JFEスチール、「高炉」まずは1基を「電炉」転換へ...CO2排出量削減目指す だが、品質&生産量確保など課題も

鉄鋼大手のJFEスチールが、生産の中核設備である高炉1基を電炉に転換する。二酸化炭素(CO2)の排出量を削減するのが目的だ。大手鉄鋼メーカー3社で高炉の電炉転換は初めて。他社も追随するとみられるが、品質や生産量の確保などの課題もある。

■鉄鋼産業の莫大なCO2削減に向け、JFEは約1兆円投資

2022年9月1日の発表によると、電炉転換するのは西日本製鉄所倉敷地区(岡山県倉敷市)の「第2高炉」。同高炉は、今後5~6年で設備更新に入るタイミングを迎えていた。

「転換」といっても、既存の構造物をそのまま移行するわけではない。第2高炉を更新せずに2027年にも休止し、代わりに大型電炉を建設することになる。

その結果、JFEの国内の高炉は全6基体制になる。これとは別に、仙台製造所(仙台市)の電炉も24年に増強する。

高炉は鉄鉱石と、石炭からタールなどを除いてつくるコークス(炭素)を高熱で化学反応させて鉄を取り出す設備で、大量のCO2が出る。

一方の電炉は、使用済み鉄スクラップ(鉄くず)を電気の炉で溶解して別の製品に仕上げる。そのため、CO2排出量は高炉の4分の1程度とされる。

鉄鋼業界のCO2排出量は、製造業全体の4割近くを占めている。それだけに、高炉以外の生産方法の導入が急務となっており、JEEの今回の電炉転換の理由もここにある。同社は電炉導入などの設備投資に2030年までに約1兆円を投資し、30年度のCO2排出量を13年度比で30%減らすことをめざしている。

他社もさまざまに検討している。

最大手の日本製鉄は、30年度までに、国内に大型電炉をつくる計画がある。神戸製鋼所も、加古川製鉄所(兵庫県加古川市)の高炉を、設備更新を迎える30年代に電炉に切り替えることを含めて検討しているという。

■さらなる環境負荷低減に向け、新技術開発も官民で進む

ただ、課題も多い。

まず、効率性だ。電炉は高炉に比べて、設備が小規模だから効率性に劣る。原料のスクラップの確保を含め、国内の鉄鋼生産量をすべて電炉でまかなうようなことは、とても現実的ではない。

もう一つは品質だ。純度の高い鉄を作れる高炉に比べ、電炉は不純物を多く含む鉄スクラップを原料とするため、とくに自動車向けなどの高級鋼材の製造が難しい。

さらに、電炉が、その名の通り大量の電気を消費することだ。

発電に化石燃料が大量に使われるままでは、電炉がクリーンと単純には言えない。発電の再生エネルギーの比率アップが必要だし、原発の活用の是非も議論の対象になる。

もちろん、新しい技術開発には世界中で官民挙げて取り組んでいる。

天然ガスなどで石炭を使わずに「還元鉄」という製鉄原料を作る技術はすでに実用化されており、JFEも伊藤忠商事を組んで、アラブ首長国連邦(UAE)での生産を目指している。

さらに、鉄鉱石をコークスではなく水素で化学反応させて、鉄を取り出す製法の研究開発も進んでいる。CO2を出さずに高品質な鋼材をつくれるが、こちらは技術的課題が多く、実用化はしばらく先になりそうだ。

大手鉄鋼各社はこうした技術開発、技術進歩の動向をにらみながら、一定程度は高炉を電炉に置き換え、還元鉄とスクラップを併用して品質を維持するなど、さまざまな手立てを組み合わせてCO2削減に取り組んでいくことになる。(ジャーナリスト 済田経夫)

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