世界No.1白物家電メーカーハイアールの日本法人が、アイスクリームメーカーに目をつけた理由

世界No.1白物家電メーカーハイアールの日本法人が、アイスクリームメーカーに目をつけた理由

画像提供:マイナビニュース

●ワインクーラーの冷やす技術をアイスクリームへ
家庭用アイスクリームメーカー「IceDeli(アイスデリ)」を5月に発表したハイアールジャパンセールス。白物家電を主力とする同社だが、なぜこのタイミングで嗜好性の強いアイスクリームメーカーのような製品に目を着けたのだろう。

○冷やす技術をアイスクリームへ

ハイアールジャパンセールスは、中国に本社を置く家電メーカー ハイアールグループの日本法人として2002年に設立。Haierブランド製品を日本全国に販売している。Haierの主軸となるのは、洗濯機や冷蔵庫、電子レンジといった白物家電で、ブランドマーケットシェアでは世界第1位を誇る。

生活必需品である白物家電と異なり、今回発売したアイスデリは、どちらかというと嗜好品に近い製品であるといえる。アイスデリの企画開発のきっかけは何だったのだろうか。ハイアールジャパンセールス 商品企画部 部長 森脇利行氏は、「Haierは、冷蔵庫単独でもシェア世界一です。どう冷やすか、どう省エネするかといったことについては、日々研究開発をしています。今回のアイスデリは、もともとワインクーラーに採用していた『ペルチェ素子』という冷却装置を使って何か新しいものができないかというアイディアから生まれたものです」と説明する。

従来の家庭用アイスクリームメーカーは、冷却ポットを冷凍庫で事前に8時間以上冷やしてからアイスクリームを作る「事前冷却式」のものがほとんどであった。価格は数千円と比較的安価だが、事前冷却の時間と冷凍庫のスペース確保が課題であった。

一方で、冷蔵庫と同じ仕組みで冷やす「コンプレッサ式」のアイスクリームメーカーは、事前の冷却なしで使用することができる。ただし、本体の重量が10kgを超えるものが多く、価格も数万円程度と高くなる。一般家庭で利用するには、やや手を出しづらい。

そこで、ペルチェ素子の出番となる。ペルチェ素子は、冷媒ガスを使わないため軽量であり、大きさも5cm角程度とコンパクトだ。ただ、ペルチェ素子を冷蔵庫のような大型製に使うと製品コストが嵩んでしまう。アイスデリのようなコンパクトな家電製品であれば、"使える"というわけだ。

●アイスクリームメーカーは売れるのか?
通常、ワインクーラーに採用しているペルチェ素子の冷却性能は6℃程度だというが、今回、アイスクリームの材料を凍らせることができる程度まで冷却性能を上げながらも、コストダウンを図った。これにより、アイスデリは、冷凍室で事前に冷やす必要がないうえに、価格は2万円弱と、事前冷却式に比べて手軽に利用でき、コンプレッサ式と比較すると手ごろなアイスクリームメーカーとなった。185mm×265mm×238mmの大きさで、重さ2.5kgとコンパクトなのも特徴だ。材料を入れれば、40〜120分でアイスクリームが完成する。

○アイスクリームメーカーは売れるのか

とはいえ、白物家電と比べて嗜好性の強い家電であるアイスクリームメーカー。手間はかかるが安価な製品もあるなか、売れる見込みはあったのだろうか。

「アイスクリームの販売額は、10年間で約1.5倍に増加しています。また、約50%の人がアイスクリームを作ることに『経験・興味関心があり』と回答した調査結果もあります。当社で行ったアイスクリームメーカー所持者に対するアンケートでは、冷凍庫で冷やす手間や時間、スペースがないというデメリットが挙がった一方で、美味しく健康的なアイスが食べられるなど多くのメリットを感じられているお客様が多いことがわかりました。アイスクリームメーカーのデメリットを解消すれば、より多くの方に手作りアイスを楽しんでもらえると考えたのです」(森脇氏)

昨年、同社はテストマーケティングを実施し、3000台をカタログ通販、1000台をECサイトで販売。予想以上の反応が得られたという。アイスクリームメーカーを使用した経験のあるユーザーは、やはりダントツで早くアイスクリームが完成することに満足度を感じていたようだ。また従来品のアイスクリームメーカーで作ると硬い食感になってしまうが、アイスデリでは空気がほどよく入ることで、ふんわりした食感になるということも、高評価の理由のひとつとなった。

●生活必需品から趣味嗜好品へ
テストマーケティングでは、100%ジュースを入れてシャーベットにするなど、アイスクリームを作る以外の用途にニーズがあることもわかった。実際に、6段階の仕上がりが選べる高機能モデルの「IceDeli Plus(アイスデリ プラス)」であれば、アイスクリームだけでなく、冷製スープやジュレなどのメニューも作ることができる。

「アイスデリは生活を豊かにする趣味嗜好品の第1弾製品といえます。今後は、ここから発展させた製品を出していきたいですね。次は、アイスクリームメーカーではなく、まったく別の冷やす調理家電になっているかもしれません」と、森脇氏は今後の展望について語っている。

言われてみれば、炊飯器や電子レンジ、ホットプレートなど、温める調理器具はいろいろと思いつくが、冷やす調理器具はそれほど多くない。地球温暖化が懸念されるなか、今年の夏も猛暑となることが予想されている。今後、冷やす調理家電というジャンルが広がっていってもよさそうだ。

販売にあたっての課題は、プロモーションだろう。アイスデリの実物を見て、実際に使ってみると、いろいろな用途やメリットが想像できるが、店頭にただディスプレイされているだけでは冷やす調理家電に馴染みのない消費者にはそれが伝わりづらい。そこで同社としては初となる、アンバサダープログラムが実施される。インターネット上で手作りアイスを楽しむコミュニティ形成を促進し、レシピや使用方法などの情報交換を活性化させていくことで、販売につなげていきたい考えだ。

今後、アイスデリシリーズ全体で5万台の販売を目指していくというハイアールジャパンセールス。白物家電以外の分野でも存在感を示すことができるだろうか。同社の新たな挑戦に期待したい。
(周藤瞳美)

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