「乗れるスマホ」ソニーとヤマハ発が自動運転車開発 融合現実「MR」で新体感サービス

「乗れるスマホ」ソニーとヤマハ発が自動運転車開発 融合現実「MR」で新体感サービス

「ソーシャブルカート」の前方スクリーンで、実際の景色でリアルに飛び回るCGの鳥たち(ソニー提供)

 ソニーとヤマハ発動機は21日、現実の映像とリアルなコンピューターグラフィックス(CG)を組み合わせた「融合現実(MR)」を乗客に見せながら走る、まったく新しい自動運転車両を商品化したと発表した。「スマホに乗る」が開発コンセプトで超高精細スクリーンやセンサーも搭載しており、スマートフォンのようにアプリや配信コンテンツ次第でさまざまな超現実的体験を提供できる。両社はこの車両による観光施設などでのサービスを今年度内に開始予定で、次世代の体感型コンテンツが楽しめることになりそうだ。

 夜のゴルフ場内をゆっくりと走る車両。暗闇の前方から黄色や赤など色とりどりの鳥の群れがけたたましく鳴いて飛んできて、乗客は思わず腕で顔を防いだ。だが、車両の周囲は静まりかえっている。群れや鳴き声は、リアルに合成されたデジタル映像だったのだ。

 「ソーシャブルカートSC−1」と名付けられた、「スマホ化」された車両の最大の特徴は、窓ガラスと運転席がないことだ。

 フロントガラスの代わりにソニーの「ブラビア」でも使われる高精細4Kスクリーンをはめ込んでおり、物理的には前が見えない。だが四方に設置した、人間の視覚能力以上の超高感度センサーを通じた風景を映すことで、乗客は闇夜でもクリアに周囲を見ることができる。スクリーンは49インチの大型で窓ガラスがないことや風景とCGが重なることにも違和感が生じず、移動と一体となったコンテンツが体感ができるという。

 また、ヤマハ発が手がける自動運転のゴルフカートがベースで、私有地内での低速利用に限って誘導線に沿った自動運転ができるうえ、超高感度センサー映像による遠隔運転席からの操作も可能。このため、運転席も存在しないのだ。

◇感動を切り口に

 両社は昨年、共同開発契約を結び、商品化を進めてきた。「スマホにテレビや財布まで搭載されてきた。次に『移動』まで搭載しスマホに人が乗るようにしたら、どんなものになるだろうという発想で開発した」。ソニーAIロボティクスビジネスグループ商品企画部担当部長の江里口真朗氏はこう語り、ヤマハ発経営企画部主査の岡見恭典氏は「『感動』を切り口にまったく新しいサービスを提供していきたい」と意気込む。

 外側にもスクリーンやセンサーが搭載され、乗客だけでなく周囲の環境や人物に応じた広告や映像コンテンツも映せる。全長3・1メートル、幅1・3メートル、高さ1・8メートルの最高5人乗り。

 すでにアミューズメントパークやリゾート施設、城跡、ショッピングモールなど多様な方面から問い合わせがあるといい、今後はニーズに応じた映像コンテンツをソニーが制作。ヤマハ発はどんな場所でも安全に乗り心地よく走行するよう調整することで、サービスを展開していく計画だ。

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