「三ツ矢」全方位戦略が奏功 「久しぶりに飲みたい」くすぐるマーケで休眠層も深耕 アサヒ飲料

アサヒ飲料の炭酸飲料ブランド「三ツ矢」は20年、前年比4%増となる4千75万ケースの販売数量を記録して過去最高を更新した。今年1-5月も2%増と好調を維持している。その牽引役は旗艦商品の「三ツ矢サイダー」。

取材に応じたアサヒ飲料の水上典彦マーケティング本部マーケティング一部炭酸グループリーダーは、同商品について「ほぼすべての幅広い世代で購入率が増えている。年齢層を定めずに、もう一度おいしく飲んでもらう活動が奏功している」と語る。

「三ツ矢」が主戦場とする透明炭酸飲料市場に追い風が吹いていることも好調要因に挙げる。「外的な要因は大きく二つある。一つはコロナ禍の外出自粛でリフレッシュニーズが非常に高まっていること。もう一つはソーシャルグッドで『自分にも世の中にもやさしく』と考えたときに、透明な炭酸飲料が求められるようになっている」と述べる。

こうした環境の中、「三ツ矢」は昨年3月から嵐をTVCMに起用するなどして休眠層も掘り起こしている。「内的な要因として三つくらい重要と思うことがあり、詳しくは言えないが、その三つに共通して言えるのは『久しぶりに三ツ矢サイダーを飲みたい』と思ってもらえるようなマーケティングを実行したことがかなり大きい」と説明する。

幅広い商品ラインアップもブランド拡大に寄与した。「『三ツ矢サイダー』はオールターゲットの商品で、これですべて補えないこともないのだが、炭酸飲料にはさまざまなニーズがあるため、トレンドとトレンドに逆らうものを平行して行い、ニーズが高かった方により傾注する」との考えから豊富に取り揃えている。

現在、爽快感や健康のトレンドに着目して出足好調となっているのが「三ツ矢サイダー レモラ」。

アサヒ飲料調べによると、約3億ケースと推定される炭酸カテゴリーのうち、3割強が有糖炭酸と炭酸水の併飲ユーザーであることが判明。この併飲ユーザーに向けて、過去複数回にわたり刷新し、昨年も限定復刻シリーズとして販売した「三ツ矢サイダー レモラ」を3月23日に本格発売を開始したところ、発売1週間で1千155万本(52万ケース)を販売し、5月時点では146万ケースと年間販売目標(300万ケース)の約5割に達した。
「三ツ矢サイダー フローズン」(アサヒ飲料)
「『三ツ矢サイダー』を最近飲んでいない方々に向けて、『三ツ矢サイダー』強化の一環で『レモラ』を発売したところ、『三ツ矢サイダー』だと少し甘いと感じられる世代、特に40代の方々に愛飲されており、有糖炭酸と無糖炭酸水の中間のニーズを捕らえられそう」との見方を示す。

「三ツ矢サイダー フローズン」(アサヒ飲料)
「三ツ矢サイダー フローズン」(アサヒ飲料)

贅沢や嗜好ニーズに対しては「三ツ矢 特濃オレンジスカッシュ」など果汁入りを展開。果汁入り炭酸はダウントレンドにあるが「果汁率が10%程度のカテゴリーで抽出すると伸びており、トレンドとして上がってきている」と指摘する。

ブランド史上初のフローズン飲料として5月に新発売した「三ツ矢サイダーフローズン」は、「三ツ矢サイダー」をマイナス5℃前後で販売する「氷点下自販機」と同じ発想で「三ツ矢サイダー」の価値を知ってもらうための商品となる。今後も「お客さまがワクワクするような新しい提案を少しずつ増やしていきたい」と意欲をのぞかせる。

炭酸飲料市場については、有糖タイプに危機感を募らせる。「炭酸飲料市場が横ばいで推移する見通しの中、どんどん無糖化していく。有糖の中で唯一ギリギリ維持できるのがサイダーや透明炭酸だが、世の中のトレンドを考えると有糖は減っていき、有糖炭酸として新しい提案を考えていかないといけない」と引き締める。

「三ツ矢」全方位戦略が奏功 「久しぶりに飲みたい」くすぐるマーケで休眠層も深耕 アサヒ飲料は食品新聞 WEB版(食品新聞社)で公開された投稿です。

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