生まれ変わった姫路城! 外国人入城者数が3.6倍になった、そのワケとは【前編】

生まれ変わった姫路城! 外国人入城者数が3.6倍になった、そのワケとは【前編】

画像提供:マイナビニュース

●文化財そのものをみせる
世界文化遺産・姫路城。2009年から5年間、大天守部分の修理が行われたが、その工事中の様子を間近で見学できる施設「天空の白鷺」が人気を博した。さらに改修後もARアプリを導入するなど来城者が楽しめる仕掛けが随所に散りばめられ、訪日外国人の数は改修前に比べ3.6倍になったという。マイナビニュースでは関係者への取材をもとに、“平成の大修理ドキュメント”を2回にわたってお届けする。

○大天守部分を覆った巨大なメッシュシート

姫路城大天守保存修理事業が立ち上がったのは、2009年6月のこと。その経緯について、姫路市の姫路城管理事務所副所長の春井浩和氏は次のように振り返る。

「1964年の“昭和の大修理”から約50年が経過し、漆喰や瓦などの傷みが目立つことから、修理が決定しました。その際、ただ修理するだけでなく、築城以来400年の歴史を誇る文化財そのものを見てもらおうと、保存修理工事そのものを見学させるという構想が生まれました。世界文化遺産修理の常時公開は日本初の試みです」

●修理中をみせる
これが姫路城修理見学施設、愛称「天空の白鷺」(※名称は一般公募により決定)プロジェクトの始まりである。5社による競合コンペが行われた結果、空間創造事業と空間活性化事業を展開する乃村工藝社が内装や展示を担当することに。同社は年間7000件以上プロジェクトを遂行しているディスプレイデザイン会社である。

修理見学施設のアートディレクションを手がけた乃村工藝社のデザイナー・奥田龍一氏が提案したコンセプトは「職人の技を伝え、継承すること」。

まず奥田がこだわったのが、修理中の外観だ。城郭を覆う高さ53mのメッシュシートに、実物大の姫路城の線画が描かれた。

「素屋根に描かれた実物大の城の線画は、50年前の大修理の設計図をもとに、工事用メッシュシート約800枚にインクジェット出力したもの。改修中、シートにすっぽり覆われてしまった姫路城を少しでも感じてもらう演出をしました」

春井氏も「乃村工藝社さんのプレゼンは、我々が最も重視していた“外観を楽しむ”というコンセプトに合致したのです」と選定理由を述懐する。

しかし、こだわりは外観だけに留まらない。

●修理の裏側の魅力をみせる
○修理中184万人が訪れた見学施設のこだわり

城郭内部は8階建てとなっており、1階と7、8階に見学用のスペースが設けられた。「最上階8階はガラス張りにし、職人たちによる瓦や漆喰の修繕作業を間近で見られるようにしました。また天守閣の美しい屋根を臨場感のあるアングルから見ることができる仕掛けも、人気を博した理由のひとつだと考えています」(奥田氏)

そして伝統技術をもつ職人の“技”へのリスペクトも忘れない。「今回の修理工事で重要な役割を担う職人たち。未来へ“技”を継承するため現在の職人に経験を積んでもらう必要があります。その思いを具現化するため、1階のエントランスホールの壁面には、職人たちのシルエットをデザインしました」(奥田氏)

「城郭建築の醍醐味を体感しながら間近で“匠の技”を見学できる仕掛けと世界遺産の話題性が相乗効果となり、開館期間中は184万人の来館を記録しました。当初のねらいであった文化財修理や大規模改修の重要性の啓発につながったと感じています」(春井氏)

こうして2014年にグランドオープンした姫路城。乃村工藝社は、その後の姫路城の管理・運営も担っていくこととなる。【後編へ】
(平井万里子)

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