新春! 週刊東洋経済は「狙われる富裕層」、週刊エコノミスト「投資のタネ」、週刊ダイヤモンドは「ゼネコン不動産」を特集

「週刊東洋経済」「週刊ダイヤモンド」「週刊エコノミスト」、毎週月曜日発売のビジネス誌3誌の特集には、ビジネスパースンがフォローしたい記事が詰まっている。そのエッセンスをまとめた「ビジネス誌読み比べ」をお届けする。

2022年、新春の「週刊東洋経済」(2022年1月8日号)の特集は「税務署から詐欺師まで完全対策 狙われる富裕層」。着々と進む徴税強化の実態に迫っている。

国税庁が発表した「富裕層に対する税務調査の件数」と「1件当たりの申告漏れ所得金額」によると、税務調査の研修はほぼ右肩上がりで増え、海外の税務当局との口座情報交換が始まった2017年、18年はぐんと伸びている。

1件当たりの申告漏れ所得金額は、データを取り始めた2012年には1000万円に満たなかったが、2020年は2259万円と過去最高を記録した。

■海外の口座情報を把握する税務当局

「週刊東洋経済」2022年1月8日号
「週刊東洋経済」2022年1月8日号

富裕層は今、どんなものを買っているのか? 「NFTアート」と呼ばれるデジタルアートを紹介している。暗号資産にも用いられるブロックチェーンの美術を使い、デジタルアートの作品が世界で唯一無二の本物であることを証明する仕組み。2018年に46億円だったNFT市場の時価総額は、わずか2年で381億円に急拡大した。

ほかに、都心のタワーマンション、高級別荘、未上場株への投資が人気だという。ただし、これは若い富裕層の話であり、60〜70代の富裕層は、日本から逃避させていた資産をいかにして日本に戻すかということばかりを考えているという。

国税庁が海外の税務当局と連携し、海外資産に監視を強めていることを詳しく報じている。共通報告基準(CRS)に基づく金融口座情報の自動交換制度を、日本は2017年から導入。20年7月から21年1月までの約7か月間で、84の国・地域から219万件の情報を受領したという。口座残高の総額は約10兆円に上り、申告漏れなどを洗い出している。

カンボジアなどCRSの枠組みに参加していない国への資産逃避も始まっており、富裕層と国税当局とのいたちごっこは、続きそうだ、と書いている。

最近の節税スキームも紹介している。米国不動産を活用したスキームは、2020年度の税制改正で封じられたが、これに代わるものとして、「中小企業経営強化税制」を利用したスキームが注目されている。「コインランドリー投資」に続いて、「中古トラック」、中古の「海上コンテナ」リース、「建設足場レンタル」などが流行している。だが、これらも22年度税制改正で規制がかかり、封じ込まれる見通しだ。このほかに、節税保険、暗号資産節税術、相続テクニックなども紹介している。

一方、「もう富裕層の税務コンサルティングは、やりたくない」という税理士の声もあるという。租税回避行為や脱税ほう助などに問われ、資格を剥奪されかねない事態が起きているからだ。昨今の国税当局は、なりふり構わぬ姿勢で臨んでいるという。

このほかに、富裕層相手の詐欺の手口、暗号資産に関するトラブルも取り上げている。「自分には縁のない話」と聞き流す人が多いだろうが、富裕層と言われる人たちの話は、いずれも興味深いものがある。

第2特集は「EV投資にアクセル 不退転の日系メーカー」。2021年12月、EV(電気自動車)の30年世界販売台数を350万台(うちレクサス100万台)とする計画を発表したトヨタ自動車の新方針を軸に、各社の動きをまとめている。

EVへの本気度を鮮明にしたトヨタ、唯一「脱エンジン」を打ち出したホンダ、あえて現実的な目標を掲げた日産の戦略を読み解いている。カギとなる全固体電池の開発について、日産は28年度までに自社開発の全固体電池を搭載したEVを市場投入、トヨタは20年代前半の実用化目標、HVから導入し、EVへの展開も視野にいれるとしており、ホンダは20年代後半投入モデルへの採用を目指す、としている。この1年でEVをめぐる議論はずいぶん進んだ。各社ともに正念場を迎えている。

■厳しさ増すゼネコンの受注競争、採算も悪化

「週刊ダイヤモンド」2022年1月8日号
「週刊ダイヤモンド」2022年1月8日号

「週刊ダイヤモンド」(2022年1月8日号)は、「ゼネコン不動産 地縁・血縁・腐れ縁の終わり」と題し、施主企業との関係が変わり、シビアになった顧客争奪戦の実態をリポートしている。

ゼネコンと一部企業の間には、華麗なる閨閥・人脈があるという。大林組と三井家、清水建設とトヨタ自動車の豊田家、竹中工務店と日清食品ホールディングス創業家などだ。だが、最近はその効力が薄れ、ライバルが参入するケースも多いという。

トヨタ自動車からの受注が多い大林組、竹中工務店、清水建設は、「トヨタ3社」と呼ばれるそうだ。その1社、大林組は「人脈・カネ・技術」を駆使して攻勢を強めている。トヨタが2021年7月に参加した「スーパー耐久レースinオートポリス」では、トヨタの水素エンジン車輛にグリーン水素を燃料の一部として提供した。

トヨタの未来都市「ウーブン・シティ」の建設地の更地化工事は受注した。本体の建設工事でも食い込みたいはずだ。

電機メーカーとゼネコンの間にも昔からの縁があるという。日立製作所と鹿島、NECと大林組などだ。しかし、競争入札が主流となり、縁に引きずられることは少なくなっているという。

鉄道、電力、ガスなどのインフラ業界でも結びつきはある。関西系の大林組は110年前の東京駅の建設工事を落札して以来、東京にも進出。今の本社は品川に構えている。JR東日本の品川開発プロジェクトでも受注している。

長年の関係をひっくり返す受注争いも増えているという。武田薬品を舞台に、大林組の独占状態を竹中工務店がひっくり返し、その逆のケースがあることも紹介している。

ゼネコンの競争激化により、大型の民間建築工事で採算が悪化している。大林組は業界首位から転落する見通しだ。2022〜27年に竣工する主な大型プロジェクトの推定工事費を一覧表にまとめている。大林組は業界内で利益率の悪化が深刻だと懸念される工事を多く抱えているようだ。

特集2は「戸建てバブルの裏側」に迫っている。業界の風雲児、オープンハウスが国内住宅の売上高でトップ5に食い込みそうだ。積水ハウス、大和ハウス工業、オープンハウスなど大手10社について、金額、デザイン、性能、間取り、メンテナンス、災害の6つの指標を基に、各社を比較している。総合力で最強とされたのは、積水ハウスだ。高額だが、デザイン力、設計力で定評がある。対照的なのがオープンハウス。金額以外の5項目はいずれも平均以下だが、金額については最高評価だった。戸建て住宅を購入するときは、各社の特徴を知った上で、交渉に臨みたい。

■大型株の強さが目立つ

「週刊エコノミスト」2022年1月11日号
「週刊エコノミスト」2022年1月11日号

「週刊エコノミスト」(2022年1月11日号)の特集は「2022 注目テーマ&企業 投資のタネ」。今年の株式投資のテーマを紹介している。

巻頭の編集部のリポートでは、大型株の強さが目立つ、と指摘している。大型株の指標として、東証株価指数(TOPIX)構成銘柄のうち、流動性と時価総額の高い30銘柄を選定した株価指数である「TOPIXコア30」に注目している。

コア30とTOPIXを比較すると、21年10月までは同等に推移したが、10月以降はコア30がTOPIXをしのいだ。コア30構成銘柄のうり、東京エレクトロン、日立などは年初来50%上昇した。

証券会社や運用会社では、高値は3万1000〜3万7000円で、年末にかけて高値をつける予想が多いという。「22年も3万円をはさむ安値と高値の間で売り・買いの好機が何度か訪れそうだ」と書いている。

ウィズコロナで株価はどうなる......

大川智宏氏(智剣・OskarグループCEO兼主席ストラテジスト)は、健全財務で成長が期待できる企業53社を挙げている。トップはノエビアホールディングス、次いでサービス業のレッグス、総合ネットセキュリティーサービスのイー・ガーディアン。時価総額が1兆円以上の大企業では、エムスリー、リクルートHD、キーエンスが選ばれている。

また、山川哲史氏(バークレイズ証券調査部長)は、日本経済を展望し、22年なかばまでは一時的に高成長するが、後半から23年に再び低成長軌道へ、と予測している。巨額の財政政策によって一時的には伸びるが、政府の経済対策は、労働生産性の上昇につながる雇用流動化策など真の成長戦略を欠いている、と指摘している。

「ウィズコロナ」関連では、外食は郊外立地が優位で、アウトドアブームも続く、という予想を紹介している。

オミクロン株による新規感染者が年明けから増えている。いずれにせよ、コロナ禍の推移によって、今年も企業業績、景況が左右されることは間違いないようだ。(渡辺淳悦)

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