【助成金の解説】キャリアアップ助成金諸手当制度等共通化コース/岡 佳伸

■同一労働同一賃金を推進!

 「キャリアアップ助成金」は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といった、いわゆる非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成する制度です。「諸手当制度等共通化コース」は正社員と非正規者社員との間での諸手当や健康診断実施の格差をなくすことを目的としています。例えば、非正規社員にも正社員と同様に賞与を支給することを明記し実際に支払いを行った場合には38万円が支給されます(詳しい流れや概要、支給額は後述します)。

 キャリアアップ助成金諸手当制度等共通化コースは令和2年度までは多くの諸手当が対象になっていましたが、同一労働同一賃金を進める法改正や各種判例も出たことによりその目的が果たされて来たと言えます。令和4年度以降、キャリアアップ助成金制度の見直しにより縮小が予定されており、賞与と退職金だけが対象の「賞与・退職金制度コース」になる予定です。取組みを開始されるのであれば、令和3年度中の実施をお勧め致します。

■受給のポイント

@ 共通化する諸手当は令和3年度から改正され下記となっています。

(ア)賞与(イ)家族手当(ウ)住宅手当(エ)退職金

(イ)家族手当(ウ)住宅手当の諸手当制度については、1カ月分の手当として3,000円以上支給することが必要です。(ア)の賞与については、6カ月分相当として50,000円以上支給する必要があります。(エ)の退職金については、1カ月分相当として3,000円以上積立てする必要があります。

A 健康診断制度については、法定外の健康診断を導入することが必要となります。雇入時健康診断、定期健康診断(労働安全衛生法上受診が必要な者を除く)、人間ドック(人間ドックに含まれる内容すべては無く、aに加えてb〜hのいずれかの項目について行う健康診断をいいます。a 基本健康診断 、b 胃がん検診、c 子宮がん検診、d 肺がん検診、e 乳がん検診、f 大腸がん検診、g 歯周疾患健診、h 骨粗鬆症健診)。

B 助成金の支給対象の計算となる労働者は諸手当制度を共通化した日の前日から起算して3カ月以上前の日から共通化後6カ月以上勤務が継続している者。定期健康診断もしくは人間ドックを受診した日の前日から起算して3カ月以上前の日から受診後6カ月以上の期間雇用されている者または雇入時健康診断を受診した日から6カ月以上の期間した者に限ります。

C 諸手当共通化コースについては、正社員に導入していない手当についても、正社員と非正規社員が一緒に導入することでも対象となり得ます。

D 支給申請は諸手当共通化後(または健康診断制度実施者が通算4人になってから)から6カ月間に係る給与が支給されてから2カ月以内に申請することになります。支給申請日までに退職している者は対象外ですが、本人の自己都合または懲戒解雇等で退職している場合は支給申請出来ます。

E 全てのキャリアアップ助成金に共通しますが、事前に「キャリアアップ計画」を作成して労働局に届出る必要があります。この「諸手当共通化コース」の場合は、キャリアアップ計画の認定を受けてから諸手当共通化等を盛り込んだ就業規則を施行する必要があります。

■お勧めポイント

 キャリアアップ助成金の中では多く申請されるコースとなります。特に健康診断では労働安全衛生法で義務付けられていないものの定期健康診断(例、採用されて1年未満のフルタイムの有期契約社員等)も対象になります。令和3年度より諸手当共通化コースに新しく退職金制度が加わり更に活用しやすくなりました。

■相談先

各労働局・ハローワーク

■就業規則参考条文

第00条(労働安全衛生法に基づく受診義務のないものの健康診断)
 会社は、労働安全衛生法に基づく受診義務のない者(雇用後1年未満の有期契約雇用社員及び週20時間以上、週30時間未満の有期契約雇用社員、無期契約雇用社員に対して定期健康診断を年1回行う。(有害業務従事者に対しては6カ月に2回)
2 前項に係る経費は全て会社負担とする。
3 第00条は令和  年  月  日より実施する。

■概要・支給額

■参考タイムスケジュール・支給申請までの流れ

 

筆者:岡 佳伸(特定社会保険労務士 社会保険労務士法人岡佳伸事務所代表)

大手人材派遣会社などで人事労務を担当した後に、労働局職員(ハローワーク勤務・厚生労働事務官)としてキャリア支援や雇用保険給付業務に携わる。現在は開業社会保険労務士として活躍。
日経新聞、女性セブン等に取材記事掲載及びNHKあさイチ出演(2020年12月21日)、キャリアコンサルタント

【webサイトはこちら】
https://oka-sr.jp

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