7pay騒動から2年、「nanaco」がApple Pay対応に セキュリティの高さ訴求

セブン&アイ・ホールディングスが2021年10月21日、同社グループの電子マネー「nanaco」(ナナコ)がiPhoneなどで使える「Apple Pay」(アップルペイ)に対応したと発表した。nanacoはカード形式と「おさいふケータイ」の形式で07年にサービスを開始。「おさいふケータイ」はアンドロイド携帯で使うことができるが、iPhoneでは使えなかった。

これとは別に、セブン&アイはiPhoneでも使えるスマホ決済「7pay」(セブンペイ)を19年7月にスタートしたが、サービス開始直後に不正アクセス問題が発生。運営会社の社長が「二段階認証」を理解していないなど、ずさんなセキュリティが響き、わずか1か月で廃止を発表した経緯がある。セブン&アイとしては、今回のApple Pay対応で、iPhoneが使える自前の決済手段を改めて手にしたことになる。現段階でも、セブン&アイグループの店舗で、iPhoneを使って決済する方法はある。ただ、今後はnanacoを優遇する方向性も示唆された。

■「現状の他決済を即排除するというようなことは一切行う予定はない」が...

nanacoは21年8月末時点で、全国のセブン-イレブン2万1000店舗をはじめとする約80万店舗で利用でき、約7400万人の利用者がいる。セブン&アイ傘下のセブン・カードサービスの水落辰也社長によると、「非接触であることの安心感」を背景に、コロナ禍が本格化する20年1月と比べて加盟店は約28%、利用者は約7%増えたという。7400万人の大半がカードの利用者で、おサイフケータイ経由の利用はわずか1割だった。水落氏は次のように話し、iPhoneの高い国内シェアを背景に利用者を大幅に伸ばしたい考えだ。

「私どもとしても、Apple Payの対応は待ち遠しいものだった」
「これまでnanacoに興味がなかった利用者の方々がApple Payにより入会したり、モバイル化が進んでいないことで不便さを感じていた会員の再利用などによる会員利用件数の増加は、我々の期待するところだ」

現時点でも、NTTドコモの決済サービス「iD」(アイディ)や、PayPayが組み込まれたセブン-イレブンアプリなど、セブン&アイグループの店舗でiPhoneを使って決済する方法はあった。セブン-イレブンアプリをPayPayからnanacoに切り替える可能性について問われた水落氏は

「お客様の利便性というものを考えて、現状の他決済を即排除するというようなことは一切行う予定はない」

とする一方で、次のようにも話し、中長期的にはnanacoを優遇する方向性を示唆した。

「我々のnanacoは、このグループの中心的な共通決済サービスなので、このサービス性をより高めることによって、1人でも多くのお客様にご加入・ご利用いただくという方向性で進めていきたい」

■「生体認証による高度なセキュリティ」も強調

セブン・カードサービスの神谷智行執行役員は、Apple Pay対応のメリットとして、新規発行やチャージの簡単さに続いて「生体認証による高度なセキュリティ」を挙げた。カード式のnanacoでは

「落としたり盗難されてしまうと第三者に利用されてしまう可能性があった」

とする一方で、Apple Pay版では指紋認証や顔認証で「これまで以上に安心してご利用頂ける」とアピール。「iPhoneを探す」機能を使うことで「お手元に帰ってくる可能性が高い点も安心できる」と指摘した。

セブン&アイは、20年2月期の有価証券報告書(20年5月28日提出)で、7payの失敗の理由のひとつとして、

「独自の認証システム等及び不正検知・防止対策が必ずしも万全なものでなかった」

と言及している。今回の記者会見で7payの話題は登場しなかったものの、「生体認証による高度なセキュリティ」に触れることで、7payで不安視されていたセキュリティへの懸念に応えた形だ。

イオンが提供する電子マネー「WAON」も10月21日、Apple Payに対応したことが発表されている。WAONは約86万3000か所で利用でき、累計で約8872万枚が発行されている(いずれも21年9月末時点)。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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