Suica「IC回数券」化のメリットは? 複数回乗車でポイント付与、ICOCAとの違いを比較

Suica「IC回数券」化のメリットは? 複数回乗車でポイント付与、ICOCAとの違いを比較

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JR東日本のICカード「Suica」で、2021年春から鉄道利用に伴う新たなポイント還元サービスが始まる。いずれのポイント還元も「JRE POINT」(1ポイント=1円分のSuicaチャージが可能)への登録が必要となる。

サービスは大きく2つに分かれ、定期券のオフピーク利用でポイントが付くものと、利用回数に応じて運賃分のポイントがたまるものだ。前者はコロナ対策もあってオフピーク通勤を促進させるものだが、本記事では「回数券のICカード化」とでもいうべき後者の影響を分析する。

「区間」ではなく「運賃」で積み重ね

21年春から導入予定のポイント還元サービスの一つは、通勤定期券でピーク時間帯を避けて乗車すると、ポイントが還元される。ピーク前よりも後の方がお得で、ピーク前なら15ポイントが付与されるところ、ピーク後なら20ポイントが還元される。

もう一つは同一運賃区間を乗車し続けることによるポイント還元サービスである。同一運賃区間で月に10回利用すると運賃1回分のポイントが、11回以降は毎回運賃1回分の10%が還元される。「同一区間の駅」ではなく、「同一運賃の区間」を利用すれば適用されるのが特徴だ。

一見紛らわしいが、例えば山手線利用で渋谷―新宿間と東京―上野間は同じ157円の運賃なので、どちらでもよいから合計10回乗車すれば1回分をポイントだけで乗れる。つまり「区間式」ではなく「金額式」の回数券機能がつく。これまでのSuicaのポイント還元機能では運賃200円につき1ポイントの付与(カードの場合。モバイルSuicaでは50円につき1ポイント)だったので、大幅な還元率アップになる。加えてJR東日本の全Suicaエリアが適用されるので、首都圏エリア(といっても関東全域に加えて中央線・篠ノ井線経由で松本駅まで範囲に入る)・仙台エリア・新潟エリアのどこでもポイントを貯められるフレキシブルさもメリットになる。

現在販売されているJR東日本の紙の回数券は区間式で、当該駅間でなければ同じ運賃の区間を乗っても使えないが、東京メトロや関西大手私鉄が採用しているような金額式回数券であれば、柔軟に使いたい区間で使える。ポイントサービスを付与することで、ラッシュ時間帯以外の鉄道利用を少しでも進めたい狙いもあるだろう。通勤時間帯にかかわるサービスは21年春から1年間の試験的な導入だが、月10回利用のポイント付与は21年3月1日からの期限が示されていない導入であり、こちらは恒久化させたいようだ。

JR西日本「昼特」はICOCAで代替

ICカード利用時のポイントでも還元付与も関西の鉄道が先んじている。JR西日本のICOCAは、18年10月からICOCAポイントサービスで1カ月間(1日〜末日)の同一運賃区間の11回目以降の乗車1回ごとに、運賃の10%のポイントが貯まるようになっている。もう一つ、平日10時〜17時と土休日に特定の区間を繰り返し利用すると、4回目以降の1回ごとに運賃の30%または50%分のポイントが貯まる「時間帯指定ポイント」がある。こちらは運賃ではなく京都―大阪、大阪―三ノ宮のように指定の区間ごとではあるが、これが18年9月限りで廃止された「昼間特割きっぷ」(昼特)と同等の機能を持っている。昼特は通常運賃に比べてかなりお得で金券ショップの定番商品であり、競合私鉄に対するJR西日本の競争力を強めていた。

他のJR系ICカードではJR九州のSUGOCAが乗車1回につき運賃の1%分、また自由席特急券の購入1回につき特急料金の5%分をポイント還元できるようになっているが、ポイント還元率では現状ICOCAが頭一つ抜けている。

昼特のような「超お得」な切符はなかった関東だが、ICカードでのこのサービスは「JRE POINT」に登録さえすれば自動的にポイントが還元される。これは区間が競合する他社にとっても脅威になりうるし、関東私鉄各社でICカードへの回数券機能付与が一気に進む可能性もあるだろう。同時に導入のオフピークポイント還元では時間帯によって違う還元率も実現できているが、ICOCAのように平日データイムや休日に利用するとお得になる機能も期待したいところだ。

(J-CASTニュース編集部 大宮高史)