総額4兆円を超えるNTTによるNTTドコモTOBの背景に菅新首相か?

総額4兆円を超えるNTTによるNTTドコモTOBの背景に菅新首相か?

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NTTがドコモに対して4兆円規模のTOBを実施することを9月29日、発表した。この背景には菅首相からの携帯料金引き下げへの圧力に対応するために、ドコモを完全子会社化することで値下げによって生じる株主との利害対立を回避する狙いがあると見られている。

2020年9月29日、NTTがTOBでドコモを完全子会社化する方針を発表した。このTOBは1株3900円で行われ、総額4兆円規模となる。NTTはこの4兆円を三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行のメガバンなどから協調融資で調達する見込みでTOBによる買収総額・邦銀による協調融資のいずれも過去最大級だ。

TOBの規模としては過去最大級ではあるものの、TOB価格の3900円はやや控えめな価格だ。TOB発表前日のドコモ株の終値は2775円であるため、TOB価格はこの価格に40.5%のプレミアムを上乗せしたことになる。しかし、同じくTOBで話題となったコロワイドによる大戸屋へのTOBでは46%のプレミアムが上乗せされている。また、近年のTOBではプレミアムはTOB前3ヵ月の平均株価に対して48%であるものの、今回のドコモに対するTOBではそれが32%しかない。

こうしたTOBがNTTが行う背景には菅首相による値下げ圧力がある。菅首相はこれまでにも官房長官時代から解約金の値下げや撤廃を実行してきた。しかし、営業利益率20%を超える携帯キャリア3社には依然として値下げ余地が存在するとの考えを菅首相は持っている。

携帯キャリア業界はこれまでドコモ・au・ソフトバンクの大手3社による寡占状態が長らく続いてきた。その寡占状態を崩し、携帯電話料金の引き下げを促すために2019年には楽天の参入を認めている。しかし、楽天は今だ通信網の整備が十分ではなく、大手キャリアの一角として並ぶには程遠い状況であり、競争の促進効果もまだ期待できない状態にある。そこで、菅首相は携帯キャリア業界で値下げ余地があると何度も言及することで、大手キャリアへの値下げ圧力を高めている。

こうした菅首相からの圧力を受け、NTTはドコモへの支配力を高めるためにTOBに踏み切った形だ。ドコモが上場している状態において、競合他社との競争上、値下げする必要性がないにもかかわらず、値下げをすることは株主と利害が対立するため実行が困難である。そのため、NTTはドコモを完全子会社化することで、より迅速に意思決定を進めていくことを可能にする狙いがある。

TOBの期限は11月16日。この日にNTTによるドコモへのTOBが成立すれば、過去最大級のTOBが成立した日であるとともに、携帯キャリア業界の競争が大きく変わる大きな転換点となる可能性がある。今後の携帯キャリア業界での競争や携帯電話料金を占う上で11月16日は目が離せない。

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