「岩下の新生姜」の社長がライバル会社社長と“タイマン”対決 原因はパッケージ問題

「岩下の新生姜」の社長がライバル会社社長と“タイマン”対決 原因はパッケージ問題

漬物「岩下と山本」に因縁も

「♪いわしったの〜しんしょう〜が」のCMでお馴染みの「岩下食品」社長が、何やらご立腹だ。とある駐車場でライバル会社の社長と出くわし、掴みかからんばかりのケンカになったとTwitterで暴露。憤懣やるかたない様子なのだ。いったいどうした?

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 岩下食品は「新生姜」などの漬物が主力の食品メーカー。創業は1899年と古く、現在の岩下和了社長(54)は4代目にあたる。2015年に本社のある栃木県栃木市に「岩下の新生姜ミュージアム」を開館し、話題になった名物社長だ。

 まずは岩下社長の、感情むき出しのツイートから見てみよう。それは11月5日深夜2時23分に突然始まった。

〈得意先の駐車場で、山本食品工業の(現)若社長が殴りかかってきたとき、類似って「岩下のシンパが言ってるだけだろ」って叫んでたのが心に残っている。/どれだけ「岩下の新生姜」が存在していることをネタに商売してきたのだ?且つ、がっかりしたというのが消費者の声だ。営業妨害もいい加減にしろ〉

“殴りかかってきた”、しかも場所は“駐車場”。あたかもタイマン勝負を彷彿とさせる激しい修羅場である。

 山本食品工業も岩下食品と同じ漬物専門の食品メーカーである。しかも、主力は同じ「新生姜」。ホームページでパッケージを見てみると「岩下の新生姜」とよく似ている。実はこの二人、パッケージを“真似た、真似てない”でケンカになっているのである。

■「実際に肉体的に殴られたわけではありません」と訂正ツイート


 深夜、怒りが収まらなくなったのか、岩下社長の連投は止まらない。数分後には矛先を変え、

〈こんな会社の「新生姜」並べてるスーパーもスーパーだ。よっぽどおかしい。/それを私が言ったら我田引水だ。/でも、スーパーのお客様、そう思っておられる方が多いのではないか?/商品選定の信用は、スーパーの信用そのものにつながります〉

 その後、少し冷静になったのか、4時22分に、最初の投稿を訂正し、

〈詳しく言うと、こちらが拒否している状況で、無理矢理、車の扉を開けさせられ、強い剣幕で恫喝をされた。私は、殴って来るか何をされるかわからない危険を感じたということ。それが「殴りかかってきた」と表現したことの実態です。/実際に肉体的に殴られたわけではありませんので、念のため〉

 だが、やはり怒りは収まらないのか、

〈その剣幕が異様であり、恐怖を与えるものであったからこそ、自衛のために録画したのですから、「殴りかかってきた」という表現に抵抗はありません〉

■スーパーで「らっきょう」を手に取り、“カチンときた”


 同社の「岩下の新生姜ミュージアム」で、岩下社長に話を聞いた。

「あまりこの話を大げさに取り上げられるのは本意ではありませんが、事実です。録画も撮っています。ただ、これは最近の話ではなく、2018年2月頃の話です」

 発端は、あるスーパーの店頭で、岩下社長が手に取った「らっきょう」だったという。

「私は自社商品だと思って手に取ったんですが、それは山本食品さんの商品だった。実は、『新生姜』だけでなく、これまでさまざまな商品で山本食品さんに模倣され続けてきた歴史があります。それで、私はカチンときて、一連のこれまで模倣された商品を挙げて、怒りのツイートをしたのです」(同)

 山本食品に向けた激しいツイートは、2年以上前にもあったというのだ。

「ツイートした直後に、ある大手スーパーの本部近くにある駐車場で、ばったり当時専務だった今の社長さんと出くわした。すると、向こうのほうから突っかかってきた。訂正した通り、暴力沙汰になったわけではありません。向こうは『得意先のスーパーに言われてデザインを作ったんだ』と言うから、私も『そんなの断れ』って言い返しました。ただ、あれはただの言い争いであって、社長さんを個人攻撃したいとも思っているわけではありません」(同)


■20年以上に及ぶ“因縁”の対決


 ケンカの原因となった“類似商品”に対し、腹を据えかねているというのだ。

「山本さんとの因縁は20年以上前に遡ります。その頃から、山本食品さんはウチに明らかに寄せてパッケージを作っていました。20年くらい前には、私たちと同じように、当時ウチの役員だった人間と先方の現会長が、公の会合でネクタイを掴み合うような揉み合いになったこともあった。ただその頃は、私どもも大人気ない喧嘩をしてもしょうがないと、それ以上の騒ぎにはしなかった」(同)

 だが、その後も山本食品側は繰り返し模倣を続けてきたと、岩下社長は訴えるのだ。

「ウチがパッケージ変えると、すぐに寄せるの繰り返しです。『新生姜』だけではない。『らっきょう』『紅生姜』など他の商品でも。そして向こうは、どんどん売上を拡大し、会社を大きくしてきたのです。ウチをCMで覚えてくれているお客様が多いと思いますが、ウチが多額の広告宣伝費をかけて築き上げてきた大事なブランドにタダ乗りされているようなもの。岩下のファンからも、『間違って買ってしまった』『なんとかして欲しい』という要望、苦情が、これまでメールなどで多数寄せられています。特に高齢の方ほど、見間違えて買ってしまうのです」


■山本食品が反論「こんなことで争いたくないのですが、指一本触れていませんよ」


 岩下社長は、同社のホームページ上でも山本食品への攻撃を強めている。昨年11月から計5回、山本食品に「警告書」を送付してきた経緯を説明するととともに、「類似商品にご注意ください」という注意喚起の特設ページまで設け、徹底抗戦の構えだ。

 では、山本食品側は岩下側の主張にどう反論するか。埼玉県行田市の本社を訪ねると、会長の山本正幸氏・社長の正憲氏が取材に応じた。

「ウチとしてはこの件で本当は争いたくないんです。言いがかりをつけられているというのが本音でして……」

 会長の正幸氏はこう断りつつも、見解を述べた。

「『新生姜』は、1987年に岩下さんが先に始められたのは事実ですが、私どもも1年後の88年に始めています。スタートはほぼ一緒なんですよ。始めた当時は、ほかにも数社が『新生姜』を作っていました。『新生姜』というのは通称であり、岩下さんが差別化するために『岩下の新生姜』とCMで打ち出したわけです。うちはパッケージに『新生姜』としか書いていないので、岩下さんのファンなら間違えて買うなんて考えにくいのです」

 パッケージの形状・デザインが似通っている点については、代わって社長の正憲氏が説明した。

「わざと寄せてなんかいません。スーパーに行ってぜひ見てほしいんですが、漬物のパッケージなんて似通って当たり前です。岩下さんは、ピンクの漬物液が同じだとかまで指摘してくるんですが、スーパーのプライベートブランドでも新生姜はどれもピンクです。パッケージの扇型の形状にまで文句をつけられているんですが、浅漬けなど漬物業界は同じ機械と使ってパッキングするので、こうなるのは仕方ないのです」

 さらにこう強調する。

「別に最初から岩下さんがこういう形態を始めて、うちが寄せたわけでもないのです。似かよる原因として、スーパー側の要望もあります。スーパーがデザインを作って、こう作ってくださいというケースも多々あります。岩下さんは、スーパーを批判するようなことばかり言うもんですから、正直、業界では評判はよくありません。あまり岩下さんと同じ土俵に乗りたくはないんですが、この惣菜のパッケージを見てください。これはうちが最初に始めたんですが、後から岩下さんが同じような惣菜を作り出しました。でも、別に私どもは、だからと言ってこれで“真似した”と争うつもりはありません」(同)

 駐車場での対決場面についても、

「殴りかかってきたなんて、事実と全然違いますよ……。その時も、ツイッターで激しく攻撃されていたので、一言いいたいと思って、岩下さんが乗る車の窓をノックしただけです。指一本触れていませんから。むしろ、その後、出てきた岩下さんのほうから、すごい剣幕で怒鳴り散らされたというのが真相です。でも、こんな反論までして、争いに巻き込まれたくないんです。お互い社業に専念して、品質や価格など商売で切磋琢磨していきたく思っているんですが……」(同)

 ショウガないでは済まされない因縁の対決。果たして軍配はどちらへ。

週刊新潮WEB取材班

2020年11月20日 掲載

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