしてから実行に移す”では遅い」と富田氏は警告する。まず最初に作ってみる、すると協力者が現れる。上手くいかなかったら、日本人の得意分野である「改善」をしていけば良いということだ。これらのポイントを踏まえてサービスまで高めていくことが、日本におけるロボット活用のヒントとなるだろう。

■ロボット導入による生産性向上は見込めるのか

 ところでロボットの導入によって生産性の向上は見込めるのだろうか? 前述の「変なホテル」ではロボットを増やした結果、従業員を1/3まで減らすことに成功。さらに部屋数を2倍にすることができたという。

 それではすべての従業員をロボットやAIに置き換えることができれば、さらなる生産性が期待できそうだがそうはうまくいかない。「ロボットだけのホテルではどう頑張っても三つ星が限度。四つ星・五つ星のホテルにするためには人間の心が必要」と富田氏は言う。さらに「ロボットやAI、IoTがどう自分たちの幸せにつながるか。単に儲かるからではなく、メリット・デメリットを理解した上で活用したい」と付け加えた。

 最後に富田氏は「ロボットはスマホと同じ。それ単体で考えていては役に立たない。スマホはネットワークに接続しなければカメラの付いた機械のようなものにすぎない。AIやクラウドを含め総合的に活用する方法を見出す必要がある」と締めくくった。



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