「自分も幸せになるし、社会も幸せになる!」 投資家が忘れた初心と基本、高校生と一緒に学ぼう

「米FRBの金利引き上げはどうなるのか?」「ああ、オミクロン株が不安だな」......と悩みが尽きないあなた。

目先のカネ儲けばかりが気になり、投資の基本は「自分助け・人助け」だということを忘れてはいませんか。

今年4月から高校の授業で本格的なマネー教育が始まるのを機に、投資信託協会がホームページ上に高校生向けの「投資信託のデジタルブック」を公開した。

ここにはしっかりと「自分の幸せと社会貢献の両立」が投資の基本であるとアツク語られている。みなさんも、初心に帰ったらいかがでしょうか?!

投資をして世の中をよくしよう

■「自分の幸せと社会貢献が両立できる」投資の魅力

新学習指導要領が改定されたため、2022年度から高校の家庭科授業で「金融教育」が本格導入される。

これまでは、主に家計の管理を扱ってきたが、家計の「資産形成」が盛り込まれ、「投資家の視点」が入ってくるのがポイントだ。背景には小学校低学年から「マネー教育」を行うことが当たり前の英国や米国に比べ、圧倒的に日本の高校生の金融リテラシーが低いことへの危機感がある。

そこで、社団法人・投資信託協会が2022年1月7日、高校生によくわかるようにと、「お金」と「資産形成」の話を、「デジタルテキスト」と、「学習動画ライブラリー」コンテンツとして、ホームページ上に公開した。公開されたのは次の4つだ。

(1)「お金がわかる」生徒版バージョン:

「お金がわかる」生徒版のテキストブック(投資信託協会作成)
「お金がわかる」生徒版のテキストブック(投資信託協会作成)

これからの人生、結婚、出産、住宅購入、子どもの教育、老後の資金、介護にと、いったいいくらかかるか。結婚式の費用は約362万円、出産は約52万円、住宅購入は約3495万円〜4545万円、子どもの教育費は大学まで1250万円必要だ。「ええ、そんなに!」と思わせながら、実はあなたの親もお金に得ることに頑張っているのだ、と教える仕掛けだ。

ライフイベントに必要なお金を準備するのが「資産形成」であり、お金を貯める「預貯金」と、増やす「投資」の2つがある。投資には「債権」「株式」「投資信託」の3つがあるが、それぞれどんな方法か、コンパクトに説明している。絶対に儲かる投資などないが、「長期・積立・分散」という基本ルールさえ守れば「高校生でも挑戦できる!」と背中を押す。

また、もう1つ力を入れているのが「これからの投資の考え方」だ。自分の幸せと社会貢献が両立できる、と強調する。再生可能エネルギー事業に資金を調達する「グリーンボンド(環境債)」や、「ESG投資(環境・社会・ガバナンス)」のほか、若い世代に人気の「つみたてNISA」や、「iDeCo」を含む確定拠出年金の解説にもページを割いている。

(2)「お金がわかる」先生版バージョン:

指導教師向けのテキストも用意されている。ここでは「長期・積立・分散」投資がなぜ重要性なのか、どう生徒に教えていくかが説明されている。その理由は、金融市場が短期的に大きく変動するからなのだが、その仕組みの説明に力を入れている。カゴの中に卵をまとめて入れるとすぐ割れるから、小分けして入れるとリスクが分散される、というイラストがわかりやすい。

(3)「マンガで学べる投資信託〜教えて!トーシン教授〜」:

ハイリスク・ハイリターンをブランコで説明する「マンガで学ぶ投資信託」(投資信託協会作成)
ハイリスク・ハイリターンをブランコで説明する「マンガで学ぶ投資信託」(投資信託協会作成)

こちらは愉快な漫画で、投資のイロハから学べて、最後はジュニアNISAの入り方までマスターできる。ブランコの揺れを大きくすると、楽しみも増すが危険も大きくなるという図で、リスクとリターンの基本を説明。

株式会社の仕組みからさまざまなファンドの違い、投資信託購入までの流れをわかりやすく紹介。そして、投資家は「自分で決めた運用の結果は受け止める」「自分が負えるリスクの範囲を知っておく」ことが大事。つまり「自己責任」の重要性を説いている。

■「これからは攻めないと、どんどん貧しくなります」

もうひとつ、社会人にも大いに参考になるのが「学習動画ライブラリー」の各コンテンツだろう。

(4)動画で学ぼう!高校生のための「人生と投資」のお話:

サイト内では、証券取引に詳しい弁護士、投資信託運営責任者ら5人の専門家が、本当の投資とはどうあるべきか、「16歳の自分に教えたい お金のとの正しい付き合い方」というテーマで、それぞれアツク語っているのだ。

うち2人のお話を紹介したい。まずは、セゾン投信の創業者会長の中野晴啓さん――。

《僕の父は大正生まれ。1945年に戦争で負けた時は20代前半、貧しいサラリーマンでした。父は真面目だけが取り柄の、特に能力がある人ではありません。僕は小さい頃から父に「普通が一番。できるだけ普通でいることが幸せなのだ」と言われて育ちました。父の時代はそれでよかった。
(さらに、高度経済成長を経て)給料が上がり、豊かになった。1990年に父が持ち家を売った時は、10倍に跳ね上がっていました。能力・才覚......。ないない尽くしの父も含め、「普通」でいても、みんなが豊かになれた。みんなが同じ上りのエスカレーターに乗ることができたからです。
いまはどうでしょう。空港にある横に進むだけのエスカレーター、いや、みんなで少しずつ下がっている感覚。「普通でいい」はもうダメ! これからは攻めないと、どんどん貧しくなりますよ。早いうちから行動しましょう。「豊かな人生」とは何ですか? ザックリ言うと「お金に不安のないこと」です。食べるだけで精一杯の状態では、自分の夢に進めません。
みなさん、親から「下品だから株はやめなさい。しっかり貯蓄をしなさい」と言われる人が多いでしょうが、貯蓄してももうお金は増えません。投資というと賭けと同じ、これから値上げしそうなものを当てて、相場で勝負すると思っている人が多いでしょうが、私の投資は「とことん長期投資」です。》

「自分のお金で社会貢献をする。投資はカッコいいのだ」とアツク訴える中野晴啓さん(投資信託協会の動画より)

《「米百俵」(こめひゃっぴょう)という実話を知っていますか。幕末の越後長岡藩に、小林虎三郎という家老がいました。長岡藩が戦争で負けて焼け野原になった時、窮状を知った隣の藩から米百俵が見舞いとして贈られてきました。飢えに苦しんでいた人々がそれを食べようとしたら、小林虎三郎が全部お金に替えて、学校を作ったのです。
「戦争を起こしたのはバカなリーダーがいたからだ。これからは教育を盛んにして、優秀な人材を育てる」と。長岡はその後、周辺で一番豊かに地域になりました。すばらしいリターンではありませんか。これこそが本物の投資なのです。みなさん、投資ってとてもカッコいいものなのですよ。》

■「身の周りの困っている人を見て、起業しよう」

また、シンクタンクのフォフィアバンク代表の藤沢久美さんの話は――。

《みなさん、もし百万円あったら何に使いますか? お金を何に使うか、私は経済的に貧しい国々に行くと、必ず人々に聞きます。ルワンダの泥の家に住んでいる子どもたちは、働いてお金を稼いで、日本のようなキレイで、衛生的な国を作りたい、と言っていました。

不思議ですね。電気、ガス、ガラス窓もない。でも、学校に行くと、インターネットがあるから、日本のことがわかるのです。彼らにとって、私たち日本人は未来からきた人たちなのだな、と思います。でも、日本に帰ると、高校生は「私、欲しいものはない。クルマあるし、学校あるし、大人になっても自分がやりたいことがわからない」と言います。
そんな時、1つ提案があります。自分がお金に何に使うか、観察すると自分が何を大切にしているかが見えてきます。......お金の使い方は2つ。「自分のため」か「誰かのため」か。(人助けになるお金の使い方としては)社会貢献をしている企業を調べて、株を買うこと。「応援したい」「地球の未来」に貢献したい、という気持ちで株を買ってあげれば、その会社がより儲けて、利益の一部を戻してもらえます。一緒に成長していけるのです。
自分も幸せになるし、社会も幸せになる。この両方かなえることを「投資」と言います。でも、どの会社が貢献しているか、自分で調べるのって面倒くさいですよね。それをプロが代行してくるのが投資信託です。》

「高校生の起業は簡単。困りごとを組み合わせればよい」とアツク訴える藤沢久美さん(投資信託協会の動画より)

《もっと、困っている人々を助けながら、あなた自身も幸せになる方法がありますよ。それは「起業」――会社をつくること。現在、高校生で起業している人はたくさんいるのです。簡単ですよ。自分の周りを見るのです。困っている人はいませんか。その人を助けながら、商品やサービスを売ってお金を稼ぐ方法を探すのです。「困りごと」でつながっている事業はとても多いのです。
私が始めた例で言うと、世界中で10億人がメタボ、肥満に苦しんでいます。一方で10億人が飢餓に苦しんでいます。そこで、先進国の社員食堂でヘルシーなメニューを始めました。ただし、普通より20円高くします。その20円が飢餓に苦しむ国の人々の1食分になるのです。間を取り持つ私たちも、わずかですが、手数料をいただき稼がせてもらいます。困っていることを、パズルのように組み合わせるわけですね。》

投資の基本は「自分助け」と「人助け」、みんなが幸せになることだということを、高校生たちと一緒に初心に帰って学び直してはいかがだろうか。

(福田和郎)

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