前期5・5%増70億円を突破 ジャバンのり好調を維持 永井海苔社長 久田和彦氏

前期5・5%増70億円を突破 ジャバンのり好調を維持 永井海苔社長 久田和彦氏

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–今期の全般的な振り返りをお願いします。

久田 有明海は夏場に降雨量が多く20年度漁期に期待を寄せていたが、育苗期に栄養塩が限りなくゼロになったことが品質に影響を与え、秋芽は初回からガサついた海苔質の生産となった。 その後夏場の栄養塩の蓄えで佐賀は秋芽網が過去最高を記録するなど生産数量は伸びたが、品質が改善することはなかった。年明け冷凍網の張込み時期には栄養塩が極端に不足して佐賀の中西部を中心に色落ちが続き、佐賀西部は最後まで回復することなく終漁した。結果として秋芽大豊作・冷凍網大凶作の64億枚台の不作で、品質面でも物足りない漁期だった。

昨年は漁期中周期的に降雨があったため色調は保たれたが、赤腐れの影響でイタミの入ったクモリ等級が多く、品質は悪く2年続けて品質面で不作だった。また瀬戸内海および地元の愛知は、夏場に降雨量が少なく漁期前半から例年より色調が浅くなった。全国の平均価格は前年より3円近く下がっているが、要因は下物が多く生産されたことによるもので、CVSクラスの色目は若干の下げに留まった。

市場環境は家庭用の巣ごもり需要も徐々に落ち着きつつあるが、4月以降業務用が下げ止まった感があるので、全体では前年をクリアできている。昨年一部商品の値上げを検討していたが、緊急事態宣言が発出されたため値上げを断念した結果、利益面については効率の良い生産を図ったが、19年度産の高値原料を吸収することができずに減益となった。

–コロナの影響を含む今期の部門別進捗はどうですか。

久田 上期(9〜2月)の売上は前年比108・2%で、業務用とギフトは前年を下回ったが、引き続き家庭用は好調で不振部門をカバーした。下期の見込みは104・5%で、4月以降業務用は下げ止まったが、ギフトは依然として芳しくない。家庭用は前年の巣ごもり需要がなくなり落ち着いているが、トッピング商品は好調を維持している。通期は105・5%を見込み、中期計画2年目は70億円を突破する。部門別進捗は、家庭用109・1%、業務用93・2%、ギフト78・7%、食品事業126・8%、海外130%の見込み。

–アフターコロナの海苔市場をどうみていますか。

久田 20年度の税収が60兆円を超えて過去最高になったとのニュースは驚きだった。10%に引き上げられた消費税と好調な大手製造業の法人税収が全体を押し上げたようだが、コロナ禍の影響を受けている海苔業界との実態とかけ離れた印象は驚きだ。

コロナ禍で業務用は大きく影響を受けたが、依然海苔の消費枚数の60%以上を占めているので業務用の回復がなければアフターコロナの海苔市場は厳しいと考える。ワクチン接種も思うように進まず、毎日のように感染者が全国で1万人を超している現状を見ると平穏な時を過ごせるのは、まだまだ先だと思うとストレスが溜まる。金融機関の話では個人の預貯金はコロナ前より増えているとのことなので、増加した分をどれだけ消費に回してもらえるのか、行楽におにぎりを握って持っていってほしい、外出先のCVSでおにぎりや寿司を購入してほしいなどの期待が大きい。健康や和食のキーワードはこれからも注目され、コロナが収束したら海苔業界も以前の活気を取り戻すことを期待したい。

–御社の商品動向は?

久田 おかげさまでジャバンのりは5月に2年連続モンドセレクションのゴールドを受賞した。引き続き販売は好調を維持しており主力商品に成長している。商品施策では3月に「がんばろう日本×永井海苔企画」として「世の中が良くなるように」と清水寺でご祈祷していただいた原料を使用した主力商品5品を「海苔でくらし応援増量キャンペーン」を実施し、前年度巣ごもり需要で大幅に伸長した実績の反動を抑える事が出来た。

新商品としては3月に「きざミックス12g」「焼のり2切10枚」を発売。「きざミックス」は従来のきざみのりに香りの良い有明海産焼バラのりをブレンドした商品で、手ごろな価格で焼バラの味を楽しめる1ランク上のきざみのりとして、家庭内料理機会が増えている中、新たな需要を狙っている。「焼のり2切10枚」は、こちらもコロナ禍の巣ごもり需要で伸びている手巻商材の小容量使い切りパックとして少人数、1回分を手軽にお求め頂ける商品として発売し、ドラッグストア中心に導入されてきている。

–来期以降の方針及び経営戦略はお願いします。

久田 第64期がスタートする9月から新しい役員体制で更なる成長を目指している。商品施策では、引き続き家庭用のシェア拡大のため、販売好調なジャバンのりを軸に売れ筋商品のリニューアルを行うとともに、ジャバンのりに続く新商品の投入を予定している。

相場高騰の影響を受け2年連続の営業利益の減少を余儀なくされているので、安定した利益の確保には定番導入が必須と捉えた営業活動を積極的に推し進める。遅れていた新工場の建設は、やっと基本設計の段階まで進んだ。今後建設業者の選定から着工に入り、23年2月完成を目指して打合せを進めているところ。同時に導入する機械設備についても、メーカーと打合せ中であり将来の商品別販売予測数を元に機器の選定を進めている。

久しぶりの大型設備投資になるので慎重に行いつつも、成長には欠かせない投資であると全社員に意識させることが重要で、月一度の部署別の会議では常に会社情報を開示して社員に経営に参画しているとの意識を持たせている。幸いに非常に優秀な社員が各部署に数多くいるので、新入社員も早期に戦力化してさらに強い組織になっているという実感がある。営業部門、管理部門、工場部門の各社員には弛まない努力をしてもらい経営者として感謝している。3年後に純売上80億円、営業利益3億円を目標にしているが、現状の戦力なら必ず早期に達成できるものと確信している。

前期5・5%増70億円を突破 ジャバンのり好調を維持 永井海苔社長 久田和彦氏は食品新聞 WEB版(食品新聞社)で公開された投稿です。

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