CEATEC 2017で見た、パナソニックが考えるIoTの世界観

CEATEC 2017で見た、パナソニックが考えるIoTの世界観

画像提供:マイナビニュース

●最終製品にこだわらない"B2Bのパナソニック"
10月3日より開催している「CEATEC JAPAN 2017」のパナソニックブースでは、「スマートライフ」などをテーマとした多数の製品や技術が展示された。

画像認識技術を利用した「メイクアップデザインツール」や子供向けソーシャルロボットなど、見た目にも分かりやすい展示が注目を集める一方で、IoTが実現する未来を見据えた回路や電池、センシングといった技術も展示された。そこから見えてきたのは、これまで以上に「柔軟」な世界だ。

○伸縮自在な回路で、衣服がウェアラブルデバイスに

パナソニックがコンセプトの提案として展示したのは、衣服にウェアラブルデバイスの機能を「縫い付ける」ことができる「WEARABLE MAKER PATCH(ウェアラブルメーカーパッチ)」だ。

パナソニック独自の伸縮自在な「ストレッチャブル回路」を応用したもので、文字通り針と糸を使った裁縫でウェアラブルデバイスを作れる。ブースでは脈拍や温度、水分などのセンサー、Bluetoothやブザーなどをカラフルな布に縫い付け、モジュールとして展示した。

これらのモジュール組み合わせることで、見守り機能付き子供服や、温度や湿度の管理システムと連携する作業服、タッチ操作可能なクッションなど、スマートな衣類や家具が実現できるというわけだ。

現時点ではコンセプトのみとなるが、モジュールを販売するといった事業化も計画しており、CEATEC内ではデジタルハリウッド大学とのコラボによるアイデアコンテストも開催した。今後は開発者コミュニティやハッカソンイベントによって、アイデアある開発者を惹き付けられるかどうかが鍵になりそうだ。

○IoTやウェアラブルに欠かせない「電池」も進化

IoTやウェアラブルデバイスに欠かせないのが、電力供給の問題だ。デバイスの大きさに見合う小型の電池が必要になるのはもちろん、曲げや衝撃に強いことも求められる。こうした需要を見据えてパナソニックが開発を進めるのが「IoT/ウェアラブル向け小型二次電池」だ。

パナソニックが業界最小とする直径3.65mmの「ピン型リチウムイオン電池」は、繰り返し充電しても形状が膨れることがなく、スリムな形状を維持できるという。容量15mAhのモデルはすでに量産中で、フィットネスバンド「Fitbit Flex2」にも採用。2018年にはさらに高容量のモデルの量産を開始する予定だ。

なお、昨年のCEATECで発表した厚さわずか0.45mmの「フレキシブルリチウムイオン電池」も展示していたが、現時点では量産化まで至っていない。

量産に向けての課題は、コストとのバランス。モバイルバッテリーの普及によりリチウムイオン電池の価格は大きく下がっているが、IoT市場ではさらに小型かつ安価な電池が求められる。スマートグラスや身体に貼り付ける医療機器など、小型電池を最大限に活かしたデバイスの登場が待たれるところで、パナソニックではこのフレキシブル電池を数年以内に製品化する目標を掲げている。

●エアコンが体調を気づかってくれる時代に
ブース展示はIoTのハードウェアだけではない。カメラとサーモカメラを利用した「感情・体調センシング」は、パナソニック独自アルゴリズムによるソフトウェア技術を示す例だ。

従来のセンシング技術は顔の画像から表情を読み取ったり、脈拍数から眠気を予測したりと限定的なものにとどまっていた。これに対してパナソニックが展示したセンシング技術では、表情や瞬き、脈拍、皮膚温度、放熱量を組み合わせることで、人の感情や体調を推定できることが特徴になる。

具体的な応用としては体調の変化を察知して動作を変えるエアコンや、運転中に眠気を察知することで温度やBGMの音量を変える自動車、人を笑顔にするロボットといった例をパナソニックは挙げている。

また、人の感情を読み取ることができれば、接客の現場も変わりそうだ。これまでは熟練した販売員しかできなかったような接客が可能になり、マーケティングへの活用も期待できるという。こうした柔軟な対応を可能にすることで、より快適で住みよい社会を実現するというのが、パナソニックのIoTが目指す世界観といえるだろう。
(山口健太)

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