モバイルゲームユーザー、「日米」国民性の差が調査結果に現れたなぜ?...担当者に聞いた 「過激なマッチョ」大好き米国、「ストーリー性」「育成」偏愛の日本

コロナ禍で「おうち時間」が増えた分、モバイルゲームにはまった人も多いだろう。もともと日本は、アニメと並んでゲームを世界文化にしてきた国だ。アメリカと日本、どちらがゲームは盛んなのか?

モバイル市場専門の調査会社「MMD研究所」(東京都港区)が、モバイル系ゲームコンテンツの開発・制作・運営会社「アンビション」(東京都豊島区)と共同で2022年9月13日、「モバイルゲームユーザーの日米比較調査」を発表した。

アメリカのほうが、全般的にモバイルゲーム熱が盛んだが、ゲームユーザーの間で興味深い日米の国民性の違いも明らかになった。いったい何か、調査担当者に聞いた。

■「スマホ」中心の日本、「タブレット」「PC」で楽しむ米国

調査は、ともに15歳から59歳の日本在住男女1020人、アメリカ在住男女718人の合計1738人が対象だ。

まず、直近1年以内にモバイルゲームで遊んだかを聞くと、「遊んだ」が日本は60.1%、アメリカは85.5%となった。

次に、モバイルゲームで遊んだことがある人に、使用する端末を聞くと(複数回答)、日本人、アメリカ人ともに「スマートフォン」が95%近くと最も多かったが、「タブレット」と「パソコン」で大きな差が出た。日本人は「タブレット」(15.6%)、「パソコン」(12.7%)と少なかったが、アメリカ人は「タブレット」(53.8%)、「パソコン」(53.3%)と3~4倍の差が開いたのだ=図表1参照。

(図表1)モバイルゲームで遊ぶときに利用する端末(MMD研究所の作成)

これは、日本人が1人で遊ぶのに対し、アメリカ人が大画面で、しかも複数で楽しむからだろうか。のちほど、調査担当者に聞いてみたい。

また、新型コロナ禍で「おうち時間」が増えたわけだが、モバイルゲームの利用が増えたかを聞くと、「増えた」と答えたのは日本人が27.4%、アメリカ人が60.5%と、ここでも日米差が大きく開いた=図表2参照。

(図表2)新型コロナの影響でモバイルゲームの利用頻度が増えたか?MMD研究所の作成)

■「マッチョ系」大好き米国、「育成」人気の日本

続いて、モバイルゲームで遊ぶ1回の平均時間を聞くと、ここでもアメリカ人のほうが長く楽しんでいる傾向が出た。日本人は「30分未満」(35.5%)が最も多く、次いで「1時間程度」(34.6%)、「2時間程度」(17.1%)の順となったが、アメリカ人は「1時間程度」(30.8%)が最も多く、次いで「2時間程度」(20. 6%)、「30分未満」(15.4%)の順となったのだ=図表3参照。

(図表3)モバイルゲームで遊ぶ1回の平均時間(MMD研究所の作成)

直近1年以内に遊んだモバイルゲーム数も、アメリカ人のほうが多かった。日本人は「2個」(22.1%)が最も多かったが、アメリカ人は「10個以上」(20.3%)が最多。歴然とした差が出たのだった=図表4参照。

(図表4)直近1年間で遊んだモバイルゲームの数(MMD研究所の作成)

ところで、日米のユーザーたちはどんなジャンルのゲームを楽しんでいるのか。直近1年で遊んだモバイルゲームのジャンルを聞くと(複数回答可)、日本人は「パズル」(49.7%)が最も多い。

次いで、「ロールプレイング」(24.0%)、「育成」(21.4%)となった。アメリカ人も「パズル」(58.0%)が一番だが、次いで「アクション」(45.9%)、「アドベンチャー」(44.4%)、「シューティング」(40.4%)、「格闘」(37.4%)とマッチョ系が高い割合で続く=図表5参照。

(図表5)直近1年間で遊んだモバイルゲームのジャンル(MMD研究所の作成)

日本人がアメリカ人を唯一上回ったのは、「育成」だけという結果になった。「育成」とはどういうゲームなのか=再び、図表5参照。

■若者中心の日本、中年層も楽しむ米国

モバイルゲームが楽しくて仕方がない!(写真はイメージ)

それにしても、全体的に日本人よりアメリカ人のほうがモバイルゲームで遊ぶ人が多いのはなぜだろうか。調査を担当したモバイル系ゲームコンテンツ開発会社「アンビション」の海外執行役員の大和拓矢(やまと・たくや)さんを取材した。

――日本人もゲームが大好きだし、古くは「バイオハザード」シリーズや、最近でも「ソニック」シリーズのように日本生まれのゲームキャラクターの映画が全世界で大ヒットしています。ハリウッド映画になるケースもあるのに、なぜアメリカ人のほうがゲームにアツイのでしょうか。

大和拓矢さん「この1年間でモバイルゲームを遊んでいる人の割合を日本・アメリカで年代別に見ると次の通りとなりました。

日本:10代73%、20代66%、30代61%、40代54%、50代51%
アメリカ:10代88%、20代89%、30代86%、40代84%、50代80%

どうやら日本のゲームで遊ぶ人は、若年層がメインになり、年齢が上がるにつれてゲームに触れていない傾向がありました。アメリカでは、中年層のプレイヤーも多く、そこが日本とアメリカでのモバイルゲームで遊んでいる人の差につながったのではないかと推測できます。
おっしゃる通り日本発のゲームがハリウッド映画になるケースもありましたが、据え置き機タイトルとモバイルタイトルとは全く異なると考えます。日本のモバイルゲーム発となると、(ハリウッド映画は)ないと記憶しております。近年マルチデバイス(PC、スマホ、据え置き)でプレイできるゲームが増えたりしてプレイ環境の変化も一因としてあると感じています」

■外出禁止令が出た米国、ゲームを楽しむしかなかった

親子で楽しめるのがモバイルゲームのいいところ(写真はイメージ)

――日本人はスマホ中心でゲームを楽しんでいますが、アメリカ人は大きな画面のタブレットとパソコンが多いのはなぜでしょうか。日本人は1人で楽しみ、アメリカ人は複数で楽しむということですか。

大和さん「別の調査になりますが、タブレットやPCの所有率を日本とアメリカで比較すると、アメリカのほうが圧倒的に高いのです。デバイスの所有率の差が、どのデバイスでゲームを遊ぶかどうかにも反映されていると推測されます」

――新型コロナの影響でモバイルゲームをやる人が増えたのも、アメリカのほうが2倍以上多いですね。日本も「おうち」にこもった人が多かったはずです。何か、ゲームに対する基本的な考え方に日米差がある気がします。

大和さん「これは推測の域ですが、日本では緊急事態宣言下でも強制的に外出を禁止する命令はありませんでしたが、アメリカでは外出禁止令が出されています。そうした環境要因が大きいと考えられます。できることがかなり限られたため、ゲームの頻度が上がったのだと思います」

――なるほど。しかし、持っているモバイルゲームの数も圧倒的にアメリカのほうが上ですよね。課金の額もアメリカ人のほうが高いという結果が出ました。このあたり、何かお金のかけ方が日米では違う気がします。

大和さん「ゲームに触れている時間がアメリカのほうが長かったり、年代を問わずゲームを楽しんだりしている部分が現れているのだと思います。課金の額に関しては、アメリカでは外出禁止令などもあり、消費先がサブスクやゲームなどに偏ったのではないでしょうか」

■銃文化の米国と違い、日本はストーリー性、目的、意義求める

銃社会のアメリカ人はアクションゲームが大好き(写真はイメージ)

――好きなゲームのジャンルですが、アメリカ人は「アクション」「シューティング」「格闘技」「レーシング」「ホラー」とマッチョ系がものすごく好きですね。
それに比べて、日本人はおとなしいです。これは国民性の違いでしょうか。すべてのジャンルでアメリカに負けている感もあります。とくに、日本人らしさが出ていると感じられるのはどのジャンルなのでしょうか。

大和さん「アメリカは銃文化の社会ですから、過激なゲームが昔から好まれているのです。リアルな描写のFPSタイトル(First-person shooter、対戦ゲーム)などです。データ的にも、日本人はゲームにストーリー性を求める傾向にあり、同じバトルものでも戦う意義や目的をアメリカより重視する傾向があります。
今回の調査では、ただ1つ『育成』ゲームのジャンルがアメリカ人を上回っていました。これは、スポーツチームを強化して勝利に導いたり、ドラゴンが少女を助けて王女にしたり、ゲームにストーリー性があるものです。また、デフォルメ調のRPG(Role-Playing Game、ロールプレイング)が一番人気なのが、日本人らしいなと感じています。RPGはプレイヤーの演じるキャラクターの成長を特徴としていますから。
今回、日米ユーザーがゲームに求めることの違いにも驚きました。アメリカ人よりも日本人のほうが求める割合が大きかった項目は次の通りです。『グラフィッククオリティ』『キャラクターデザイン』『キャラクター設定』『ストーリー性』『操作性が高い』『最先端の技術』。このあたりに、日本人の国民性が表れている気がします」

――最後に、あなたの好きなゲームは何ですか。

大和さん「ここ3年以内のアプリでは、コーエーテクモゲームスの『三國志 覇道』ですね。操作性、戦略性、マネタイズ面ともクオリティがとても高いです」

なお、調査は、日本在住者は2022年8月3日~8月7日に15歳から59歳までの男女1020人、アメリカ在住者は同8月10日~8月17日に同じく15歳から59歳までの男女718人にアンケートを実施。そのうち、モバイルゲームを行っている日本在住者580人とアメリカ在住者567人に集中的に聞いた。

(福田和郎)

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