フードデリバリーサービスにあらず、「LINEデリマ」が目指す最終形態

フードデリバリーサービスにあらず、「LINEデリマ」が目指す最終形態

画像提供:マイナビニュース

●出前が頼めるLINEのサービス
LINEは26日、「LINEデリマ」を開始した。LINEの中からデリバリーサービスの注文や決済が行えるサービスだが、「LINEショッピング」でオンラインからオフラインへの送客(O2O)戦略を進めるLINEが、デリバリービジネスに進出する理由はどのようなものだろうか。

○全国約1万4000店舗がサービス提供

LINEデリマは、LINEと宅配総合サイト「出前館」を運営する夢の街創造委員会(以下、夢の街)が共同でスタートする宅配ポータルサービス。LINEアプリ内の「Moreタブ」(LINEアプリ最下段の右端のアイコン)から「LINEデリマ」を選択してアクセスする(表示されない場合はLINEアプリを最新版にアップデートすること)。

LINEデリマでは出前を取れる店舗を、料理のジャンル、店舗名、エリアなどから検索できる。現在地から近い店で検索することも可能だ。食べたい料理を選んだら、配達時間や支払い方法、配達先などの情報を入力して注文する。支払いには元になる出前館の支払い方法はもちろん、LINEポイントやLINE Payを充当することもできる。

またLINEデリマの公式アカウントを友達に登録しておくと、チャットで食べたいジャンルをつぶやけば、そのジャンルのリストを見せてくれたり、現在展開中のイベントを紹介してくれたりする。

対応するショップは、出前館で利用できるすかいらーくグループ(ガスト、バーミヤンなど)、ピザ、イタリアン、中華、寿司などのチェーン店が名を連ねる。公式発表では初期段階で全国の約1万4000店舗が対応しており、現在「準備中」と表示される店舗も今後、随時追加されていく予定だ。

●再挑戦となるフードデリバリー
○なぜデリバリー事業に進出したのか

LINEデリマでは集客をLINEが行い、実際のサービスは送客された先の出前館が行うといった形になる。ちょうど6月にスタートしたLINEショッピングと同じ構造だ。LINE自身は以前、iPhoneアプリからフードデリバリーや買い物代行を頼める「LINE WOW」というサービスを展開していたが、1年程度で終了した経緯がある。ではなぜ今、再びデリバリー事業に向かうのだろうか。

LINE WOWは高級店からのデリバリーが受けられるなど、サービスとしての魅力は高かったが、都市部でしか展開できなかった。一方、LINEデリマならパートナーと組むことで全国区で展開でき、LINEが持つユーザー規模と、パートナーのエリアカバレッジの相乗効果が期待できることになる。

LINEでO2O事業を統括する藤井英雄執行役員によれば、もともと出前館では利用者の55%が女性ユーザーと女性比率が高かったのだが、LINEデリマの事前テストでは、女性比率が実に72%にまで跳ね上がったという。パートナー側としては、これまでにないユーザー層の開拓が大いに期待できるというわけだ。

また、夢の街の中村利江社長によれば、「出前館」は元々専門的なサイトでコンバージョン率もリピーターも多かったが、知名度が低いことで伸び悩んでいたという。そこをLINEのユーザー集客力でカバーすることで互いに補完しあえることになる。ユーザーが増えることで危惧されたコンバージョン率の低下も工夫することで元に近い数値が出るようになったということで、今の所メリットのほうが大きいようだ。

LINEデリマでは将来、生鮮品や日用雑貨、医薬品へとカテゴリーを拡大したいとしている。生鮮品などのデリバリーという点では、たとえばAmazonのPrime Nowなどがあるが、倉庫のある場所から一定のエリアしか対応できないPrime Nowと違い、提携店が近くにあれば対応できるLINEデリマの日用品デリバリーは、全国展開の面で有利だ。特に一人暮らしで車を持っていない都市部の若者などは、普段使っているLINE内からの宅配を便利に活用するだろう。

デリバリー市場全体は2兆円以上の規模があるというが、O2O事業で2018年に流通額1000億円を目指すLINEにとって、LINEデリマはある意味、LINEショッピングよりも目に見えた効果を期待しやすいサービスになるかもしれない。LINE WOW撤退から2年、LINEの再挑戦がどのような形で身を結ぶか、期待したい。
(海老原昭)