ニンテンドー・ワールド、巨大展示場…アジアのIRで日本の脅威に

ニンテンドー・ワールド、巨大展示場…アジアのIRで日本の脅威に

シンガポールで開設が予定される巨大海洋博物館のイメージ図(ゲンティン提供)

 アジア各地でカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の拡張計画が急ピッチで進んでいる。シンガポールでは任天堂のゲームをテーマにした最新アトラクションなどが計画され、マカオでも大規模な国際会議場建設が進む。背景には、各国政府が施設拡張を促しているとの見方がある。将来のIR開設を目指す日本にとって、アジアのライバルの勢力拡大は脅威となりそうだ。(黒川信雄)

■施設規模1・5倍に

 シンガポールでは4月、国内に2カ所あるIRの拡張計画が相次いで発表された。マレーシア系事業者のゲンティンは、今後5年間で総額45億シンガポールドル(約3700億円)を投じIR「リゾート・ワールド・セントーサ」の規模を約1・5倍に拡張する。デジタル技術を駆使した巨大海洋博物館やホテル、ショッピングモールを建設し、IR内のテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・シンガポール」には「スーパー・ニンテンドー・ワールド」を新設する。

 シンガポールでIR「マリーナベイ・サンズ」を運営する米ラスベガス・サンズも、約33億米ドル(約3700億円)をかけて、客室1000室のタワーホテルや1万5000人収容のアリーナなどを建設する。

■カジノ免許と引き換え

 マカオでは、香港系事業者のギャラクシー・エンターテインメント・グループが総額80億ドル(約9000億円)を投じ、MICEと呼ばれる国際会議場・展示場を新設するなど大規模な拡張を進めている。米ウィン・リゾーツも昨年11月、マカオでホテル新設を計画していると報じられた。

 フィリピンでは今年4月、香港系のメルコリゾーツ&エンターテインメントが、首都マニラで運営するIRの拡張を模索していると報道された。

 シンガポールの2施設の拡張計画について、アジアのIR事情に詳しいマカオ工科大学のワン・チャンビン・ゲーミング研究センター長は「観光誘致を強化したいシンガポール政府が、カジノ免許更新と引き換えに施設拡張を促したのだろう」との見方を示す。現地報道によればゲンティン、サンズ両社の免許は2017年に失効していたが、拡張計画発表に併せて30年末まで延長が認められた。

■日本IRに影響も

 マカオでも20年以降、IR各社のカジノ免許が相次いで失効する。ギャラクシーのMICE施設拡張は「免許更新への意志を政府に示す狙いがある」(チャンビン氏)とみられる。

 アジアのIRの拡大は、IR開設を目指す日本にとって、将来の事業の成否に影響する可能性もある。

 大阪府・市は、2025年大阪・関西万博の前年のIR開業を目指し、誘致に向けた事業者選定を今秋に始め、来春に正式決定する方針だ。しかし開業までに他国のIRが事業基盤を広げれば、顧客争奪戦で後れをとりかねない。

 IR誘致に取り組む日本の各都市は、より魅力的で集客力の高い計画を練る必要に迫られている。

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