浸透いまいち?果汁飲料の栄養価値 伝達に燃える「トロピカーナ」

果汁飲料市場は果汁が持つ栄養価値が今ひとつ広まらずダウントレンドにある中、キリンビバレッジの「トロピカーナ」ブランドは、栄養成分入り低果汁の「エッセンシャルズ」シリーズを使って、おいしさと栄養価値を兼ね備えた果汁飲料の価値伝達に注力していることが奏功して近年好調に推移している。

果汁飲料市場の販売規模は20年、前年比8%減と推定される中、「トロピカーナ」はほぼ横ばいで着地。

その内訳は、コロナ禍の外出自粛によってコンビニなどで売られる小型容器とチルド商品が苦戦した一方、そのマイナス分を「エッセンシャルズ」はじめ「W(ダブル)オレンジブレンド」と100%果汁の大型容器「100%まるごと果実感」シリーズの好調が補った。

その中でブランドの中核となる「エッセンシャルズ」は、前述の小型容器と同じくコンビニで苦戦を強いられたものの、スーパー・量販店での伸長に加えて、特筆すべき動きとして、自販機での小型ペットボトル(PET)「マルチビタミン」(280?PET)の販売が大きく拡大しトータル10%増となった。

中田康陽氏、山口彩氏、松岡祥子氏(キリンビバレッジ)
中田康陽氏、山口彩氏、松岡祥子氏(キリンビバレッジ)

この「マルチビタミン」の活躍に市場活性化の兆しを感じ取るのは、取材に応じた中田康陽マーケティング部ブランド担当担当部長シニアブランドマネージャーで「280?は非常に自販機への導入が進み、お客さまとの接点が増えて非常に伸びている。習慣飲用化されており『エッセンシャルズ』でやりたかったことが実現できている。果汁を習慣飲用化する文化を根付かせていきたい」と語る。

昨年、コロナ禍になり米国・欧州・中国などではビタミンやミネラルなどの栄養成分を含む飲料として果汁飲料の引き合いが強まったが、「日本だけがいまだ『果汁=おやつ』の認識から抜け切れないことにショックを受けた」という。「エッセンシャルズ」の真の役割は、この認識を変えていくことにある。

「トロピカーナ」のブランドビジョンは「いちばんハッピーな、ナチュラル栄養源」。

「エッセンシャルズ」はこれに基づき「果汁飲料はおいしく栄養補給できる飲料」のメッセンジャーとなり果汁習慣飲用の文化を醸成していく。

「一足飛びにストレート果汁を訴求しても値段が高いこともあり、なかなか伝わらない。まずは機能を強く訴求して第一歩をエントリーしていただくことが重要。将来、市場が活性化すれば、栄養素を謳わなくとも『果汁=ナチュラル栄養源』として認知される」との見方を示す。

機能をより訴求するため、3月9日には「エッセンシャルズ」の主要アイテムである「マルチビタミン」「鉄分」「食物繊維」「マルチミネラル」の330?プリズマ紙容器4品をリニューアル発売した。

中味は一部の栄養素を強化。パッケージは、栄養素と1日不足分の記載をより分かりやすく配置し機能感を目立たせたデザインへと磨きをかけた。

「私、栄養は果実でとる派です」をキーメッセージに掲げ、デジタル広告などのコミュニケーションを年間通じて展開して主に30・40代女性の新規ユーザーを獲得していく。

「『エッセンシャルズ』は好調なのだが、ターゲット内の飲用経験率が55%でまだまだ伸ばせる。競合品と比べおいしさのイメージでは優位に立つが機能感では拮抗しており、機能感を改善することで家庭内外の全方位で新規ユーザーを獲得していく」と意欲をのぞかせる。

主要アイテムの刷新に伴い、昨春発売した果実スムージー「エッセンシャルズ プラス」も配荷アップを図る。

「お客さまが健康を意識する際に手に取ってもらえるタッチポイントを増やしていく」と山口彩マーケティング部ブランド担当主任(4月からマーケティング部 ブランド担当部長代理アシスタントブランドマネージャー)は語る。

リニューアル発売した「Wオレンジブレンド」(トロピカーナ)
リニューアル発売した「Wオレンジブレンド」(トロピカーナ)

「エッセンシャルズ」に次ぐ中核アイテムの位置づけとなる「Wオレンジブレンド」は20年、約1.6倍となった。

その好調ぶりについて松岡祥子マーケティング部ブランド担当主任アシスタントブランドマネージャーは「営業と連携して定番に入れていただく活動に取り組み土台を整えたところに『うす甘』飲料を好むユーザーからのスイッチがあった。特に昨年の緊急事態宣言後にお客さまの健康意識がぐっと上がったタイミングで回転も上がった」と振り返る。

この勢いに弾みをつけ、さらなる飲用層の拡大を図るべくパッケージと中味に磨きをかけ2月16日にリニューアル発売した。

パッケージは、健康意識の高まりに対応してマルチビタミンの記載をより目立つように改良し、従来タックシールで訴求していた「管理栄養士推奨!」と入れた。

中味は後味を改善し「果実で、マルチなビタミン対策!」をキーメッセージに掲げて30・40代果汁ユーザーやうす甘ユーザーをターゲットに訴求していく。

100%果汁の大型容器「100%まるごと果実感」は20年、コロナ禍による環境変化で新規ユーザーと4割の高いリピート率を獲得して10%程度伸長し過去最高の出荷を記録した。

フレーバー別では「メロンテイスト」がプチ贅沢需要に合致し好調となった。

100%果汁の大型容器市場は100〜160円台と200―250円台で二極化。この中で200円台の過半を占めるのが「100%まるごと果実感」となる。

今年は、従来から訴求している「高いのには理由がある」に加えてワンランク上の100%ジュースを訴求していく。チルド100%小型容器では前身の「シーズンズ・ベスト」に代わるものとして新シリーズ「ヘルシーフルーツ」を立ち上げ「季節にうれしい栄養も補給できる」ものとして展開する。

浸透いまいち?果汁飲料の栄養価値 伝達に燃える「トロピカーナ」は食品新聞 WEB版(食品新聞社)で公開された投稿です。

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