「日東紅茶デイリークラブ」毎日飲める定番紅茶の味づくりの裏側 30年目に大刷新し本質守りつつ進化

 「日東紅茶デイリークラブ」(当時・日東ティーバッグ)は、1968年の誕生以来、毎日飲める定番紅茶の味づくりのための“処方“を繰り返している。

 その要となるのは、生産拠点となる藤枝工場(静岡県藤枝市)に設けられた鑑定室で、ここでは原料買付・開発・処方の3つの機能を果たしている。

岩澤昌彦執行役員バリューエンジニアリング本部副本部長兼藤枝工場工場長
岩澤昌彦執行役員バリューエンジニアリング本部副本部長兼藤枝工場工場長

 藤枝工場の工場長岩澤昌彦工場は「処方とは、幾種類もの原料茶葉で構成される開発レシピをもとに、ブレンド内容を微調整する仕事となる。茶葉は農作物のためシーズンなどにより味が変化することから、毎日、一定の味になるようにブレンドしている」と語る。

 鑑定室には現在、6人のティーテイスターが在籍し、海外から送られてくる茶葉のサンプルを1日平均100種類程度テイスティング(試飲)して購入を判断している。

 現在のデイリークラブを開発したティーテイスターの森智洋さんは「1日平均100種類程度だが、多いときだと300種類ほどにもなる。紅茶に限るとオークションの数日前にサンプルが届けられた場合やシーズン性のあるサンプルが届けられた場合は、急を要するため試飲量が物凄く増える」と述べる。

森智洋R&D本部応用開発部茶葉開発室兼経営企画部プロモーション室
森智洋R&D本部応用開発部茶葉開発室兼経営企画部プロモーション室

 「デイリークラブ」は、“紅茶を毎日気軽に飲んでほしい”との思いを込め1991年に「日東ティーバッグ」から改称された商品名。改称から30年目の今年、消費者の嗜好の変化を受けて、開発の域に踏み込み新しく生まれ変わった。

 「昔から飲んで下さっているお客様が多くいらっしゃるため味の極端な変更を避けつつ、消費者の嗜好性が少しずつ変わってきていることに対応した。具体的には香り立ちを極力変えずに苦渋みを低減させた。『デイリークラブ』はミルクティーにも合うコクのある味わいが特徴だが、ストレートにすると“毎日気軽に”という点では少し苦渋みが強かった」(森さん)という。

 

歴代の「日東紅茶デイリークラブ」
歴代の「日東紅茶デイリークラブ」

 処方変更に伴い藤枝工場の製造ラインも一新しパッケージも改めた。

 パッケージの一番の変更は、「ボンカップ」と呼ばれ長年アイコンとして親しまれてきたプラスチック容器や、ビニール包装を全面的に廃止した点。
これにより、「デイリークラブ」全体でプラスチック資材使用量を年間約50t削減する見込み。

 一方、これまでプラスチック容器で維持していた品質保持は、個包装で担保。

 ティーバッグの個包装を紙から紙アルミに変えることで密封度を高め、光・水分・臭いなどを遮断して賞味期限を2年から3年に変更した。加えて、ティーバッグの金属の留め具を廃止し電子レンジ調理にも対応できるようにした。

 製造ラインは、1961年から稼働してきたドイツのティーバッグ自動包装機「コンスタンタ」の稼働を今年限りとし、高速マシンに順次切り替えている。

高速ティーバッグマシン「C24E」
高速ティーバッグマシン「C24E」

 1分間あたりの製造能力は「コンスタンタ」が150袋に対して、高速マシンは最大600袋。「効率化を図り捻出された人員と労働力を革新的な新商品の生産に充てていく」(岩澤工場長)考えだ。

 新「デイリークラブ」は8月30日に発売開始された。

 竹田一也企画本部商品企画・マーケティング部部長は「デイリークラブ」の今後も受け継ぐべきDNAについて「日本の風土に根ざした、日本人の味覚にあったおいしい紅茶を日本人の熟練ティーテイスターがブレンドしているのが特徴。もっと高価でおいしい紅茶もあるが、『デイリークラブ』は手軽でありながら高いレベルの安心安全と品質で一般の方々に紅茶を楽しんでいただけるように展開してきた。このことが『デイリークラブ』のDNA」と胸を張る。

新「日東紅茶デイリークラブ」
新「日東紅茶デイリークラブ」

 「デイリークラブ」は今年で発売53年目を迎える。

 1961年に日本で初めて「コンスタンタ」が導入され前身となる缶入りの「日東ティーバッグ」を発売した。

 インスタントラーメンなどインスタント食品勃興期に登場し、調理設備を整えた「日東紅茶キッチンカー」で各地を巡回し紅茶の試飲サービスやいれ方教室など普及宣伝につとめ紅茶文化とティーバッグの普及に大きく貢献した。

 「20世紀の日本紅茶産業史」(日本紅茶協会編)によると、紅茶全体のティーバッグ比率は1963年の4%から76年に66%を占めるまでに拡大。
現在、紅茶ティーバッグ市場は成熟期に入ったことから、「デイリークラブ」では更に価値提案を強化していく。

左から竹田一也企画本部商品企画・マーケティング部部長と商品企画・マーケティング部の齋藤章代氏
左から竹田一也企画本部商品企画・マーケティング部部長と商品企画・マーケティング部の齋藤章代氏

 商品企画・マーケティング部の齋藤章代さんは「“あなたの未来とからだを想いながら、これからも歩み続けます”というブランドのテーマに沿って進化していきたい。“未来”はサステナブル、“からだ”では紅茶が持つ機能価値を発信しながら、お客様により添ってお役にたてるようなブランドへと進化させていきたい」と意欲をのぞかせる。

 22年には前身の日東ティーバッグから数えて発売61年目を迎える「デイリークラブ」。製造ラインも完全に切り替わり効率化が図れた分、「デイリークラブ」を基点とした「日東紅茶」の新たな展開にも期待が寄せられる。

「日東紅茶デイリークラブ」毎日飲める定番紅茶の味づくりの裏側 30年目に大刷新し本質守りつつ進化は食品新聞 WEB版(食品新聞社)で公開された投稿です。

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