mineoが教えてくれるMVNO変化の予兆、大手との戦い方

mineoが教えてくれるMVNO変化の予兆、大手との戦い方

画像提供:マイナビニュース

●MVNO初の長期利用特典
格安通信サービス「mineo(マイネオ)」を運営するケイ・オプティコムが新たなキャンペーン「ふぁん∞とく」の一部を1日から開始した。長期利用者を対象にしており、その内容はMVNO市場の機微な変化を読み取ったもので、抜かりがないように映る。

○長期利用特典の中身と狙い

mineoが始める長期利用特典制度は、エントリーコード(6月1日開始)、電子マネーギフト(9月1日開始)、王国コイン(「マイネおみくじ」以外9月開始)の3つだ。いずれも契約年数に応じて付与される特典の量が変わる仕組みだ。

エントリーコードは契約事務手数料3,000円が無料になるコードで、電子マネーギフトは端末の追加購入や機種変更時に使えるものとなる。王国コインは、結果に応じてパケットがもらえる「マイネおみくじ」(6月1日開始)に使えたり、オリジナルグッズの抽選に応募できたり、リアルイベントに参加するために使えたりする。

この長期利用特典は、MVNO市場の機微な変化を読み取ったものだ。ユーザーデータを分析すると、最近の動向として、別の格安通信サービスから移ってくる人が増えているという。同社の経営本部 モバイル事業戦略グループ グループマネージャーの上田晃穂氏は「大手キャリアから来る人が今でも8割以上と大半を占めている。一方でワイモバイルからくるなど別の格安通信サービスから来る人も増えている」と話す。

今回のキャンペーンは今のうちからユーザーを囲い込んでおきたいという気持ちのあらわれとなる。長期利用を対象としたキャンペーンはMVNO初と謳っており、他社に先駆けて手を打ったことになる。

上記に記したキャンペーンの中身も抜かりない。ユーザー特典そのものが、契約者増を狙ったものを含んでいるからだ。

先に挙げたエントリーコードはわかりやすい。ユーザー自身の回線追加にも使えるが、家族や友人へユーザーがプレゼントすれば、ユーザー増につながる。電子マネーギフトも、自分自身のためではなく、新たにユーザーとなる家族のために使われることを想定してのことだろう。

●mineoの武器
○口コミ効果を狙うmineo

"紹介"の活用は今回から始まったことではない。現状も新規契約者の3割は"紹介"、つまりは"口コミ"によるものだという。

口コミの分析も進めており、上田氏は家族を例にして次のように話す。お父さんならお母さんに紹介する。ただし、職場の知人には紹介しない。お母さんは子供、知人、両親に紹介する。こうした傾向があるとする。口コミマーケティングでは、女性がキーになるというが、それを身をもって理解し、キャンペーンにつなげていく、そうした循環を生んでいるのだ。

もちろん、紹介キャンペーン自体はよく使われる手法であり、他のMVNOでも行われている。mineoが少し異なるのは、口コミ効果を"最大限"に得るための策があることだ。そもそも、口コミ効果を狙う段階で、ユーザーの満足度が高くなければ、効果は落ちてしまう。そうならずに、効果を高める仕組みがあるのだ。

キーとなるのが、ユーザーコミュニティサイトの「マイネ王」である。互助の精神で成り立つコミュニティサイトで、あるユーザーがスマホに関する質問を書き込むと、別の詳しいユーザーが回答してくれる。mineoのサービス内容とは直接関係のないアンケートを募れるなど、疑問を解消するだけではなく、楽しむためのサイトにもなっている。

mineoの全ユーザーの約4割、21万人がマイネ王のメンバーだが、ユニークユーザーは月間70万人であり、mineoの非ユーザーも数多く訪れていると見られる。多くの人を惹きつけるコミュニティサイトになっているのだ。口コミ効果も手伝い、いまや68万契約、MVNO市場でも4位をキープしており、年度内に100万契約を目指して、目下順調に進んでいるという。

現状、MVNOは新規契約者を得るために、どこも認知度を高めるとともに、「安心・安全」をキーワードに施策を打ち出している。これ自体は正しい戦略なのだろう。そのために各社はテレビCMを放映し、リアル店舗を設けて対面販売を行い、サポート体制も充実させようとする。しかし、こうしたやり方では、過去の経営資源や資金力の豊富さで勝敗が決してしまう。

ワイモバイル、UQ mobile、楽天モバイルと、格安通信の大手を見れば、経営資源、資金力ともに豊富。他から見れば、バンバンとテレビCMが打てて、リアルショップを多数展開できるなど多数の手を打てる状況に映るだろう。ケイ・オプティコムもテレビCMを放映しているが、上田氏自身、テレビCMを打てる大手との間に差を感じると発言しているほどだ。

しかし、同社には、資金力が必要ない口コミという強い武器がある。大手と渡りあうなかで、今後、コミュニティサイトの力、ひいては口コミをどう活用していくのか、注目しておきたいところだ。
(大澤昌弘)

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