ホンダが「N-BOX」刷新、軽自動車トップの販売台数は維持できるか

ホンダが「N-BOX」刷新、軽自動車トップの販売台数は維持できるか

画像提供:マイナビニュース

●初代は大ヒット、2代目はどうなる?
ホンダが軽自動車「N-BOX」を刷新し、9月1日に発売する。現行モデルは軽自動車市場で販売台数トップの大人気商品だが、新型N-BOXはそのポジションをキープすることができるのだろうか。

○事前受注が2.5万台を突破!

2011年に登場した初代N-BOXを皮切りに、「N-ONE」「N-WGN」とモデルの幅を拡げてきたホンダの「N」シリーズ。広い室内空間を持つスーパーハイトワゴンのN-BOXはファミリー層、特に子育て中の母親に好評を博している。販売台数も好調で、最も売れた2012年度には23万6287台を記録。直近の2016年度でも19万台超と、モデルチェンジ直前でも販売の勢いはそれほど落ちていない。軽自動車市場の推移を見てみると、2012年度から2016年度までの5年間で、N-BOXは4度も販売台数トップを獲得している。

新型N-BOXでは「日本の家族のしあわせのために」をコンセプトとし、引き続きファミリー層からのニーズを開拓していく構えだ。価格は税込みで138万5640円から208万80円という設定。販売計画台数は月間1万5000台(年間18万台)で、事前受注はすでに2万5000台を超えているという。この計画から考えても、ホンダは軽自動車市場でトップのポジションを譲るつもりはないようだ。

新車発表会に登壇したホンダ執行役員で日本本部長の寺谷公良氏は、新型N-BOXを「豊かな生活を実現するクルマ」と表現。フルモデルチェンジでは原点に戻って商品性をとことん突き詰め、軽量化、新たなシートアレンジによる使い勝手の向上、安全運転支援システムの全タイプ標準装備などを実現したという。次は具体的に、N-BOXが進化した点を見ていきたい。

●80キロの軽量化に成功、運転支援システムを標準装備
○助手席の稼動域が拡大、使い勝手が向上

まず軽量化の部分では、約9割の部品を見直すことで、初代に比べ重量が約80キロ軽くなっている。開発責任者を務めた本田技術研究所の白土清成氏によると、純粋な軽量化という意味では150キロも軽くなっているそうだが、商品力を上げるため、性能を進化させたり装備を充実させたりした分だけ重量が増え、差し引き80キロの軽量化という結果となったそうだ。新型N-BOXでは軽量化とパワートレインの刷新により、サイズがひと回り小さい「N-WGN」と比べても遜色ないレベルの加速性能を獲得できたという。

シートアレンジとしては、新型で採用となった「助手席スーパースライドシート」が特徴的だ。ホンダは、助手席に乗る母親が後部座席の子供を世話するシーンなどを例示し、助手席を大きく前後に動かせるシートアレンジの利点を説明する。

安全面では、安全運転支援システム「ホンダセンシング(Honda SENSING)」が全タイプで標準装備となる。カメラ、レーダー、センサーを用いたシステムの導入により、新型N-BOXには「衝突軽減ブレーキ」や「誤発進抑制機能」といった機能が加わる。

○大幅な刷新も、外見は大きく変えない理由

新たな装備を採用し、部品の約9割を見直しながらも、見た目は初代から大きく変わっていない印象の新型N-BOX。大ヒット商品に育った初代と比べると、性能面で進化した部分は多いのだろうが、初代が築いた地位を引き継いでいくため、奇をてらったような大幅な変化は加えたくないというのがホンダの考えなのだろう。

発表会の会場で話を聞いたホンダの説明員によると、人気のN-BOXをフルモデルチェンジするのは「プレッシャーがあった」そうだ。新型では「N」シリーズからの乗換えを中心に需要を開拓し、引き続き軽自動車トップのポジションを維持していく考えだという。

●N-BOXの成功でホンダが「軽とミニバン」のイメージに?
○軽が売れるのはホンダにとってジレンマ?

N-BOXはホンダの国内販売の約3割を占める人気シリーズに成長したが、「NSX」や「シビック」といったクルマを手掛けるホンダのイメージが、「軽とミニバンのホンダ」という風に変化していくことに懸念はないのだろうか。発表会の質疑応答では、このジレンマについて報道陣から質問が出た。

この質問に対し寺谷氏は、「シビックのようなスポーティーなブランドイメージと、『N』シリーズのように生活を豊かにする方向性があるが、これをどのように一体化し、ホンダブランドを作っていくかがテーマだ。これはジレンマではなく、ホンダブランドを、全てを包含するいいブランドとして作っていくのが重要な課題だ」と応じた。

Nシリーズの累計販売台数は112万台に達するというから、その乗り換え需要を考えても、N-BOXの販売は引き続き好調に推移しそうな感じがする。あとは、走りや操縦性に特徴のある“ホンダらしい”クルマが、Nシリーズ同様に存在感を発揮できるかどうかが、ホンダブランドの今後を考える上で重要なテーマになる、ということなのだろう。
(藤田真吾)

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