DM三井製糖HD誕生 未来志向でシナジー発揮へ 両社長が語る意義と効果

三井製糖と大日本明治製糖が経営統合して誕生した「DM三井製糖HD」が4月1日付でスタートした。コロナ禍も加わり一層厳しい経営環境にある砂糖業界で「100年に1度」(森本社長・三井製糖)の経営統合は、次の時代に向けた業界再編の狼煙が上がったことも意味する。

加えて糖価調整制度(国産糖の保護制度)を担う民間企業としての経営基盤強化や、製糖企業の未来像、海外展開などさまざまな期待と関心を集める。同HDは同時に、国産糖(ビート)を生産する日本甜菜製糖とも資本業務提携を行った。両社長に同HDスタートに際し、独占インタビューした。

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――DM三井製糖HDがスタートしました。現在の率直な感想をお願いします。

森本社長(三井製糖) 砂糖業界にとっては百年に一度のビッグイベントであると思うし、ましてや業界1位と2位グループの1社の経営統合でもある。長い砂糖の歴史の中でも大きなエポックになるだろう。両社が長い交渉を経て合意に至ったわけだが、引き続き統合業務は満載であり、ワンチームになって未来志向でやっていきたいと思う。

また、砂糖需要が減る中でも両社が統合することでシナジー効果は大きく出るだろう。生産面、販売面に限らず経営資源の活用でより強い会社になれると確信している。

三井製糖は海外事業も進めてきたが、大日本明治製糖もチームに入り、より成長することを期待している。トップ企業として有望市場に再投資できる会社にしていきたい。

佐藤社長(大日本明治製糖) まずはようやくここまで来たという安堵の気持ち、その一方でやらなければならないことがいっぱいある。これがゴールではなくて、次の新しいスタートという重い責任を感じている。

私は2018年6月に大日本明治製糖の社長に就任したが、1985年から日本の砂糖業界の中にほぼ一貫して身を置いている。この36年間、ずっと危機感と隣り合わせのようなものだった。まさに日本の製糖業界にとって百年に一度の歴史的な経営統合に至ったことは、感慨もひとしおである。

国内の製糖経営の環境は厳しいこともあり、経営資源をより効率的に再配分して、どんな環境でも乗り越えられる足腰の強い製糖企業に成長させていきたい。同時に若い社員が夢や誇りを持って働ける会社にする。

海外事業では三井製糖が先行していて、タイ、中国、シンガポールなど砂糖にとって極めて大事なところに拠点を確立されている。ぜひ、当社も仲間に入れていただいて大いに貢献したい。そうした事業拡大を通じて従業員、お客さま、お取引先、株主、地域社会、地球環境など、あらゆるステークホルダーにとって良い会社にできればと思う。

――今回の経営統合が与える影響や効果について。

森本 砂糖消費は1976年ぐらいをピークに減少を続けるが、総甘味需要はほぼ横ばいで推移している。砂糖消費だけが減少するのは、やはり砂糖に対して消費者の誤解があると思う。砂糖の関連団体が誤解払拭に向けてさまざまな啓発活動も続けている。砂糖そのものが“エナジーチャージャー”であり、そこは消費者に認識してもらいたいと思っている。

一方で、砂糖は糖価調整制度の中で、北海道のビート糖農家や沖縄・鹿児島のさとうきび農家の保護など国産糖を通じて日本の農業、国境(離島)を守るなど広範囲な意味を含む食品でもある。その責務を担う1企業としても再投資できる体力を持つ必要がある。今回の統合は持続可能な砂糖産業に向けた経営基盤強化であり、さらに砂糖以外の事業でも人々の生活にエネルギーを生涯にわたって提供できる企業を目指していく意味がある。

【解説】

日本の砂糖市場規模は約4千億円弱と言われ、三井製糖、大日本明治製糖、日新製糖、伊藤忠製糖の4社でシェア7割を占める。これに続くのが塩水港精糖、フジ日本精糖、東洋精糖などとなっている。

現在の砂糖消費量(主に白糖、精製糖)は年間171万9千t(農水省)で平成の30年間で約28%減少し、令和に入っても前年度は6%減少した。コロナの影響が大きく、3年分の下落率に匹敵する。当然ながら工場稼働率は下がり、もはや単独で生き残ることはかなり厳しい状況だ。

また、精製糖には国産糖(北海道のてん菜、沖縄・鹿児島のさとうきび)の保護財源(約500億円)が売価に反映されている(糖価調整制度)。北海道の輪作体系を守り、沖縄・鹿児島の数々の離島における主要産業を保護し、国境を守っている。

しかし、国内の砂糖消費が減れば輸入糖が減り財源資金の負担が高まる。すると競合甘味料(異性化糖、加糖調製品、高甘味度甘味料)にさらにシェアを奪われるという悪循環をコロナが加速させている。

その中での三井製糖と大日本明治製糖の経営統合は経営基盤の強化と国産糖保護の意味で大きな一歩であり、さらに製糖企業の将来像を見るうえでも関心を集めるものだ。

DM三井製糖ホールディングス 2020年3月期 売上高

DM三井製糖HD誕生 未来志向でシナジー発揮へ 両社長が語る意義と効果は食品新聞 WEB版(食品新聞社)で公開された投稿です。

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