過酷な減量で摂食障害、そして万引き逮捕 元マラソン原裕美子さんの「壮絶な過去」

元マラソンランナーの原裕美子さん、自著で「摂食障害および窃盗症」の壮絶過去語る

記事まとめ

  • 元マラソンランナーの原裕美子さんが、「私が欲しかったもの』(双葉社)を出版した
  • 原さんは名古屋国際女子マラソンで優勝するなどし、北京五輪女子マラソンの有力候補に
  • 引退後、万引きで2度逮捕されたが、「摂食障害および窃盗症」と診断された過去を告白

過酷な減量で摂食障害、そして万引き逮捕 元マラソン原裕美子さんの「壮絶な過去」

過酷な減量で摂食障害、そして万引き逮捕 元マラソン原裕美子さんの「壮絶な過去」

過酷な減量で摂食障害、そして万引き逮捕 元マラソン原裕美子さんの「壮絶な過去」の画像

世界陸上で入賞したこともある元マラソンランナー、原裕美子さん(39)が「私が欲しかったもの』(双葉社)を出版した。といっても、アスリートとしての栄光をつづったものではない。体重管理に悩み、摂食障害、そして食べたい誘惑を断ち切れず、万引きで何度も逮捕された壮絶な過去を赤裸々に綴っている。

日本のトップランナーの一人

原さんは高校時代から長距離選手として活躍、2000年に京セラに入社し、女子陸上部に。05年、名古屋国際女子マラソンに出場し、初マラソン初優勝。同年、世界陸上女子マラソン6位入賞。07年、大阪国際女子マラソンでも優勝。2大会連続で世界陸上出場を果たし、08年の北京五輪女子マラソンの有力候補でもあった。

10年、小出義雄監督が指揮を執るユニバーサルエンターテインメントに移り、北海道マラソンに優勝するなど、一時期は日本のトップランナーの一人だった。

その後、現役を離れ、市民ランナーとなっていたが、実は京セラに入ってから厳しい体重管理と減量指導、食事制限のなかで摂食障害に苦しんでいた。食べては吐くことの繰り返し。そして、吐くための食べ物を手に入れるために、ひそかに万引きに手を染めるようになっていた。

「摂食障害および窃盗症」と診断

すでに現役を引退していた原さんの名前が再び注目されることになったのは17年8月のことだ。栃木県足利市内のコンビニで万引きをし、逮捕されたことが大きく報じられた。翌18年2月には、執行猶予中に再び万引きで逮捕された。

入院した下総精神医療センターで「摂食障害および窃盗症」という診断結果を医師から伝えられた。

現在は、専門的な治療を受けながら、一歩ずつ確実に、回復の道を歩んでいる。本書は、同じ病で苦しむ人、そして生きづらさを感じている人たちが前を向くヒントになればと、自身の過酷な体験を包み隠さず語ったものだ。

朝日新聞は3月24日、「食への執着と窃盗症『狂っていった』 元陸上代表の告白」という見出しで本書を大きく取り上げ、原さんへのインタビューも載せている。「フライデー」も、「元マラソン女王・原裕美子が『万引き逮捕』の壮絶過去を明かす理由」というタイトルで同日、長行の記事を配信している。

生理不順や骨粗しょう症

近年、欧米の医学界では、窃盗を精神医学の立場から分析する研究が進んでいる。すでに「クレプトマニア」という症例名があり、「窃盗症」という日本語訳にもなっている。

J-CASTで紹介済みの『窃盗症――クレプトマニア』(中央法規出版)は、犯罪として処断される窃盗を精神科医の立場から解説したものだ。同書には何人もの「当事者」が登場するが、おどろくほど摂食障害の反動で万引きに走ったという人が多い。

病的な常習窃盗は、処罰だけでは更生も再犯の予防もできない。犯罪であると同時に精神障害でもあるからだ。同書は「窃盗症」について、これまで精神医学は十分に対処できなかったが、依存症の一種でもあり、多方面の専門家によるアプローチで治療や再犯防止をはかるべきだとしている。

女性アスリートは、過酷な体重制限を課せられているケースが少なくない。かねてから生理不順や、骨粗しょう症などが心配されてきたが、加えて、「窃盗症」のリスクも指摘したことで本書の意義は大きい。

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