週刊ダイヤモンドは「FIRE」の決定版! エコノミストは「米国株」、東洋経済は「空き家」を斬る

「週刊東洋経済」「週刊ダイヤモンド」「週刊エコノミスト」、毎週月曜日発売のビジネス誌3誌の特集には、ビジネスパースンがフォローしたい記事が詰まっている。そのエッセンスをまとめた「ビジネス誌読み比べ」をお届けする。

「週刊ダイヤモンド」(2021年10月16日号)の第1特集は「資産1億円 本気でFIREを目指す!」。FIREとは何か? 火ではない。いま世界でブームになっているFIRE(=「Financial Independence Retire Early movement」)は、訳すと「経済的な自立を実現し、早期リタイアを目指すムーブメント」のこと。

この「FIRE」が日本でも盛り上がりを見せ始めた。自由に生きることに憧れる若者、職場のリストラを機に人生プランに据える中高年、いずれも本気で目指すには資産が必要だ。

資産1億円を狙える投資法とは?

FIREが実現できる年齢とは?

日本で働く人たちのためのFIRE攻略決定版を特集している。

■年収700万円台の会社員が43歳でFIREできた理由

週刊ダイヤモンド」2021年10月16日号
週刊ダイヤモンド」2021年10月16日号

書籍ベースでFIRE関連書はちらほら出ていたが、雑誌の特集としては恐らく初めてでないだろうか。ある程度、実践例が増え、広がりがないと雑誌メディアが取り上げることはできないからだ。コロナ禍でリモートワークが増えたことと少し関係があるような気がしていた。時間が自由になった分、投資をしたり、会社以外での働き方を考えたりするようになったことが、背景にあるとみられる。

ともかく、FIREを達成するには3つのポイントがあるという。1つ目は「お金をためる」。つまり、働いて稼ぐことだ。より多く稼ぐためには転職したり、副業をしたりもする。2つ目は「支出を抑える」。家計を見直したり、生活習慣を見直したりして、節約する。3つ目は「お金を増やす」。働いてため、支出を抑えて確保したお金をさらに増やすために、投資をするのだ。お金でお金を稼ぐ資産運用である。

この3つに取り組むことで、FIREを実現するのに必要な資産を築いていくのである。

現在46歳になる男性の体験談が紹介されている。2019年、43歳のときに勤務していた会社を辞めた。FIREを達成したからである。退職時の年収は700万円台。特に高給取りだったわけではないのに、なぜ達成できたのだろうか。この男性は米国株を中心とした株式投資を長年続けて財を成していたのだ。17年には株で資産1億円を突破し、会社からの給与がなくてもやっていけるタイミングが来たと思ったという。

今、株式投資のほかに太陽光発電、不動産投資などを手掛ける中で資産管理法人を持ち、投資アドバイザーなどもやっている。会社員時代から始めていた米国株投資をつづったブログを続け、最近YouTubeチャンネルも始動した。

現在、同氏の総資産は6億円。米国株3億円、不動産2億円、太陽光発電1億円という構成だ。このほかにもFIREを実現した多くの例が登場している。

特集では、以下の記事で日本でのFIRE達成を追求している。

▼10倍株化け期待も!資産2億円の会社員が保有する日本の15銘柄
▼低リスク・高リターン「IPO投資」大手証券の攻略法▼米国の高成長株10選!"やんちゃ銘柄"も
▼「投信はこの22本!」モーニングスター社長が厳選
▼堅実派必見!金融コンサル社長自腹の投信運用全公開
▼不動産投資における会社員の年収別「資金調達可能額」
▼メガ大家が狙う高リスク・高リターン物件とは?
▼「FIRE可能年齢」800パターン完全試算【年収500万円〜】

もともと米国ではFIREが人生の目的であり夢だったという人が多い。日本でもようやくFIREをめざそうという動きが出てきたということだ。だが、それを支えているのは躍進する米国株という現実。給与も上がらず、株価もぱっとしない日本に固執することのデメリットに若者は気が付き始めたのかもしれない。

■米国株は投資の好機

「週刊エコノミスト」2021年10月19日号
「週刊エコノミスト」2021年10月19日号

この「週刊ダイヤモンド」の特集に連動したように展開しているのが、「週刊エコノミスト」(2021年10月19日号)だ。特集のテーマは「今こそ買う! 米国株」。

9月の米国株は大きく調整したが、米国企業の業績見通しは明るい。下がった今こそ、投資の好機だ、と同誌は見ている。調査会社リフィニティブの集計によると、S&P500構成企業の1株当たり利益(EPS)は、21年で前年比43.9%増と予想されている。さらに成長は続き、22年も9.6%増、23年も7.3%増と見ている。

米国株に詳しい三菱UFJ国際投信の荒武秀至チーフエコノミストは、S&P500は徐々に回復し、年末までには過去最高の4600ポイントを目指すと予想している。

そうなれば、適度に下がった今の株価水準は長期的な視点からすれば「投資の好機」と編集部は考えている。米国を代表するIT企業「GAFA」の業績は引き続き強い。4社いずれもが2桁の増収増益を確保。DX(デジタルトランスフォーメーション)の流れが止まるとは考えにくい。バイデン政権が掲げる「脱炭素」政策により、独自の技術やサービスを武器に成長する企業が米国では増えそうだ。「目先の波乱要因を消化し終えれば、これらの新技術でリードする米国企業が株式市場で勢いを取り戻す可能性は高い」と書いている。

特集ではネットで買う米国株として、取り扱い5000銘柄以上1000円から積み立てできる方法を紹介している。

また、個別銘柄としては製造・医療・金融の11銘柄、半導体・ITの11銘柄、航空・ソフト・決済の11銘柄について解説している。米国株投信・ETFについても25銘柄を取り上げている。

注目される米金利の行方について、木内登英氏(野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト)は、「11月にも金融緩和縮小開始、市場は23年の利上げを意識か」、という見解を披露し、波乱リスクは中国と見ている。「23年以降は、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げとデジタル人民元発行をきっかけとするドルの地位低下への懸念が重なるだろう。その結果、米国を起点として、世界の金融市場に波乱が起きるリスクが一気に高まるのではないか」と書いている。

米国株に期待する一方、警戒を忘れてはいけないということのようだ。

■実家はもはや「負動産」週刊東洋経済が空き家を特集

「週刊東洋経済」2021年10月16日号
「週刊東洋経済」2021年10月16日号

FIREや米国株に押された格好になったが、個人的に最も注目したのが、「週刊東洋経済」(2021年10月16日号)の特集「空き家にさせない! 実家のしまい方」だ。私事で恐縮だが、親が亡くなり、地方の実家が空き家になり2年。ため息をつきながら、共感とともに特集を読み終えた。

もはや「負動産」実家の片付けという記事に注目した。維持費だけで年20万円が必要になる、という内容だが、実際にはそれ以上かかるような気がしている。解体には100万円超、といった記事にため息をつき、「必ずしも不便=不人気とは限らない 街再生に必要な場の魅力」といった記事に期待を寄せた。

空き家解消に国も動き出した。相続・不動産コンサルタントの藤戸康雄さんが解説している。21年4月に所有者不明土地の増加を抑制する関連法などが成立した。相続登記の義務化、遺産分割の期間設定、土地所有権の国庫帰属がその柱だ。施行は23〜24年となっており、空き家の有効な活用が期待される。

一方では、ショッキングな記事も。住宅ジャーナリストの榊淳司さんが書いた「タワマンは限界集落になる」という記事だ。

いずれ水道管やエレベーターの交換は必須。だとすれば、30年後の大規模修繕をどうするのか、という内容だ。管理組合が資金を捻出できるのか、と指摘している。大規模修繕の費用は既存マンションの2倍という。

既存の横長の板状マンションの場合、建て替えによって戸数が1.5倍から2倍に増えるため、元の区分所有者の負担がゼロというケースも珍しくないそうだ。しかし、タワマンはそうはいかない。建て替えは非現実的だ。最後は解体されるしかないようだが、そのとき住民は対応できるのだろうか。五輪が終わり、湾岸のタワーマンションには「祭りの後」の感が漂っている、と結んでいる。

(渡辺淳悦)

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