タピオカブームでラーメンとコラボも 第3次ブームが去ってもタピオカは定番化へ

記事まとめ

  • 第3次タピオカブームが到来、ラーメンやプリンなど、あらゆる食べ物とコラボしている
  • タピオカを業者が取り合っているといい、業務用タピオカの売上げが1月と5月では14倍も
  • 第3次ブームが去ってもタピオカは定番化するとみられ、将来に再び第4次ブームが到来も

第3次タピオカブームは定番化へ、利益率が良すぎて“黒いダイヤ”は売り切れ続出

ラーメンやプリンにもタピオカ


 三菱地所リテールマネジメントは6月21日、広報資料を発表した。そこには大きく《アクアシティお台場に“映え”ラーメンが大集合!「東京ラーメン国技館 舞」『夏イケ麺祭』期間限定開催》と書かれている。

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 アクアシティお台場の5階にある「東京ラーメン国技館 舞」で「ついSNSで拡散したくなるビジュアル」をテーマに、6店のラーメン屋が夏季限定メニューを競作したという内容だ。7月1日から9月1日までの期間限定で販売されるという。

 その6店のうち、「二代目 博多 だるま」が開発したのが「タピオカ“令”麺」だ。税込で1000円。広報資料には《ラーメン+タピオカ+山芋が合体した新感覚メニュー。カツオが効いた冷製スープと、ここでしか食べられないユニークな食感をお楽しみください》とある。

 モスバーガーは6月20日、《話題の“タピオカドリンク”がモスバーガーから新登場!「タピオカ冬瓜茶(トウガンチャ)ミルク」「タピオカ抹茶ミルク」〜7月18日(木)から全国のモスバーガーで数量限定販売〜》と発表した。価格は、共に税込で440円だという。

《新商品は、10〜20代の若者を中心に大人気の“タピオカ”を使用したモスオリジナルのドリンクです。台湾産ブラックタピオカを使用し、モチモチとした食感と噛みごたえをお楽しみいただけます。

 今回、本場台湾でお馴染みの『冬瓜茶』の香ばしい味わいが特長の「タピオカ冬瓜茶(トウガンチャ)ミルク」と、鹿児島県志布志市産の茶葉を使用した抹茶ソースを合わせた「タピオカ抹茶ミルク」の2種類をご用意しました。お好みにあわせてお選びいただけます》(註:原文の註を消去した)

 食品産業新聞社は6月21日(電子版)、《バーミヤン「プッチンプリンアフォガード」、タピオカとアイスに温かいコーヒーをかける新感覚スイーツ誕生》の記事を掲載した。

《江崎グリコとすかいらーくレストランツ、エブリーの3社は6月24日、共同開発したコラボ商品「プッチンプリンアフォガート」を全国の「バーミヤン」店舗で発売する。7月31日までの期間限定。価格は税抜き499円(ドリンクバイキング代込み)。

「プッチンプリンアフォガート」は、今流行りのタピオカの上に、バニラアイス、ベリー、そして「プッチンプリン」を凍らせたアイスキャンディーを載せたスイーツ。温かいコーヒーをかけることで、ぷるぷるなプリンの食感に変化し、来店客の好みで2通りの食感が楽しめる熱い夏にぴったりな一品だ》

 3つの広報資料をご紹介したが、共通する食材はタピオカだ。1992年が第1次、2008年が第2次、そして今が第3次タピオカブームだという。まさに今が旬。タピオカミルクティーのみならず、ラーメンやプリンなど、ありとあらゆる食べ物に顔を出している。

 そもそもタピオカとは、キャッサバ芋から製造したでんぷんを指す。食品の増粘剤として使われることが多く、例えばミスタードーナツ「ポン・デ・リング」の“もちもち”とした食感はタピオカが生んだものだ。

 他には、味の素の原料にも使われている。公式サイトによると、味の素の原材料はサトウキビやトウモロコシなど6種類。工場の立地条件に応じて、そのうちの1〜3種類が選ばれている。

 味の素は03年、タイに新工場を建設した。同社は広報資料を発表したが、タイを選んだ理由を「主要原料であるタピオカ澱粉の調達に適している」ことを1番に挙げている。

 食品業界では大活躍しているキャッサバだが、その根茎を糊化し、容器に入れて回転させると綺麗な球状になる。これを乾燥させたものが「タピオカパール」だ。

 色は白。だから真珠=パールという名前になったのだが、現在人気の「タピオカミルクティー」に入っているのは黒色。これはカラメルなどで着色した「ブラックタピオカ」を使っているためだ。他にもピンク、ブルー、黄色などに着色されたタピオカも市販されている。


■YAHOO!は「売上14倍」と発表


 それではブームの推移を振り返ってみよう。国民的グルメ漫画とも呼ばれる『美味しんぼ』(作:雁屋哲、画:花咲アキラ、小学館)の26巻に「おめでたい病気」というエピソードが収録されている。

 妊娠し、悪性の悪阻(つわり)に襲われた同僚・三谷典子が口にできるものは砂糖水とすまし汁の2つ。匂いにも敏感になり、爽快感を得られるのはバラの香りだけ。これで体力が保つはずもなく、病院に入院することになる。

 そこで主人公の山岡士郎が「悪阻でも食べられる」料理を作るのだが、そのデザートがタピオカ。典子が「中の小さな粒々はなにかしら……」と呟きながらスプーンで口に運ぶと、たちまち「美味しい!」と顔を輝かせる。

 吹き出しで表記される山岡の説明は、こんな具合だ。

「タピオカといって、キャッサバというイモのでんぷんで作った丸い粒だよ。それを砂糖汁に入れて、バラの花びらのジャムを少し落としたんだ。中華料理のデザートでは、ココナッツミルクを使うけどね」

 26巻の初版は1990年。第1次ブームが92年だから、タピオカがブレイクする前夜の雰囲気を伝えている。この頃は「タピオカ入りココナッツミルク」が主流であり、中華料理店やタイ料理店でデザートして提供されていたことが分かる。

 一方、台湾では80年代、ミルクティーに黒いタピオカを入れ、太いストローで飲む「タピオカティー」が誕生していた。当初は人気が低迷していたが、90年代に入ると台湾を代表するドリンクに成長する。

 ほどなくして台湾でタピオカミルクティーを主力商品とする快可立(Quickly)が日本に出店、08年には日本で現地法人も設立した。これと並行するようにコンビニにもタピオカミルクティーが置かれるようになった。これが第2次ブームだ。

 そして13年、「タピオカミルクティー発祥の専門店」を謳い、台湾で45店舗を展開する春水堂が、東京・代官山に初出店を果たす。一気に“オシャレ度”や“インスタ映え”が増し、台湾観光がブームだったことも追い風となり、あっという間に流行の先端に踊り出した。

 同じように台湾に拠点を置く貢茶(ゴンチャ)が15年に日本法人を設立。更にTHE ALLEY(ジ・アレイ)やCoCo都可(ココトカ)も追随し、日本における第3次タピオカブームが堅牢なものになったわけだ。

 ここまで市場が拡大すると、ブームを当て込んだ新規参入も増加する。台湾とは何の関係もない日本人がアルバイトを雇い、繁華街にオープンさせた店も少なくない。外食産業を担当する記者が解説する。

「飲食店を開業するのは、本来なら大変です。出資しかしない場合でも、修行を積んだプロの調理人や職人を探して雇う必要があります。ところがタピオカティーは、極端な話、ミルクティーなどのドリンクにタピオカを入れれば完成です。アルバイトでも充分に調理が可能です。テイクアウト専門店ならテナント料も抑えられます。必要経費を最小限にして、なおかつ500円以上の売値を付けられるのですから、相当な利益率でしょう。まさにタピオカは黒いダイヤですよ」

 現在、原料のタピオカを業者が取り合う事態が発生しているという。ニュースメディア「ナリナリドットコム」は6月15日、「“業務用タピオカ”売上が14倍に」の記事をアップした。

 記事によると、YAHOO!ショッピングにおける業務用タピオカの売上げは、今年1月と5月で比較すると約14倍。YAHOO!における「タピオカミルクティー」の検索数は、18年6月と今年6月で比較すると約9倍に達したという。

 更に「タピオカミルクティー」と一緒に検索されている言葉のトップに「業務スーパー」が入ったとも発表された。


■いつかブームは終焉!?


 そこで「業務スーパー」の公式サイトを見てみると、「冷凍インスタントタピオカ」(300g)と「タピオカドリンク(ミルクティー)」(1袋=65g×4食)が販売されている。前者が297円、後者は321円、共に税込みだ。担当者に話を聞いた。

「『冷凍インスタントタピオカ』は15年、『タピオカドリンク(ミルクティー)』は16年に販売を開始しました。人気がなければ廃盤ですので、利益が出るほどには売れていました。とはいえ、今のように滅茶苦茶に売れていたわけでもありません」

 売れ行きが変わったのは昨年、18年の夏くらいからだという。

「1月から2月にかけて、急ピッチで売上が伸びていきました。そして現在は店頭に商品を置くと、片っ端から売れてすぐに売り切れてしまいます。昨年春と今年春の売上を比べてみると10倍というところです。ただ、今年春のデータは需用に供給が追いついていない状態のものです。もしフルに需用を満たしていたとしたら、10倍どころではなかったかもしれません」(同・業務スーパー担当者)

 大ヒット中とはいえ、「冷凍インスタントタピオカ」も「タピオカドリンク(ミルクティー)」も、薄利多売の最たるものだ。「タピオカドリンク(ミルクティー)」は321円で4杯のタピオカミルクティーを作ることができるため、1杯は80・2円となる。利幅が少ないことは言うまでもない。逆を言えば、タピオカティーの専門店にとっては桁違いの利益率だということも浮き彫りになる。

 ハウス食品の子会社で、香辛料の販売で知られたギャバンという会社がある。スーパーに瓶が陳列されているのをご覧になった方もおられるだろう。

 実は同社、1988年からマレーシアでパールタピオカの製造を開始したという歴史を持つ。斯界では“老舗”なのだ。取材を申し込むと、文書で回答があった。

――どういう企業判断で、80年代にタピオカの製造に着手されたのですか?

ギャバン:マレーシアの生産拠点は、商社を介せず、独自の現地調達・一次加工を目的として、現地法人(工場)として子会社を設立いたしました。当初は国内向けスパイス原料の一次加工を目的としておりましたが、当該事業を継続する中でタピオカ製品の需要もあり、現在は、国内向けスパイス製品の一次加工、当該タピオカ製品の製造、東南アジア向け販売を主として行っております。

――90年代や2000年代の売上は、どのような数字でしたか?

ギャバン:残念ながら当時の記録はございません。

――現在のブームは、どうですか?

ギャバン:今回のブームにつきましては、昨年の夏ごろより顕著になってまいりました。販売見込みより引き合いが多く増産している状況です。(具体的な量についてはご勘弁くださいませ)

――第1次、2次、3次のブームで、タピオカの商品化に違いのようなものがありますか? 単価が上がり続けている、高級志向が見て取れる気もしますが?

ギャバン:誠に申し訳ございません、実態として業務用ということもあり、市場ニーズについては十分に把握しておりません。しかしながら、高級志向というよりも、世代が変わったことによる過去のブームの再燃と認識しております。

――第3次ブームは今後、どのような展開を見せるとお考えですか?

ギャバン:恐縮ですが、将来のトレンドを予測するまでには至っていないのが現状です。ただし、こういったブームはある周期で繰り返されるものと認識しております。また、ある程度の定番化はされるかと予測いたします。

 ギャバンの指摘を具体化してみると、例えば、今年20歳になる女性が、タピオカティーのファンだとしよう。彼女は1999年生まれ。第1次ブームの時は産まれてさえいない。第2次ブームも小学生の頃だから、タピオカの入ったドリンクを口にした可能性は低いだろう。

 彼女は第3次ブームで初めてタピオカを知り、それを満喫している。やがてブームは去るだろうが、日本におけるタピオカの定番化は進む。更に令和元年に生まれた乳児が成人式を迎える頃に、再び第4次タピオカブームが来るかもしれない、というわけだ。

週刊新潮WEB取材班

2019年7月2日 掲載

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