甘くて酸っぱい初恋の味「カルピス」 誕生から100年以上、愛される4つのポイント
2021年07月14日 14時34分 食品新聞
日本初の乳酸菌飲料「カルピス」(希釈用)は昨年、コロナ禍による外出自粛の影響から家庭内で過ごす時間が増えたことで1994年の統計開始以来過去最高の年間販売実績を達成した。今年1-5月も、前年同期の需要増が反動となりつつも堅調に家庭内需要を掘り起こしている。
「カルピス」は1919年(大正8年)の7月7日の七夕に発売され、今年7月7日で発売102周年を迎える。100年以上たった今も変わらず多くの人に愛飲されている理由は、以下四つが挙げられる。
おいしいこと、滋養になること、安心感のあること、経済的であること――。
これら四つのポイントは、「カルピス」の生みの親である三島海雲が唱えた「カルピス」が持つ基本価値で、アサヒ飲料ではこの基本価値を成長の源泉としブランドを磨き続けている。

約100年前、内モンゴルを訪れた三島海雲は長旅で体調を崩したとき、現地でふるまわれた発酵乳を飲むうちに驚くほど体調が回復。帰国後、「この不思議なチカラで日本の国民を元気にしたい!」と現地での経験をヒントに生み出した発酵飲料が「カルピス」となる。
「カルピス」の「カル」は牛乳に含まれるカルシウム、「ピス」はサンスクリット語(古代インド語)が由来。
仏教では、乳・酪・生酥・熟酥(サルピス)・醍醐(サルピルマンダ)を五味といい、五味の最高位の醍醐からとると「カルピル」となり歯切れが悪いため、次位の熟酥(サルピス)が選ばれたという。
三島海雲は命名に当たり音声学の権威である山田耕筰に相談したところ「非常に発展性のある名前である」と評されたことが伝えられている。

新聞広告に「カルピス」のキャッチフレーズ「初恋の味」が初めて登場したのも1922年。
三島海雲の文学寮時代の後輩である驪城(こまき)卓爾が「甘くて酸っぱい『カルピス』は『初恋の味』だ。これで売り出しなさい」と提案したことがきっかけになった。
コロナ禍が続く今年、アサヒ飲料では「カルピス」でコロナ禍でも七夕を楽しめるように短冊に書きたい願いごとをデジタル上で募集。量販店に設置してあるPOPなどからQRコードにアクセスし、短冊に書くニックネームと願いごとを入力するとデジタル上に短冊が出現し投稿完了となる。投稿された短冊は例年通り仙台の大崎八幡宮で奉納とお焚き上げが執り行われる。

量販店などでは例年、七夕周辺の週末に社員が店頭に立って「カルピス」の試飲サンプリングなどを実施しているが、今年は新型コロナ感染拡大防止の観点から、デジタルサイネージを活用した販促活動を実施している。
「カルピス」を通じた活動には、三島海雲が唱えた「国利民福」の思想が今も受け継がれている。
国利民福とは、「国利民福のために尽くさずしてなにものもなし」という私欲を忘れて公益に資する考え方で、関東大震災では、金庫のあり金をすべて拠出して「カルピス」の原液を水と氷で薄めて配り回った。

1963年から現在まで続いている「カルピス」ひなまつりプレゼントも国利民福の考えによるもの。次世代を担う子どもたちの成長を願い、ひなまつりのお祝いで飲まれる白酒に代わるものとして、毎年、全国の幼稚園と保育園で「カルピス」を無償提供している。
2018年からは「カルピスの誕生日」に関連する売上げの一部を「赤い羽根福祉基金」を通じて全国のこども食堂へ寄付している。
寄付開始以来の3年間で累計寄付金額は5千748万円。寄付金とともに「三ツ矢サイダー」「カルピスウォーター」などの商品も寄付している。(敬称略)
「カルピス」公式サイト「カルピスを知る」
https://www.calpis.info/knowledge/
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