「リアル半沢頭取」が直面する厳しい戦い 苦境に負けず「倍返し」できるか

「リアル半沢頭取」が直面する厳しい戦い 苦境に負けず「倍返し」できるか

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「三菱UFJ銀行頭取に半沢氏」のニュースは、SNSで話題になるだけではなく、メガバンクであっても企業のトップ人事を報じることがまれなテレビのニュース番組も取り上げた。2020年にテレビドラマの第2弾が放送されて高視聴率を獲得した「半沢直樹」の主人公と同じ名字で同じ銀行員。ドラマで頭取に「君はいずれ頭取になる男だ」と言わしめた半沢直樹よりも先に頭取に就く三菱UFJ銀行の半沢氏とはどんな人物なのか。

2021年4月1日付で頭取に就任する半沢淳一氏の現在の役職は、取締役常務執行役員CCO(チーフ・コンプライアンス・オフィサー)。2021年1月19日で56歳。

13人抜きだが...実は必然?

三菱UFJ銀行の頭取は、これまで副頭取からの昇格が通例だったが、副頭取と専務の計13人を飛び越える異例の登用だ。就任が発表された2020年12月24日の記者会見で半沢氏は「立ち止まらずに走り続けないと激しい変化の時代に適応できないと思っており、(そんな時代だから私が)選ばれたと思っている」と語った。

東京大学経済学部を卒業して、1988年に三菱銀行(当時)に入行。駆け出しで営業店に勤務していた頃、年末挨拶に訪れた取引先の食品メーカーがジャムを製造していたことを知らずに、ライバル企業のジャムを手土産に持っていき、取引先や上司に大目玉を食らったこともあったという。それでも本店に異動してからは出世コースの企画畑を歩んでUFJ銀行との経営統合などに携わり、執行役員経営企画部長、常務執行役員名古屋営業本部長などを経て、2019年6月から現職。

13人抜きの頭取就任ではあるが、行内では以前から「2人いる次期頭取候補の1人」(関係者)とささやかれていた。というのも、現頭取の三毛兼承(みけ・かねつぐ)氏(1979年入行)は、前任者が体調不良のため1年あまりで退任した後に急きょリリーフしたこともあり、持ち株会社の三菱UFJフィナンシャル・グループで社長を務める亀沢宏規氏(1986年入行)との間に年次のねじれが生じていた。持ち株会社と傘下銀行の関係を考慮すると、1988年入行の半沢氏は「適齢期」だった。

三菱銀行の同期入行に「半沢直樹」の原作者でもある池井戸潤氏がいたことも話題になった。

融資での儲け難しい現状、コロナ禍...

あまりの注目ぶりに、当の池井戸氏が半沢淳一氏についてわざわざコメントを発表。「同じ半沢同士、日本の金融界に新風を吹き込んでいただきたいものです」とエールを送りつつ、「ほとんど面識のない方です。ご本人も否定されていますが、半沢直樹のモデルではありません」と断りを入れたほどだ。

おめでたい話ではあるが、メガバンクを取り巻く経営環境は厳しく、頭取になっても決して安穏としてはいられない。日銀の超低金利政策が長期化しているため、銀行の本業である融資では儲けにくくなっており、コスト構造の変革が急務だ。その一方で新たな稼ぎ頭の育成も必要であり、顧客が抱える課題を解決に導く「ソリューションビジネス」をいかに伸ばせるかが試される。加えて、パンデミック下の危機対応も当面続く。

こうした山積する課題に対して、「半沢頭取」はどのように立ち向かって、何倍返しを果たせるのか。記者会見で問われると「4月以降着任してお答えできれば」と軽くいなしたが、実際に頭取に就任すればさらに注目を浴び続けるに違いない。