SIMフリーで異彩放つモトローラ、「Moto Mods」人気の裏に課題も

SIMフリーで異彩放つモトローラ、「Moto Mods」人気の裏に課題も

画像提供:マイナビニュース

●モトローラが人気を獲得できたワケ
SIMフリー市場で存在感を高めつつあるモトローラ・モビリティ。同社が昨年から力を入れているのが、プレミアムモデルの「Moto Z」シリーズと、その背面に装着してさまざまな機能を拡張できるモジュール「Moto Mods」だ。モトローラのMoto Mods普及に向けた取り組みと、その課題を追ってみよう。

○先進性を重視するモトローラにとって重要なプロダクト

レノボ傘下の米モトローラ・モビリティが、日本のSIMフリースマートフォン市場に本格参入したのは昨年のこと。だがそれ以降、SIMフリー市場で急速に販売を拡大し、人気を高めているようだ。

モトローラが人気を獲得した要因は、先進的な取り組みに積極的なことが挙げられる。実際、昨年の本格参入時に投入した「Moto G4 Plus」は、性能こそハイエンドモデルと比べれば劣るものの、SIMを2枚挿入し、3Gと4Gの同時待ち受けができる「デュアルSIM・デュアルスタンバイ」(DSDS)に国内で初めて対応したことが話題となり、スマートフォンの先進層から支持を得て人気を獲得。その後SIMフリースマートフォンメーカー各社が、DSDS対応スマートフォンを相次いで投入してきたことからも、Moto G4 Plusが与えた影響の大きさが理解できるだろう。

そしてモトローラが、より先進的な取り組みとして現在力を入れているのが「Moto Mods」である。これは、同社のプレミアムモデル「Moto Z」シリーズ用の周辺機器。といっても通常の周辺機器とは異なり、Moto Zシリーズのスマートフォンの背面に貼り付けてさまざまな機能を拡張できる、拡張モジュールというべきものだ。スマートフォンの電源を入れた状態でもつけ外しが可能なことから、必要な機能を必要な時に拡張できるのが大きなポイントとなっている。

日本でも昨年からMoto ZシリーズのスマートフォンがSIMフリー市場向けに投入されていることから、既にいくつかのMoto Modsが日本で販売されている。代表的なものを挙げると、スマートフォンをプロジェクターにする「Moto Insta-Share Projector」や、光学10倍ズームが可能なカメラモジュール「Hasselblad True Zoom」、大迫力のサウンドが楽しめるスピーカーモジュール「JBL SoundBoost」などがある。

ちなみにモトローラによると、海外ではバッテリー駆動時間を延ばす大容量バッテリーや、スピーカーのMoto Modsなどが人気だそうだが、日本ではカメラのMoto Modsの人気が非常に高いとのこと。Moto Zシリーズは安価な「Moto Z Play」でも5万円台と、SIMフリースマートフォンの中では高額なことから、比較的先進的なユーザーが購入しているという影響もあるだろうが、国によって人気のMoto Modsに違いがあるのは面白い。

●Moto Modsの拡大に向けて
○開発キットの提供でMoto Mods開発者を拡大

その後もモトローラはMoto Modsの拡大に力を入れいているようだ。日本でも、今年3月には車載用のMoto Mods「Incipio Vehicle Dock」を発表。6月20日に実施された発表会ではMoto Z Playの後継機種「Moto Z2 Play」の国内販売を発表したのと同時に、大容量のバッテリーを搭載した「Turbo Powerパック」や、ワイヤレス充電を可能にする「ワイヤレス充電キャップ」などのMoto Modsを販売することも発表している。

だが従来、Moto Modsはモトローラや一部のサードパーティーのみが開発するにとどまっていたことから、Moto Modsの数や種類を増やすには限界があった。そこでモトローラは、Moto Modsの拡大に向けて新たな手を打ってきたようだ。それは、Moto Modsを開発しやすくするための開発キットを提供することだ。

Moto Modsはハードウェアを開発する必要があることから、ソフトウェアと比べると開発のハードルが高い。そこで同社では、Moto Modsとしての動作に必要となる基盤やチップなどをまとめたものを開発キットとして販売しているとのこと。従来このキットは海外でしか購入できなかったが、今後日本でも購入できるようになるとのことだ。ちなみにこのキットはモトローラの社内でも使われているものでもあるという。

また同社では、日本語のドキュメントを用意することを考えているほか、Moto Modsのハッカソンやアイデアソンを日本でも実施することも発表。日本でもMoto Modsの開発を積極的に支援し、開発者の機運を盛り上げることでMoto Modsを広げていきたい考えのようだ。

●モトローラが抱える課題
○Moto Zの販売とモジュールの寸法に課題

無論、Moto Modsを広めるためには、それが利用できるMoto Zシリーズの販売拡大が不可欠だ。現在、モトローラの販売を伸ばしているのは下のクラスの「Moto G」シリーズなどだが、今後はより価格が高いMoto Zシリーズの販売をいかに広げていくかが、Moto Modsの広がりを考える上でも重要になってくるだろう。

そうなると、少なくとも日本市場においては、SIMフリー市場だけでなく、販売奨励金によって高額のモデルが購入しやすくなる、大手キャリア向けにも端末を供給することが必要になってくるかもしれない。モトローラはかつて大手キャリアに携帯電話やスマートフォンを提供してきた実績があることから、再参入の可能性もあり得ない話ではないが、現在のキャリア側の要求に応えながらも、自社のアイデンティティを生かした端末を提供できるかが課題の1つとなってくるだろう。

またもう1つ、Moto Modsの利用が広がるほど、モトローラにとって問題を抱える部分もある。というのもMoto ModsはMoto Zシリーズの寸法に合わせて設計されていることから、Moto Zシリーズの新機種の寸法が変わってしまうと利用できない、あるいは使えてもデザイン的に不整合が起きてくるのだ。

モトローラとしては、Moto Modsの動作はMoto Zシリーズの2世代先まで担保する方針のようだ。だが裏を返せば、その間は端末のサイズ感を大きく変えられないことにもつながってくる。その間にスマートフォンのデザイントレンドが大きく変わった場合、対応が難しくなるというリスクがあるだろう。

Moto Modsのアイデアは非常に特徴的であり、他社との大きな差異化要因にもなっているのは確かだ。だがそれだけに、利用を拡大し、長く提供していく上では課題も多いように感じられる。そうした課題をいかに克服し、コンセプトを広めていけるかがモトローラの戦略上重要なポイントになってくるといえそうだ。
(佐野正弘)

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