手帳と文具2018 第20回 手帳の2017年を回顧する

手帳と文具2018 第20回 手帳の2017年を回顧する

画像提供:マイナビニュース

2017年、手帳のプロダクトにはいろいろトレンドがありました。システム手帳が再び盛り上がったり、カレンダー手帳に代表される卓上型の手帳が複数メーカーから登場したりと、個性的な手帳も例によって多数登場しています。

文具のイベントとしては7月には国際文具・紙製品展(ISOT)が、12月には文具女子博がありました。これらについては、既報したとおりです。

今回はこれまで、そしてこれからの手帳を巡るマクロ、ミクロな動きについて触れたいと思います。マクロなこととは暦のこと、ミクロなこととはユーザーのことです。
○マクロ編:暦と手帳

2017年12月1日、天皇陛下の譲位の日程等を決める皇室会議が宮内庁で開かれました。それによれば、2019年(平成31年)4月30日に譲位が行われ、5月1日に改元することが決まったとのことです。

譲位は江戸後期の119代光格天皇以来、約200年ぶりだそうです。もともと元号は、前漢の時代に初めて制定されました。そして現在では元号があるのは世界でも日本のみ。それが変わることは日本の社会に大きな影響があることは、昭和から平成に元号が変わった時点で既に経験しています。

今上天皇の退位に伴う元号の改元は12月よりも前の段階で広く知られていました。それゆえ、既報した「ほぼ日5年手帳」には元号表記がありません。また、手元の2018年版の「NOLTYクレスト2」(JMAM)にも2019年のカレンダーには、元号表記はなされていません。これは、改元という国の予定を見越してのことです。

手帳が、そのほかの文具と区別される要素はいろいろありますが、もっとも大きな要素のひとつは、時間軸とそれに付帯する情報が記されていることでしょう。そしてそれは、手帳としての表記の在り方に影響を与えます。

新しい元号がなにになるのかはわかりません。古典漢籍を参照しながら有識者の集団によって決定されるのは間違いないでしょう。例えば平成という元号は、中国の『史記』五帝本紀にある「内平外成(内平らかに外成る)」、『書経』大禹謨の「地平天成(地平かに天成る)」からとられています。
○ミクロ編:ユーザーと手帳

もうひとつの動きはユーザーのことです。主にネットを舞台とした、手帳のユーザーの活動やイベントがこれまでになく大きな影響があったことを筆者は実感しました。これまでも、WebサイトやBlogなどでユーザーが自分の手帳を披露する例はありましたが、今年はSNS、そしてスマートフォンの普及でそれがまた一歩進んだと感じられたのです。

具体的には、「手帳イベント」「Instagram」そして「てちょぷり」です。
○手帳イベント

まず手帳イベントですがこれも既報のように、2つのイベントが開催されました。詳しくは既報を見ていただくとして、手帳のユーザーの団体が日本の各地にあり、それぞれ独自に活動しているようです。それは『手帳事典2018』(玄光社)という書籍の巻末に紹介されているとおりです。

ちなみに手帳のイベントを初めて開催したのはおそらく筆者で、当時の参加者が上記の2つの団体の中心メンバーになっています。
○Instagram

Instagramは、バレットジャーナル書き方ガイドの回で触れたように、手帳のユーザーが自分の手帳をどう書いているかをオープンにする場としても利用されています。

それまでも手帳がWeb上で話題になることはありましたが、Instagramでは、記入された面や併用する筆記具などがまさにユーザー目線で写真になっています。ほかのユーザーの実態が手に取るようにわかるようになったことが今までとの違いでしょうか。

ブログでもなく、Facebookでもない点が面白いところで、確かにスクエアな縦横比のInstagramは、手帳の記入面をアップするのにはむいているようにも思われます。
○てちょぷり 

てちょぷりは、"クラウド経由の手書き"とも言えるもので、手帳好きな一般ユーザーの方がご自身の手帳の使い方や、アレンジ方法などを独自に書いてA4一枚にまとめたものです。出力は、コンビニのマルチコピー機から。どんな内容のものがあるのかは、Twitterで検索すると出てきます。

もともと、マルチコピー機はビジネス文書やオフィスのファイルなどを保存しておき必要に応じてプリントするような用途が想定されていました。てちょぷりはこれを応用したものです。

筆者にとっては当初はこれはよく理解ができないものでした。ネットにアップする方が簡単なのに(ネットにアップしている方もいらっしゃるようです)、なぜわざわざコンビニの機械から有料で出力するようなものを用意するのかが理解できなかったのです。

ですが、これは紙の上に手書きを再現しているのだと考えれば、理解できます。確かにクラウド経由ではありますが、紙という物理的にサイズが規定されている実体の中にどんな情報をどのように配置するか。これは手書きと親和性の高いメディアだといえます。

このように、手帳を巡る状況にはマクロとミクロの両面で、大きな動きがありました。来年は恐らく新元号が決まり発表されると思われます。早く新しい元号が記された手帳が見たいものです。

○舘神龍彦
手帳評論家、ふせん大王。最新刊は『iPhone手帳術』(エイ出版社)。主な著書に『ふせんの技100』(エイ出版社)『システム手帳新入門!』(岩波書店)『意外と誰も教えてくれなかった手帳の基本』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)『手帳カスタマイズ術』(ダイヤモンド社)など。また「マツコの知らない世界」(TBS)、「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)などテレビ出演多数。手帳の種類を問わずにユーザーが集まって活用方法をシェアするリアルイベント「手帳オフ」を2007年から開催するなど、トレンドセッターでもある。手帳活用の基本をまとめた歌「手帳音頭」を作詞作曲、YouTubeで発表するなど意外と幅広い活動をしている。

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Blog :「舘神Blog」
(舘神龍彦)