コロナ後も「国際線の需要は戻ってこない」 観光&LCC提携で活路狙うJALの「計算」

コロナ後も「国際線の需要は戻ってこない」 観光&LCC提携で活路狙うJALの「計算」

日本航空 LCC提携で活路狙う

コロナ後も「国際線の需要は戻ってこない」 観光&LCC提携で活路狙うJALの「計算」

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新型コロナウイルス感染拡大の影響で世界の航空需要が落ち込む中、日本航空(JAL)が「コロナ後」に向けて、格安航空会社(LCC)による観光需要の取り込みに力を入れる。

これまでの国際線の「稼ぎ頭」はビジネス客だったが、比較的需要の回復が早いとみられているのは、ビジネス客に比べると単価が低い観光客だ。そこで、低単価の乗客でも採算が取りやすいLCCに活路を見いだしたい考えだ。JAL傘下には中長距離LCCのZIPAIR(ジップエア)があるほか、近距離LCCのジェットスター・ジャパンにも50%出資。この2社以外にも、すでに整備支援などの協力関係がある春秋航空日本との関係を強化し、「LCCネットワーク」の立ち上げを目指す。

観光需要取り込みたいが「今のフルサービスのモデルでやると採算が合わない」

国際航空運送協会(IATA)は20年7月末、世界の航空需要がコロナ前の19年の水準に戻るのは24年までかかるという見通しを発表している。JALの赤坂祐二社長は20年10月7日の定例会見で、国内線については、旅行先でテレワークする「ワーケーション」などで新たな需要が期待できる部分もあることから、22年頃には需要が戻るとの見通しを示した。

一方の国際線については、「24年ぐらい、あるいはもうちょっと」と話すが、需要が完全に「コロナ前」の水準に戻ることはないとみている。

「国際線の需要が減った分は、もう戻ってこない。他に何か新しいものがあるかというと、そんなにイメージがわかない。そういう意味では、やっぱり観光需要というものを、これからはひとつのターゲットに(していきたい)。我々は今まであまり手をつけてこなかったが、是非観光需要にリーチしていくことを考えたい。それを今のフルサービスのモデルでやると採算が合わない」

機内食や座席指定に追加料金がかかることが多いLCCに対して、JALのような既存の航空会社は「フルサービスキャリア」(FSC)と呼ばれる。今後は観光需要の取り込みを目指すものの、FSCでは採算が難しいため、LCCで運航することで持続可能なビジネスモデルを探る。

ZIPAIRは現時点では成田とバンコク(スワンナプーム)、ソウル(仁川)を貨物便で結んでいるが、10月16日からソウル便を旅客便として飛ばす。赤坂氏はそれ以外の就航地について、出入国制限の状況を見極めることを前提に

「もともとZIPは長距離の太平洋線(北米西海岸)を考えていたが、ちょっとその前に、ハワイ(ホノルル)で色々な国際線のノウハウを作っていきたい」

などと話した。

春秋航空日本への出資の有無には「現時点で公表できることはありません」

100%子会社のZIPAIRで取り込めるのは主に中長距離の観光需要だ。短距離需要は、他社との提携を通じて取り込みたい考えだ。

「そういった中でたまたまZIPがあるが、長距離のLCCビジネスなので、やはり短距離や国内のLCCの、何らかの手段を持ちたいと思う。一番手っ取り早いのは既存の会社と手を組むことであって、国内であればJJP、ジェットスター・ジャパン。それから中国だと春秋JAPAN(春秋航空日本)、ここと提携をして、『いわゆるLCCネットワーク』というものを、早く作りたいと思っている」

なお、この赤坂氏の答えは、記者からの

「少額出資していると言われる春秋航空日本さんとか、短距離のLCCを思い切って傘下に収めてしまうようなM&Aの考え方」

に関する質問に対するものだ。赤坂氏は提携強化の手段について

「必ずしも出資比率を増やすことだけではない。それありきではないと考えていただいていい」

と話しており、JAL広報部は春秋航空日本への出資の有無について「現時点で公表できることはありません」としている。

ただ、国内LCCも当面は厳しい状況が続く。ジェットスター・ジャパンは10月8日、20年10月から21年3月まで続く冬ダイヤで、成田-庄内など国内線の6路線を運休することを発表。中部空港を拠点にするエアアジア・ジャパンは10月5日、日本市場から撤退することを発表している。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)