キリンの機能性表示食品 難易度高い“免疫“表示 根拠実証し風穴

キリンの機能性表示食品 難易度高い“免疫“表示 根拠実証し風穴

左からキリンビバレッジ遠藤楓主任、キリンHD佐野環事業部長、藤原大介主幹

キリンホールディングスとキリンビバレッジは、独自素材「プラズマ乳酸菌」を使用した「iMUSE(イミューズ)」ブランド6商品(サプリメント、飲料)を11月上旬から順次発売する。これにより「プラズマ乳酸菌」を機能性関与成分とした、国内で初めて免疫機能の維持をうたった機能性表示食品が誕生した。プラズマ乳酸菌は、さまざまな免疫細胞の司令塔となるプラズマサイトイド樹状細胞(pDC)を活性化する菌で、同社は2009年に探索プロジェクトを開始し、12年に菌株バンクに保存されている膨大な数の乳酸菌からようやく探し当てたもの。

それまで乳酸菌ではpDCを活性化できないというのが食品の機能性研究における通説だったが、キリンではプラズマ乳酸菌がpDCを活性化させるとともにNK細胞やキラーT細胞、B細胞といった免疫細胞全体を賦活させることを世界で初めて突き止めた。

今回の消費者庁への機能性表示届出は、センセーショナルなニュースとして業界内外に受け入れられた。機能性表示食品制度が誕生して5年、導入当初から免疫は医療や医薬に大きく関わる機能であり、「疾病の予防や治療でなく、食で健常者の健康維持を図るという同制度の役割を考えると届出は困難では」という認識が根強かったからだ。他の機能と違い客観指標と主観指標の関係が不明なことも、免疫をテーマとした食品の届出はハードルが高いと語られる理由でもあった。こうした中、18年6月に閣議決定した「未来投資戦略2018」では「特定保健用食品や機能性表示食品等について、本年度より5年間で科学的知見の蓄積を進め、免疫機能の改善などを通じた保健用途における新たな表示を実現することを目指す」と記載され、政府は免疫をヘルスクレームにした商品を登場させるべく一定の年月をかけエビデンスを収集するという戦略指針を発表した。

内閣府の「バイオ戦略2020」でも「機能性食品について科学的知見の蓄積を進め、免疫機能の改善などを通じた保健用途における新たな表示について、国際情勢を踏まえつつ実現を目指す」という旨の方針を明記したことにより、免疫の機能性表示の実現に期待が高まっていた。

今回、キリンの届出が比較的早期で受理されたことについて、業界人の関心は高い。「(35年にわたる免疫に関するバックボーンを持つ)キリンだから受理された」と評価する声も少なくない。

届出には6報の学術論文を活用し、SRを作成した。pDCへの作用についての文献6報のうち、3報でpDC活性化を示す指標が対照群と比較して有意に高値であった。また、体調に関する全身の自覚症状についての文献6報のうち、4報で全身の自覚症状が対照群と比較してより軽度に維持されていた。さらには、体調に関する特定の部位の自覚症状についての文献5報のうち、すべてで特定の部位の自覚症状が対照群と比較してより軽度に維持されていたという。これらを総合的に判断し、プラズマ乳酸菌の免疫機能の維持効果について示唆的な根拠があるとした。客観指標と主観指標の関係性が解明されたのだった。

9月28日の新商品発表会で、キリンホールディングスヘルスサイエンス事業部の藤原大介主幹は「制度に照らして適当な届出を行えたことに尽きる」と制度に合致した科学的根拠を実証できた点について触れている。

「iMUSE」ブランドは、免疫維持ニーズの向上に伴い、今年8月まで前年比約2倍の販売数量で推移している。手軽さが売りの飲料は「唯一、免疫機能をうたうことができる商品」として、20年、21年で飛躍的な成長を目指す考えだ。キリンの免疫関連の食品・飲料事業は、国内のみならず現地パートナーを通じて北米や、ベトナム、シンガポールといった地域にも進出している。国内に関してはNB商品だけでなくプラズマ乳酸菌を素材として外販するほか、かねてからパートナー企業と商品の共同開発もするといった方向性も表明してきた。

同社では今後について「(今回の受理に続いて)免疫に関して、さらに複数のヘルスクレームを届出することなどは考えていないが、免疫機能維持のクレームを得たことで、消費者に商品特徴をさらに分かりやすく伝えることができると考えており、11月以降の販売には一層注力したい」と意欲をみせている。

今後のプラズマ乳酸菌研究の方向性については「体調維持以外にもさまざまな機能があると考えている。たとえばアンチエイジングに大きな可能性を感じている」との考えを明らかにした。

キリンの機能性表示食品 難易度高い“免疫“表示 根拠実証し風穴は食品新聞(食品新聞社)で公開された投稿です。

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