予備軍はいまや700万人...ダイヤモンド「ひとり終活」、東洋経済「自衛隊は日本を守れるか」、エコノミスト「日本株」を特集

「週刊東洋経済」「週刊ダイヤモンド」「週刊エコノミスト」、毎週月曜日発売のビジネス誌3誌の特集には、ビジネスパースンがフォローしたい記事が詰まっている。そのエッセンスをまとめた「ビジネス誌読み比べ」をお届けする。

■おふたりさまのうちにできる準備を進めよう

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「週刊ダイヤモンド」(2022年7月16・23日号)は、「ひとり終活大全」と題した特集を組んでいる。おひとりさまの予備軍はいまや700万人。ひとり暮らしの事情はさまざまで、誰もがおひとりさまの予備軍だとして、最期までご機嫌な人生を過ごすための手引きを案内している。

配偶者に先立たれると、残されたパートナーには多数の死後の手続きが押し寄せる。保険、銀行口座、不動産など、おふたりさまの今から、できる準備を進めておこう、と呼び掛けている。

保険は、保険証書がどこにあるか、保険金の受取人が誰になっているかを確認しておこう。銀行口座はすべて把握しているか、預金通帳、キャッシュカードはどこか、ネットバンキングの口座はないか、印鑑登録した実印があるか調べておこう。

まだある。不動産は保有する不動産をすべて把握しているか、登記は誰の名義になっているか、不動産売買契約書はあるか。ほかにも、有価証券や年金、クレジットカードなどの確認も必要だ。ネット証券の場合は郵便物が届かないので気づかれないこともあるので、IDとパスワードも共有しておこう。

各種調査によると、9割以上の医療機関や介護施設で身元保証人を求めており、親族や民間事業者による保証人がいない場合は、入院や入所を拒否するケースがあるという。シニア生活文化研究所代表理事の小谷みどりさんは、「自分の意思を代理執行できる人を元気なうちに見つけることが大事だ」と話している。

◆元気なうちに、自分の意思を書き記す

希望する医療や介護サービス、延命措置の可否などを元気なうちに、自分の意思を書き記しておくことも勧めている。

「おひとりさまの老後」を書いた社会学者でウィメンズアクションネットワーク理事長の上野千鶴子さんは、「施設には入らない。在宅おひとりさまで機嫌よく死にたい」と書いている。

いまや、在宅みとりのカリスマドクターは全国各地にいて、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」という24時間対応のサービスもある。かかりつけ医による訪問医療を受けていれば、死ぬときはひとりでも、医師に死亡診断書を書いてもらえるという。

もっとも、在宅ひとり死を難しくするのは、普段は疎遠にしている別居親族による介入だと指摘している。上野さんは、エンディングノートは書かず、自筆遺言書を弁護士に託してあるそうだ。遺言書は数年に一度書き換えているらしい。

訪問医として1800人以上の在宅みとりをしてきた、日本在宅ホスピス協会の小笠原文雄会長は、「経験を重ねることによって、ほぼ医療保険と介護保険の範囲内でお見送りができるようになった」と話している。

ヘルパーを減らせば保険の範囲内で収まるとして、ひとり暮らしの患者69人の在宅医療費の内訳を公開している。これを見ると、たしかに、自己負担を入れても月5万円でおつりがくることがわかる。

特集では、血縁がなくても多少の迷惑はかけられる人間関係を築くことが、おひとりさまの終活で一番重要だと総括。自分で人的ネットワークをつくることができず、金銭的余裕もなければ、自治体の終活サービス、地域包括支援センターなどを活用する手段もある。

■GDP比2%増にはあと5兆円必要、公共事業費に匹敵

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「週刊東洋経済」(2022年7月16日号)の特集は、「自衛隊は日本を守れるか」。「防衛費倍増」の前に知っておきたい軍事の常識をまとめている。

ロシアのウクライナ侵攻を受けて、覇権主義的な行動を取る中国への警戒感が日米両政府で急速に高まり、防衛費の「GDP比2%」と敵基地攻撃能力が焦点になっている。

参議院選の自民党公約では、防衛費について「GDP比2%を念頭に、5年以内に防衛力の抜本的強化に必要な予算水準の達成を目指す」としていた。NATO(北大西洋条約機構)加盟国で国防費をGDP比2%以上とする基準が目安とされた。

現在の防衛費は5兆4000億円で、GDP比で0.96%だから、2%に増額しようとすれば、あと5兆円増やすことになる。実現すれば、世界で9位だった国防予算が米国、中国に次ぐ世界3位になる。

自民党の国防部会長の宮沢博行衆院議員は、「5年で2%達成が目標」と断言するなど、国防関係議員は勢いづくが、自民党にも異論があることを紹介している。

元防衛相の岩屋毅衆院議員は「5兆円をどこから持ってくるのか。増額分を何に使うのか。そうしたことを説明しないまま、数値目標だけを先行させるのは適切ではない」とインタビューに答えている。

財源も課題だ。倍増させる5兆円超は、公共事業費5兆6000億円に匹敵する。これだけの予算を毎年配分することに、国民の理解は得られるだろうか。

もう一つの論点は、敵基地攻撃能力の保有である。

政府は、今年末までに、安全保障政策の重要な指針である「国家安全保障戦略」「防衛計画の大綱」「中期防衛力整備計画」の防衛3文書を一括して見直す方針で、この中で自衛隊の原則である「専守防衛」を見直し、敵基地攻撃能力の保有を明確にすると見られる。

具体的には、敵のミサイル基地などを直接破壊できる能力のことを指す。

日本が敵基地攻撃能力を持つためには、中国や北朝鮮に到達できる射程が3000〜5500キロメートルの中距離弾道ミサイル(IRBM)の保有が必要とされる。

◆自衛隊の実力

パート2では、自衛隊の実力を検証している。元陸将補で作家の二見龍さんは、自衛隊は装備品の補給や整備など兵站は不十分で、「このままでは張り子の虎になる」と警告。「戦える部隊」への脱皮を求めている。より実戦を意識し、強い部隊の育成に努めなければならないという。

また、軍事ジャーナリストの清谷信一さんは、「自衛隊は軍隊としてガラパゴス。防衛費増でも国防力は伸びない」と書いている。「防衛省・自衛隊の常識は、国防省・軍隊の非常識」と言っても過言ではない、として、装備品開発の黒歴史について言及している。

予算の無駄遣いの実例を聞くと、防衛費を大幅に増やしても、国防力を増強できるのか疑わしくなる。他国の軍隊並みの「常識」を身につけることを清谷さんは求めているが、「専守防衛」を旨とし、実戦経験のない自衛隊にはリアリティーがなかったのかもしれない。

ビジネス誌としては異例の特集だが、有益な内容だと思った。

■アクティビストの提案で上昇した株

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「週刊エコノミスト」(2022年7月19日号)の特集は、「今こそ仕込む日本株」。インフレや急激に揺れる金融市場だが、目を凝らせば期待できる日本株の銘柄はいくつもあるという。

アクティビスト(物言う株主)などから株主総会で株主提案があった企業のうち、年初から7月4日までの株価の騰落率が日経平均株価を上回った主な銘柄を紹介している。

上昇率が32%とトップの滋賀銀行は、英投資ファンド、シルチェスター・インターナショナル・インベスターズから、大幅な特別配当を求められた。6〜8位の中国銀行、岩手銀行、京都銀行も同様の提案を受けているという。

2位の三ツ星ベルトは、英ニッポン・アクティブ・バリュー・ファンドから取締役の報酬増額や最大58億円の自社株買いの提案を通告されたことが材料となった。

日本に参入しているアクティビストの数は、2014年の7社から今年6月時点で66社まで増えたという。アクティビストの力も借りて経営力を引き上げれば、日本企業には明るい未来があり、今こそが日本株の仕込み時かもしれない、としている。

マネックス証券チーフ・ストラテジストの広木隆さんは、「インフレは賃金上昇の呼び水になり、日経平均株価は年末に3万1000円の高値になる」と予測している。岸田政権の「資産所得倍増プラン」によって家計の預貯金1000兆円がついに動くと見ている。

デフレでは「現金が王様」だったが、インフレの時代になれば、投資教育を受けなくとも、自然とおカネは厳禁から投資へ流れ出すというのだ。1000兆円のわずか1パーセントでも株式市場に流入すれば、莫大な買い主体が生まれることになる。

特集では、経済再開で期待できるレジャーやテーマパークなどの30銘柄のほか、脱炭素や安全保障など「岸田関連」27銘柄を紹介している。

自民党大勝に終わった参議院選の結果を踏まえて、経済政策がどう動くかを見極めたいものだ。

(渡辺淳悦)

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