真夏に鍋料理のテレビCM、しゃぶしゃぶ温野菜の"夏鍋"に賭けた自信

真夏に鍋料理のテレビCM、しゃぶしゃぶ温野菜の"夏鍋"に賭けた自信

画像提供:マイナビニュース

●夏に鍋料理のテレビCM
鍋料理は普通、冬に食べるイメージだが、今年は夏に食べる鍋"夏鍋"というのがちょっとした盛り上がりを見せるかもしれない。仕掛けるのはレインズインターナショナルが展開するしゃぶしゃぶ温野菜(以下、温野菜)だ。

○期間限定、今年の夏鍋

温野菜は夏鍋第3弾として、7月27日から9月20日までの期間限定で「坦々肉鍋」と「トマトすき焼き」の提供を始めた。価格はいずれも食べ切りが2,380円(税別、以下同)、食べ放題が3,280円(お子様割・シニア割あり)となる。

今年は第1弾として5月25日から「紀州南高梅 梅しゃぶ」、第2弾として6月29日から「トムヤムクンでラムとパクチー」を販売、そして、第3弾メニューの提供に加えてテレビCMを放映し、夏鍋に力を入れていく。

しゃぶしゃぶ料理屋が「夏に鍋を!」と呼びかけるのは自由だが、通常、鍋料理といえば冬。なぜ、コストをかけて夏鍋を訴えるのかは疑問の残るところ。運営元のレインズインターナショナル 温野菜マーケティング部 オペレーション担当の山口健太氏に聞くと、「夏に鍋料理が合わないと思う人はまだ多い。逆に鍋料理を求めて欲しい」と話す。

「いやいや、ムリでしょ」というのが筆者の本音。しかし、これまでの取り組みと手応えを聞くと、可能性はゼロではないとも思えてくるのだ。

実は夏鍋は今年で4年目となる取り組みだ。売上が一年で最も落ち込む夏の時期の目玉商品として打ち出したのが始まりとなる。

夏鍋以前は様々な取り組みを行ってきた。温野菜の強みである野菜の写真を目立つようにしたり、温野菜の"温"という文字をカタカナにしたりもした。少しでも涼めるものをと、冷しゃぶの販売などにも力を入れてきた。しかし、冷しゃぶでは挽回できなかった。

●冷しゃぶの失敗から得たもの
○冷しゃぶの失敗から得た仮説

山口氏によると「鍋で熱を通した肉を手元の氷水で冷やす。食べるのが大変。そもそも冷たいものを食べるなら、温野菜には行かないのでは……」という結論に達したようだ。

暑い夏だから涼しさを!、という発想は受け入れられなかった。ならば……と、4年前にマーケティング部が打ち出したのが"夏鍋"だ。夏だから鍋料理にしようという逆転の発想をしたわけだ。

開始1年目は「蒙古炎鍋」「薬膳香鍋」などを6月初頭から9月上旬まで展開。このうち最後の薬膳鍋は今ではレギュラーメニュー入りを果たしたという。お客の反応も良く、山口氏は「1年、2年、3年と続けるに従って確実に増えている。来店客は15%増えた。酸っぱいもの、辛いものなら来店してもらえる。夏鍋というキーワードがお客さんの心に響いた」と話す。

売上にも変化が出た。1年を通じて宴会シーズンの12月がピークなのは不動だが、売上不振の8月は逆に売れるようになり、状況は変わったという。「夏だからこそ、熱いものが食べたい」とよく言われるが、温野菜のケースに限れば、それは本当だったようである。

こうした手応えを得て、温野菜の夏季の取り組みが今年は大きく変わった。従来3カ月だった夏鍋の期間をスタート時期を早めて4カ月に拡大。従来、夏鍋は期間限定メニューを同時提供していたが、今年は第1弾から第3弾と分けて提供するようにした。温野菜のリピーターは2カ月に1回の来店頻度とされ、リピーターに夏鍋全部を食べてもらえるよう時期を分けた。

そして、テレビCMで"暑い夏だから鍋を食べて欲しい"というメッセージを出し、手応えを得た夏鍋をトレンド化したいというわけだ(一部地域のみ放映)。

温野菜は全国385店舗(うち直営62店舗)を持ち、しゃぶしゃぶ料理屋としては最大手。いわば"夏鍋"というキーワードをもって、「鍋料理は夏でも受け入れられるのか」という壮大なテーマに挑戦することにもなる。近頃は"夏鍋"を用いて展開する他社も出てきており、飲食業界では動き出したところもあるという。こうした話を聞くと、"夏鍋"がトレンド化してもおかしくはないとも思えてくる。夏に食べる鍋の"夏鍋"はどれほど多くの人の心をつかめるだろうか。
(大澤昌弘)