相場展望11月15日 米国では、『インフレの高まりが、政治問題化』 物価上昇を転嫁できない日本企業に業績懸念?

相場展望11月15日 米国では、『インフレの高まりが、政治問題化』 物価上昇を転嫁できない日本企業に業績懸念?

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)11/11、NYダウ▲158ドル安、35,921ドル(日経新聞より抜粋)

  ・市場予想を下回る決算発表をしたディズニーが▲7%安の大幅安となり、1銘柄でNYダウを▲80ドル強、押し下げた。11/10発表の7~9月期で、成長の柱に据える動画配信サービスの契約者数の伸びが急減速した。発表後に目標株価を引き下げるアナリストが相次ぎ、売りを誘った。

  ・前日に長期金利上昇を背景に売られたハイテク株に見直しの買い入り、相場を下支えした。エヌビディア、AMDが高い。

  ・マスクCEOが保有株の一部を売却したことが判明した電気自動車のテスラが小反落した。

【前回は】相場展望11月11日 米インフレ懸念で金利上昇し、ハイテク株総崩れ ただし、現時点では『高値圏での一時的調整』

 2)11/12、NYダウ+179ドル高、36,100ドル(日経新聞より抜粋)

  ・米長期金利が落ち着いた動きとなり、主力ハイテク株への見直し買いが続いた。

  ・会社分割を発表した医薬品・日用品のジョンソン&ジョンソンも上昇した。

  ・10月米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回り、インフレ懸念から金利上昇が加速していた。その金利上昇が一服し、高PER(株価収益率)銘柄の割高感が高まるとの懸念が和らぎ、スマートフォンのアップル、ソフトウェアのマイクロソフトが買われた。

  ・市場予想を上回る決算が目立ち、経済正常化による米景気の回復が続くとの楽観が根強い。米国株に資金が流入しやすい地合いが続くとの見方が、買いを誘っている。

  ・マスクCEOによる追加株売却が明らかになった電気自動車のテスラは▲3%安。

  ・なお、NY債券市場では、米国でのインフレ圧力の高まりを意識した債券売りが優勢となった。

●2.米国株は、『インフレの高まりが、政治問題化』し始め、FRBにも政策転換圧力

 1)米国では最近、ガソリン高・食料品高など目立った物価上昇となり、賃金の上昇を上回る状況になってきている。米国民から、政府はインフレ対策をしないとの声が広がっている。

 2)国民の間での物価上昇への不満が高まりに対し、バイデン大統領も無視できず『インフレ対策が最優先課題』との発言をせざるを得なくなった。

 3)米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の従来の見解『インフレは一過性』の変更圧力を「政治」サイドからも受けることになった。

  ・金利引上げ

  ・FRB資産膨張額の縮小ならびに、資産そのものの圧縮

  が、FRBの想定していたタイミングから早まる可能性がでてきたと受け止めるべきだろう。

 4)さらに、パウエルFRB議長の「再任問題」があり、政治から「インフレ対応の圧力」が加わり、パウエル氏は金融政策を維持することが困難になってきたとも言える。

 5)金利先物市場では、物価上昇を受け、2022年にはFRBによる金利引上げが2回あると既に織り込んでいる。

 6)株式市場では、好調な企業決算発表を好感し、堅調に推移している。その決算発表も終盤となり、市場の意識が「インフレ」に向く可能性がある。そのため、ボラティリティが高まる可能性に警戒は怠れなくなってきたと言えよう。

 7)と言っても、超過剰マネーである点は変わりはないため、しばらくはカネ余りが株式市場を支えると見込んでいる。

●3.米11月ミシガン大学消費者信頼感指数66.8、2011年11月以来の低水準(ロイター)

 1)市場予想72.4、10月71.7だった。

 2)11月は、4人に1人の消費者がインフレによる生活水準の低下を指摘しており、低所得者と高齢者が最も大きな影響を受けている。インフレ高進による打撃を軽減する効果的な政策が依然と実施されていないという考えが消費者の間で広がっている。

 3)賃金は上昇しているが、食料品やガソリン、住宅などのコスト高騰で消費者の購買力は低下。(ブルームバーグより抜粋)

  インフレ調整後の所得が2022年に減るとみている世帯は、全体の半数に上った。

●4.ドル軟調、スタグフレーション懸念も根強く(フィスコより抜粋)

 1)米CPIが30年ぶり最大の伸びを記録した。 一方、11月ミシガン大消費者信頼感指数は10ぶりの低水準に落ち込んだ。インフレの上昇が証明されるなか、米国経済の7割を占める消費鈍化で回復が滞ることも懸念され、スタグフレーション懸念も根強く、ドルの上昇を抑制した。

●5.米10年物TIPSブレークイーブンレートは2.73%、2006年来で最高(フィスコ)

●6.米ジョンソン&ジョンソン、消費者向けと医療向けに会社2分割(共同通信)

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)11/11、上海総合+40高、3,532(亜州リサーチより抜粋)

  ・不動産業界を巡る好材料が投資家心理を上向かせる流れとなった。ディベロッパーを対象とする融資規制「三条紅線」(3本のレッドライン)について、一部の国有企業が当局に緩和を要請した、などが伝わった。流動性危機に直面する民営ディベロッパーからの資産買収に、国有企業が動きやすくなると期待された。

  ・また、中国人民銀行(中央銀行)が11/10報告データにより、各銀行による個人住宅ローン残高が10月に大幅増加したと判明。これを受け、複数の証券メディアは、「不動産締付けの動きが緩和されつつある」と報じた。

  ・業種別では、不動産株が上げを主導し金融・資源・素材・ハイテク等が買われた。反面、発電株は安い。

 2)11/12、上海総合+6高、3,539(亜州リサーチより抜粋)

  ・米ハイテク株高が好感される流れとなった。ナスダック指数が3日ぶりに反発し、ADR(米国預託証券)に上場する中国のネット株も軒並み買われた。

  ・米中関係の改善にも期待。両政府はオンラインでの首脳会談を早ければ週明け11/15にも開催する方向で調整に入ったと伝わった。

  ・ただ、上値は重い。週明け11/15に、今年10月の中国経済統計(小売売上、鉱工業生産など)が公表することもあり、様子見ムードも漂った。

  ・業種別では、半導体を除くITハイテク関連の上げが目立った。軍事関連・農業関連株も高い。反面、半導体株は総じて冴えなく、不動産株も安い。

●2.中国共産党が「歴史認識」採決し、習氏を毛沢東・鄧小平に並ぶ指導者に(朝日新聞)

 1)習氏は来年に控える5年に1度の党大会で、過去の不文律を破って3期目に挑むことが有力視されている。

 2)歴史決議の採決は、党大会に向けて、自らの権威を盤石にする狙いがあるとみられて

いる。

●3.アリババ、独身の日(11/11)で売上9.6兆円、過去最高を更新(ブルームバーグ)

●4.中国経済11/15の指標発表に注目、回復失速を一段と示唆か?(ブルームバーグより抜粋)

 1)供給ショックの原因

  (1)電力不足: 10月鉱工業生産は前年同月比+3%増と低水準を見込む。

          10月製造業購買担当者指数(PMI)生産指数は節目50割れ?

          厳冬の予報や限られた石炭供給で、さらなる電力不足もあり得る。

  (2)中国当局の規制: 不動産と関連業界で中国国内総生産(GDP)の25%を占め、不動産規制で低迷が引き続くと、成長に最大の重石となり得る。

  (3)金融リスク: 不動産開発業者の資金調達難で、不動産投資が引き続き打撃を受ける公算が大きい。

 2)消費減退の原因

  (1)小売売上: 10月小売売上高は前年同月比+3.8%増に鈍化予想。

           消費は、コロナ感染再拡大と中国政府によるゼロコロナ政策で新たな打撃を受ける公算が大きい。

           外食店・ケータリング・実店舗での小売が特に痛手を被る。

           消費者信頼感指数は、コロナ禍以前の水準を回復していない。

 3)今後の見通し

  野村の11/10リポートでは、

  (1)「最悪期はこれからだ」と指摘。

  (2)「中国政府は実際の行動を起こすほど深刻な水準と受け止めていないことから、経済状況はさらに悪化する可能性が高い」と説明した。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)11/11、日経平均+171円高、29,277円(日経新聞より抜粋)

  ・前日の米国株の流れを受けて売り先行となったが、ほどなく上昇に転じ、5営業日ぶりに反発した。日経平均は前日までに▲700円近く下落したこともあり、好業績銘柄を中心に値ごろ感に着目した買いが入った。

  ・上海株式相場の上昇で買い安心感が広がり、為替も円安に振れたことも支援材料となった。

  ・一方、米国の10月消費者物価指数(CPI)が市場予想位を上回る高い伸びを受け米国の早期利上げ懸念が再燃したことが重荷となった。

 2)11/12、日経平均+332円高、29,609円(日経新聞より抜粋)

  ・政府の経済対策の具体案が次々と伝わるなか、政策への期待から幅広い銘柄に買いが入った。政府が11/19に決める経済対策を巡って、

  (1)介護・保育分野の処遇改善

  (2)中小企業支援策

  などが盛り込まれると伝わった。

  (3)コロナ感染対策では、イベント参加人数の上限撤廃

  の検討も伝わる。

  ・米国株に比べた出遅れ感を意識した買いが入ったとの見方もあった。

  ・中国の不動産業界の債務問題への警戒感がいったん和らいでいることも、米中両国のアンライン形式での首脳会談が来週に予定されており、買い安心感が広がり、売り方の買戻しにつながったとの見方もあった。

  ・業種別では、通信や不動産の上昇が目立った。

●2.原油高・円安で企業物価指数は上昇、価格転嫁できない日本企業は下期業績悪化の可能性

 1)日経平均と外資系売買の相関は高く推移した。

  ・11月1週(11/1~5)は、外資系が+423億円の買越しとなり、日経平均は+719円高となった。

  ・11月2週(11/8~12)は、外人売買額は統計発表待ちであるが、

  外資系先物は▲543枚売越したが、国内勢の買い向かいもあり日経平均は▲2円安にとどまった。

 2)日銀発表によると原油高・円安の急速な進行で、企業のコストとなる素材原料が+63%上昇したが、値上げできたのが+3.8%に過ぎないという。

  ・つまり、コストアップは価格転嫁できず、企業の売上利益率の低下となり、2022年下期以降の企業業績を直撃する可能性がでてきた。

  ・上期決算では、好決算を好感して個別銘柄が選好される流れであった。一転して今後、この「上方修正」⇒『下方修正』の懸念の深まりが気掛かりとなる。

 3)EPS(1株利益)の伸びが期待できないとなった場合、外人が売買シェア67%程度を占める東京株式市場への影響を意識する必要もあるだろう。特に、外国人短期筋の転換の速さに、注目したい。

●3.日本銀行発表、10月企業物価指数は前年比+8.0%上昇、40年ぶり伸び率(ブルームバーグより抜粋)

 1)市場予想+7.0%を超えて、1981年1月以来、プラスは8カ月連続。

 2)原油価格の上昇や円安の進行に伴い、石油・石炭製品や鉄鋼・化学製品を中心に幅広い品目が上昇した。公表している744品目のなか、437品目が上昇。特に石油・石炭製品は+44.5%上昇と、前月の+32.4%から伸び率を一段と高めた。

 3)素材原料の上昇率が+63%に達したのに対し、最終財は+3.8%にとどまり、企業が原材料の仕入れコストの上昇を価格に転嫁できていない状況が浮き彫りとなった。

●4.上場企業はコロナ前を上回る業績回復(朝日新聞)

 1)SMBC日興証券が11/10までに発表された東証1部の9月中間決算企業を集計

     業種    純損益   2019年同期比

    製造業     9.5兆円   + 46.9%増

    輸送用機器  2.6     + 21.4

    電気機器   2.3     + 45.6

    鉄鋼     0.6     + 820

    機械     0.5     + 36.9

    非製造業    6.4     ▲3.2%減益

    卸売(商社含)2.2     + 58.2

    海運     0.9     +1,620

    サービス   0.2     +  4.3

    小売     0.1     +  18.6

陸運    ▲0.1     赤字転落

    空運    ▲0.2     赤字転落

●5.政府は、ワクチン接種証明などを使って、緊急事態宣言時の行動制限を緩和(毎日新聞)

 1)基本的対処方針を11月内にまとめる緩和案に盛り込む考え。

 2)緩和案

  (1)飲食について、感染対策の基準を満たす「第三者認証店」では、宣言下でも会食の人数制限を設けない。

   ・「第三者認証店」に限り、宣言下での「午後9時までの時短要請、酒類の提供が可能」とする。

   ・重点措置地域では、「時間制限のない営業と種類の提供が可能」とする。

  (2)都道府県をまたぐ移動については自粛を要請する対象にしない。

  (3)イベントについては、感染防止安全計画の作成を条件に収容人数の上限をなくす。

  (4)緊急事態・重点措置地域で要請していた、「日中を含めた不要不急の外出自粛」について、混雑した場所や感染リスクの高い場所を除き、外出時自粛を求めない。

●6.東京大学は、膨大な計算を瞬時にこなす量子コンピューターの高効率新回路開発(共同通信)

●7.トヨタ、12月世界生産は最高水準の80万台、国内全工場が通常稼働(朝日新聞)

 1)コロナ感染拡大で東南アジアからの部品供給が滞っていたが、正常化しつつある

●8.企業動向

 1)スバル    世界展開のEV車を初公開(ベストカー)

 2)日本旅行   税負担軽減で資本金40⇒1億円に減資、「中小企業」に(時事通信)

 3)キッコーマン 醤油・豆乳など216品目を2022年2/16納入分から値上げ(読売新聞)

          値上げ幅は、醤油4~10%、豆乳5~6%

  4)東芝     会社3分割を表明(読売新聞)

          ・東芝は、半導体製造のキオクシアの株式保有会社とし、

          ・インフラ事業会社は、原子力・火力発電・鉄道事業を手掛け

          ・デバイス事業会社は、半導体・ハードディスクドライブを手掛け

          2事業会社を独立させ、上場を目指す

  5)SBI    新生銀行の買収防衛策が株主総会で決議ならば、TOB撤回(時事通信)

  6)SGC     合成医農薬の製造受託をする福井工場に100億円弱投資(時事通信)

  7)小野薬品   オプジーボで和解、本庶氏に50億円、京大に230億円寄付(毎日新聞)

  8)ソフトバンクG 9月期中間純利益+3,636億円、前年同期の+1兆8,332億円から大幅落ち込み

           主な下落要因は、中国アリババ株の大幅下落(Impress Watch)

●9.企業業績

 1)シダックス 4~9月期営業利益+14.8億円、前年同期+1.1億円と大幅増(フィスコ)

 2)アサヒ   12月通期純利益+1,485億円、予想+1,560億円から下方修正(日経新聞)

 3)楽天    1~9月期純利益▲922億円で3年連続の赤字    (共同通信)

         携帯電話事業の通信網整備で費用が膨らんだことが響いた。

 4)凸版印刷  2022年3月通期営業利益+520⇒+600億円に上方修正 (日経新聞)

         半導体の電子回路の原板となるフォトマスクの需要が伸びた

 5)スズキ   4~9月期営業利益+991億円、前年同期比+32.3%増  (NHK)

         主力市場のインド・欧州で販売増、今年度は年間計画比▲64万台減産

 6)レオパレス 9月中間決算最終利益+6億円、前年同期▲175億円赤字(読売新聞)

         施行不良問題が発覚する前の2017年9月中間決算以来の4年ぶり黒字

 7)日本郵政  9月中間決算最終利益+2,651億円、前年同期比+48.2%増(読売新聞)

         傘下の「ゆうちょ」銀行が外国債券などの運用益が大幅増加

         3月通期最終利益+3,400⇒+4,800億円に上方修正

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・4502 武田薬品  好業績。

 ・4452 花王    業績堅調。

 ・4427 EduLab  業績堅調。

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