冷食業界初、ノンフロンへ完全転換 国内全工場フリーザーで 味の素冷凍食品
2021年03月19日 22時51分食品新聞

関東工場のフリーザー用冷凍機(味の素冷凍食品)
味の素冷凍食品は、31日で国内全7工場のフリーザーに使用している冷凍機の脱フロン化・自然冷媒への転換を完了する。これは冷凍食品業界初となる。
フロンはオゾン層破壊や地球温暖化の原因になるとされ、国内(03年時点)では約3割(9万9千t)が業務用冷凍、空調機器に使用されていた。同社は00年時点で96%(70t)がフリーザーで、4%(3t)が冷凍冷蔵庫で使われていた。
同社のミッションでうたわれる「より良い地球環境づくりに貢献する」ため、グループの理念であるASV(Ajinomoto Group Shared Value)を核に脱フロン化を進めてきた。
70年代からオゾン層破壊への影響を指摘されてきたフロンは、87年のモントリオール議定書で生産中止、全面廃止などが打ち出され、国内でも各種の法令で徐々に規制されてきた。
議定書では特定フロン(HCFC)機器の使用中止を求めてはいないが、同社は06年に冷食業界で初めて、20年までにフリーザー冷凍機フロン全廃を宣言、自然冷媒への転換を決定した。
これには高額な投資が必要だ。01年当時には脱フロン化対象のフリーザーは47基あり、総投資概算額は約140億円だったが、工場の建て替えやラインの集約、設備能力向上による時間当たりの生産能力の増強、生産時間の延長により、フリーザーの基数を27基にまで削減(20年度完了時)。約3億円の補助金を受けたが、総投資概算額を約90億円までに圧縮した。
自然冷媒はアンモニアと二酸化炭素を使うが、アンモニアは燃焼性があり人体にも有害で、漏洩による環境リスクもあることから検知器なども設置した。
切り替えは製品の安定供給への懸念を生じさせるが、隣接ラインとフリーザーを供給したり、既存フリーザーの横に新規を建設するなどして生産停止を回避した。
脱フロン化に伴い省エネ効果も見られる。冷凍機のマルチユニット化、省エネ型冷凍機導入、設置位置変更による冷却効率向上などで約25%の電力を削減、年間で約1億円のコスト削減となる。
残る課題は冷凍冷蔵庫とエアコンだ。特にエアコンは適した冷媒が開発途上で今後の検討課題だ。
海外の拠点でも脱フロン化は進みつつあり、コロナ禍で難しい面もあるが、日本からの支援も実施するという。業界全体では、各社の取り組みとなることからリーダーシップをとる考えはないが「協力できる部分は進んで協力し、冷食業界全体を盛り上げたい」(黒崎正吉社長)と話している。
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