防災食 大震災から10年、備蓄啓発を 連載・アンダーコロナキッチン第2章「需要激変」〈13〉

防災食 大震災から10年、備蓄啓発を 連載・アンダーコロナキッチン第2章「需要激変」〈13〉

防災食 大震災から10年、備蓄啓発を 連載・アンダーコロナキッチン第2章「需要激変」〈13〉の画像

感染症加わり「複合災害」対策

東日本大震災から2021年3月11日で10年が経ち、4月16日に発生した熊本大震災からは5年が経過。節目の年になる21年は防災ムードが一気に高まり、「防災食」の需要も盛り上がる気配だ。新型コロナウイルス感染症の拡大により中止になっていたイベントも、21年には復活。これを契機に防災食業界は改めて備蓄意識を高めようとさまざまな催しを模索している。災害大国の日本は阪神・淡路大震災、東日本大震災の巨大地震を経験する一方で、大型台風や集中豪雨など自然災害も多発しており、今年は新型コロナ感染症拡大とも重なり、新型感染症と災害との「複合災害」対策が求められている。

「防災食」は、「非常食」「災害食」「備蓄食」とも言われ、災害時の備蓄用として通常よりも賞味期限を長くした食品。具体的にはアルファ米など米飯類を中心に、パン、缶詰、麺、菓子、スープ、ミネラルウォーターなどがあり、技術開発が進んだ結果、長期保存が可能なおにぎりやアレルギー対応食品、ハラル対応食品、ヴィーガン食品などの開発も進んでいる。

防災食の市場規模は、250億〜300億円とされ、20年は新型コロナが発生し、まとめ買いや備蓄意識が一層高まり、需要は急増した。ユーザーは行政機関が約4割を占め、民間企業や一般消費者がそれぞれ2割前後で続き、病院や介護施設、学校なども備蓄している。流通は企業・自治体向けと、個人向けの二つに分かれるが、今のところ企業、自治体向けが多くを占めている。

企業や自治体向けは専門商社が存在し、食系卸も存在感を発揮。電鉄系百貨店は沿線駅や企業、学校などに防災士の資格を持った社員がきめ細かく営業している。企業や自治体への供給には入札制度がとられ、自治体は欲しい案件を公示し、専門商社や百貨店外商、食系卸などがメーカーから見積もりをとって決まる。賞味期限は3〜5年が中心で、3〜5年周期の買い換え時期にまとまった需要がある。

一方、個人向けは東日本大震災が発生した3月11日前後、それに9月1日の「防災の日」前後に需要が跳ね上がる。これに合わせて大手スーパーでは年2回、大陳により防災フェアを開催。ネット販売が急速な勢いで伸びており、防災意識が高まる春秋にキャンペーンを展開し、短期間だがスーパーの店頭売りとは大きな差がでる。登山やアウトドア用に備蓄食を求めるケースもあり、登山やアウトドア専門店でも売られるようになった。

防災食も20年はコロナ禍に振り回された。2月中旬から後半にかけて新型コロナ感染症が広がり、個人の備蓄意識が急に高まり、ゴールデンウイークまで需要が急増した。特に個人需要が高まり、インターネットの売上げが急増。しかし、ここにきて個人の需要は落ち着いた。

例年、3月と9月に各所でさまざまなイベントが開催され備蓄意識が高まるが、昨年はこれらのイベントもコロナで中止され、行事がすべてキャンセルになった。21年は法人も個人も改めて備蓄意識を高めるためのさまざまな取り組みを計画している。

防災食 大震災から10年、備蓄啓発を 連載・アンダーコロナキッチン第2章「需要激変」〈13〉は食品新聞(食品新聞社)で公開された投稿です。

関連記事(外部サイト)

×