コーヒー高騰が深刻化 広がる余波 相場を通さないスペシャルティコーヒーにも影響 戦略の見直し迫られる丸山珈琲

世界最大のコーヒー生産国ブラジルの大幅な減産予測と米国・欧州の経済活動再開に伴うコーヒー消費量の増加によるコーヒー生豆国際相場の高騰が、相場を通さず生産者とバイヤーが直接売買するスペシャルティコーヒーにも影響を与えている。コーヒー生豆国際相場は2月から上昇基調に転じ、5月28日には4年半ぶりに1ポンド当たり160セントを超えるまでに高騰。7月には、ブラジルのコーヒーベルトに霜害(降霜)が発生したことで200セントを超え、アラビカ種では2014年11月以来の最高水準価格に達した。

これに伴いスペシャルティコーヒーの価格も高騰し、スペシャルティコーヒー専門店の丸山珈琲も値上げを余儀なくされるなど戦略の見直しを迫られている。

相場を通さないスペシャルティコーヒーがなぜ高騰しているのか。その理由について、取材に応じた丸山珈琲の丸山健太郎社長は「相場は生産者にとってベース価格のようなもの。ある程度の高騰であれば、あまり影響がないと言えるのだが、あまりに高騰してしまうと、少しでも高く売ることに主眼を置く生産者としては、バイヤーの細かいリクエストに応じながら努力して販売するよりも、農協や輸出業者に持っていくほうが細かいことを言われずに高い価格で買い取ってもらえ良い取引」と説明する。

丸山珈琲の丸山健太郎社長
丸山珈琲の丸山健太郎社長

通常のコーヒーと比較すると、生産に手間がかかるスペシャルティコーヒーの買い付け価格は、相場価格にプレミアを上乗せすることで、より良い品質のものを買い付けることができる。そのため相場が高騰すると、スペシャルティコーヒーの価格も高騰せざるを得ない。「生産者もプレミア価格で取引ができることで、手間がかかっても高品質の物作りに専念することができることから、スペシャルティコーヒー業界では品質の良いものを確保するために高い価格で買わざるを得なくなる」と嘆息する。

生産者が注視するのは国際指標であるニューヨーク先物価格で、「最大の供給源であるブラジルに霜が降りて何万ヘクタールがやられたという数字が出てくると、来年も供給がタイトになるとの見通しから高騰し、当然、生産者も強気になる」と語る。

今回の価格高騰の収束は、丸山社長もまったく見通せないという。「ブラジルは霜害だけでなく、干ばつ・降雨不足に見舞われ非常に不安定であるのと、そこにコロナの影響が加わり、いくつかの生産国では急にロックダウンするなどイレギュラーなことが多く、さまざまな部分でコストアップにつながっている」と述べる。この状況に輪を掛けるように、北米を中心とした北半球の経済活動が再開したことでコーヒーの消費が増加し「今まで買い控えていた業者が買いつけるようになり、高騰要因の一つになっている」。

丸山珈琲は、コロナ禍が直営店の運営に打撃を与えたことを受け、昨年後半からスーパーとECでの家庭用商品の販売に注力している。コーヒーを含めさまざまな原料のコストが上昇しているこの秋冬は値上げに踏み切るほか、今後、生産者と複数年契約などのプロジェクトを組み、将来的に消費者が買いやすい価格でのスペシャルティコーヒーの提供を行うため、原料調達方法、生産の効率化など今後も挑戦を続けていく。

「昔からのつながりから赤字覚悟で商売していたところなどを見直し、これまで広がっていった商品群を整理した。今期(12月期)の損益は目標を上回る見通しとなっている。コロナワクチンの接種が浸透し、ワクチンパスポートなどの仕組みが出来上がったときがまさに商機だが、それでもまだ直営店を広げるまでにはならない」との見方を示す。
 

スーパーなどで販売される家庭用商品(丸山珈琲)
スーパーなどで販売される家庭用商品(丸山珈琲)

コロナによるゲームチェンジを受けて策定した21-23年中期経営計画では、スーパーとECの合算で4割強の売上構成比を8割まで引き上げていく。

ECは、好調を加速させるべく既存の販売網を強化していくことに加えて、LINEギフトの活用を深掘りしていく。具体的には「父の日や母の日などに当日気がつく方がいる。そのときにメッセージ先行でギフトが贈れるので、通常のECに比べてスピード感があり非常に有望。今後も力を入れていく」考えだ。

商品面では、好調に推移している「コーヒーカステラ」や「ティラミス ラングドシャ」といった関連商品も強化し、ブランド認知拡大を図るための企業コラボも推し進める。

新たな挑戦としては、カプセル式コーヒー&ティーマシン「KEURIG」専用のカプセルに参入し「KEURIG K―Cup丸山珈琲のブレンド」を6月から発売。同商品を体感して口コミで広めてもらうためのアンバサダーを募った。

コーヒー高騰が深刻化 広がる余波 相場を通さないスペシャルティコーヒーにも影響 戦略の見直し迫られる丸山珈琲は食品新聞 WEB版(食品新聞社)で公開された投稿です。

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