大塚家具、メーンバンクに見捨てられ年内がヤマ? 久美子社長はそれでも余裕

 大塚家具のメーンバンクである三井住友銀行が、同社株およそ86万株を売り払ったと「NewsSocra(ニュースソクラ)」(9月13日配信)が報じた。そもそもこの株は、大塚家の資産管理会社で、かつては同社の筆頭株主でもあった「ききょう企画」が保有していたものだったが、借金の担保として三井住友に差し出していた。

 これで“安定株主”の後ろ盾を失った大塚久美子社長、来年の株主総会は大丈夫か?と思えば、「来年の話などすれば、鬼に笑われます。年内がヤマです」との声も……。

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 メーンバンクが株を売り払うという噂は「前々からあった」と言うのは、さる事情通だ。

「三井住友が、借金のかたに株を取ったのは久美子氏が社長に返り咲いた翌2016年のこと。当時の株価は1500円程度でしたが、いま同社の株価は200円を切って180円ほど。担保価値は8分の1以下になっています。銀行も何度か催促したようですが上手くいかなかったのでしょう。ただ、上場企業の創業家の資産管理会社に強制執行をかけることについては、さすがに躊躇したようです。それでも大塚家具が潰れてしまえば債権回収も覚束ない。銀行としては何もせずにいるよりも、少しでも回収できるほうを選んだということでしょう」

 なぜ返せない借金などしたのだろうか。

「そもそも、ききょう企画というのは、大塚家具の創業者で久美子社長の父、勝久氏が、1985年に設立した大塚家のための資産管理会社でした。勝久氏には3人の娘と2人の息子がいます。久美子氏は長子ですが、長男の勝之氏が跡取りということで、彼がききょう企画の株の半分を保有していました。しかし、08年に勝之氏が退社すると、久美子氏らがきょうだいの持ち分を平等にするよう主張し、相続対策として勝久氏の持つ株の一部もききょう企画に譲渡するよう求めたのです。これによってききょう企画は、大塚家具株の10%弱を保有する大株主になった。その際、これらの株の購入資金には、ききょう企画が15億円分の社債を発行して充てられました」(同)

 大塚家具の“お家騒動”が勃発するのはここからだ。

「09年に勝久氏は、いったんは会社を離れた久美子氏に社長を譲り、自らは会長に就きますが、経営方針を巡って親子の対立が深まり、14年に取締役会で久美子社長の退任を決定。ところが、翌15年の取締役会では久美子派が多数を占めて、勝久氏が社長を追われることになり、久美子氏が社長に復帰。さらにこの年春の株主総会で、両者が社長の座を巡って争うこととなり、プロキシーファイト、委任状の争奪戦が行われました。そこで久美子氏が6割の株主の支持を得て圧勝するのですが、このときの基礎票が、ききょう企画の持つ株でした」(同)

 勝久氏は自身の創業した会社を追われることとなるのだが、そのまま黙ってはいなかった。

■半年でショート、年内がヤマ


「勝久氏は、ききょう企画の社債が償還期限を過ぎているのに返済されないとして、裁判に訴え出た。16年4月、判決は勝久氏の勝訴でした。そこで久美子氏らは、ききょう企画の株を担保に、三井住友銀行から15億円とも17億円ともいわれる現金を引っ張って、勝久氏に返したのです。この借金が未だにあったというわけです」(同)

 もっとも、久美子氏が社長に復帰して以来、初年の15年は、世間を騒がせた“お詫びセール”のおかげで黒字になったが、16年以降は赤字続きだ。今年8月に発表された「第2四半期決算短信」でも、業績予想を下回る結果となっている。三井住友へ借金を返す余裕はなかったようだ。

「三井住友は86万株を売り払っても、債務は3億円ほど残っているといいます。久美子社長は昨年、役員報酬を4割カットしたり、一説には今は無報酬でやっているとも聞きます。彼女にどれほどの貯蓄があるかは分かりませんが、まとまったお金を作るとなったら、自宅を売却するなどが考えられますが、彼女のマンションは母親名義ですから、それも難しい。また、ききょう企画という会社は、実質的に父親に反旗を翻した4人のきょうだいの株を管理する会社です。ききょう企画が独自にお金を稼ぐことはできませんから、彼らの収入源は大塚家具しかありません。長女の久美子社長はもちろんですが、次男の雅之氏は大塚家具の執行役員、二女の舞子氏はききょう企画の代表取締役、三女の夫である佐野春生氏は大塚家具専務理事。もし、潰れたら丸々借金が残るわけですから、三井住友としたら、さすがにそれはマズいと考えて、86万株を売却したのでしょう」(同)

 ちなみに勝久氏に従った長男の勝之氏は、現在は『匠大塚』社長である。

 ともあれ、ききょう企画の株で社長に返り咲いた久美子氏である。今年の株主総会でも一般株主からツッコミを受けたというが、大株主を失ったかぐや姫にとって、来年の総会はより厳しくなることは必定だ。

「来年まで持てば、ですよ。6月末日までの決算で、大塚家具の現金は31億960万円あったことになっている。ところが、昨年借り入れた13億円の返済期限が7月に来たので、差し引き18億円。これまでを見ますと、大塚家具はひと月あたり4億〜5億円弱のキャッシュの流出が起きています。単純計算だとあと4〜5カ月で資金ショートということになる。もちろん、資金調達もやっているでしょうが、たとえ15億円を調達できても3カ月程度しか持たないでしょう。ただし、本当に資金がゼロになってしまったら何もできません。上場会社であれば、普通は多少のお金があるうちに民事再生をやるものです。民事再生は事業を続けながら、再生計画を立てて借金の一部を棒引きして、返済額を債権者に泣いてもらいつつ、キャッシュフローの中からお金を返していく、再生型の債務整理です。ですから、ゼロになってしまう数ヶ月手前の段階でやらなければならないのです。一般的に考えれば、年内にでも取りかからなければならないと思います。ただ、久美子社長は往生際が悪いですからね」(同)


■100年後には


 7月29日、久美子氏は早朝の経済情報番組「Newsモーニングサテライト」(テレビ東京)の“トップの勝負メシ”コーナーに出演している。本社近くのイタリアンレストランを紹介し、ここが業務提携した中国企業・イージーホーム社長と食事をした所なのだと言っていた。前菜に“マンゴーとフォアグラ 自家燻製鴨肉のグルメサラダ”などをいただきつつ、彼女はこれまでの赤字経営について語った。

久美子氏:たしかに3期連続(赤字)というのは大きい話ではあります。ですけれども、会社を100年続けていく時に、「100年の中の3年でしょ」と100年後には当然思うわけですよね。少し引いてみて、こういう大変な時を乗り切ることができて、会社も強くなる!

 大塚家具は今年創業50年である。100年後とか言っている猶予はないはず……。

「私も番組を見ていましたが、一体何を言っているんだろうと複雑な気持ちになりました。あのシーンに彼女の性格が凝縮されているように思いました。すべてが現実に根ざしていないんです。現在の客離れの原因は、自身がセールを連発したために、次のセールまで買い控えが起きているだけなのに、いまだに『4年前のお家騒動で事実でないことまでメディアに報じられたせいだ』と言っていますからね。自分の失策による結果なのですが、メディアのせいにしたり、従業員のせいにしたりしてきたわけです。その結果、彼女が社長に復帰するに当たり協力した企業や、その後資金協力した企業も、彼女の元を櫛の歯が欠けるように去っています。今回の三井住友もそうですが、大塚株を保有しているTKPとも疎遠になっていることが報じられています。米国の投資ファンドのブランデス・インベストメント・パートナーズも保有していた全株式(6・41%)を売却。今年2月に、およそ20億円の出資をしたと報じられたイーストモア・グローバル・リミテッドも、引き受けた直後に売り始めています。中国でネット通販を手がけるハイラインズは、日中企業による匿名組合で資金を集めるとブチ上げましたが、結局、中国企業はほとんど入ってこなかったと言われています。みんなが、もう付き合いきれないという感じになっているようですね」(同)

 それでも久美子社長は希望に燃えているのか、8月9日の決算発表後の記者会見で、中国のEC事業についてこう宣言したという。

久美子氏:(売上高が)来年に50億円、2年目は100億円も夢ではない!

「大塚家具が出品している越境ECサイト“天猫国際(Tmall Global)”をご覧になったことがありますか。家具はほとんどなく、枕やクッション、枕カバーなどばかり。それも購入者はほとんど出ていません。中国だって、プラットホームに載せれば勝手に売れていくわけではない。マーケティングをしなれば無理です。夢を見るのは結構ですが、もっと目の前の現実を見たほうがいいでしょう」(同)

週刊新潮WEB取材班

「週刊新潮」2019年9月30日 掲載

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