加速するメガバンク×ネット証券大手の連携...ただし、主導権はネット大手側にある裏事情

金融分野をめぐり、メガバンクとネット証券大手の連携が加速している。若年層などネットネイティブ世代を取り込みたいメガバンクに対し、ネット大手はメガバンクの分厚い顧客基盤を狙ってしたたかに立ち回る。連携の行方は?

みずほ証券&楽天証券HD、資本業務提携...みずほにとっては「渡り船」

みずほフィナンシャルグループ(FG)は2022年10月7日、傘下のみずほ証券が楽天証券ホールディングス(HD)と資本業務提携し、楽天証券HDが保有する楽天証券の株式の約2割を800億円で取得すると発表した。

みずほ証券はすでに、ソフトバンクと共同でペイペイ証券を運営。さらに楽天証券を取り込むことで、ネット証券分野で攻勢を強めるねらいだ。

携帯電話事業の苦戦で資金不足に陥った楽天グループが、楽天証券に対する出資者探しを始めたのは22年7月ごろ。複数の大手金融機関に打診があった模様だが、もっとも熱心だったのがみずほだった。

みずほでは2021年2月以降、現金自動受払機(ATM)が停止してキャッシュカードが戻らなくなるなどシステム障害が頻発。金融庁から業務改善命令を受け、社内の立て直しに追われていた。

この間、ライバルは着々とデジタル戦略を加速してきた。

三菱UFJFGはKDDIと組んでauカブコム証券を展開。三井住友FGは22年6月、銀行や証券を傘下に持つSBIHDへの出資を発表した。ライバルの動きに焦りを強めていたみずほにとって、楽天証券への出資は「渡り船」(みずほ関係者)だったといえる。

■「どのネット証券と手を組むか」...メガバンク、今後の生き残りへのカギ

金融分野はこれまで3メガバンクグループの独壇場だった。証券でもそれぞれが傘下に三菱UFJモルガン証券、SMBC日興証券、みずほ証券という大手証券会社を持ち、その存在感は絶大だった。

しかし、デジタル化の流れの中で、業界地図は大きく塗り変わろうとしている。ネットネイティブ世代をとらえたネット証券各社の口座数は、メガバンク傘下の証券会社を大きく上回っている状況だ。

さらに、ソフトバンクグループのPayPay(ペイペイ)など決算分野でもネット大手の存在感は増しており、メガバンクにとって「どのネット大手と手を組むか」が今後の生き残りをかけた戦略のカギとなっている。

こうした流れだけに、ネット大手側はしたたかだ。今回、みずほと手を組んだ楽天グループはもともと、三井住友FGと近い関係にあった。

証券では有利な条件を出したみずほと手を組んだものの、楽天証券へのみずほの出資比率は2割にとどめ、経営権は握らせていない。

それはSBIHDも同様だ。SBIはみずほと関係が深かったが、資本業務提携先に選んだのは三井住友FGだった。ネットネイティブを中心とした顧客層を「えさ」にメガを選別する一方で、出資を1割にとどめることで主導権を明け渡さない戦略だ。

「メガには我々にはない顧客基盤と、支店網など営業手段がある。それを利用できるようになるメリットは大きい」

ネット大手幹部はこう解説する一方で、提携先選びついてシビアな見方を隠さない。

「ネットをよく使う層に、メガはアクセスできていない。主導権は我々にある。どこと組めば有利になるかじっくり品定めすればいい」

メガバンクとネット大手の離合集散・合従連衡は、金融業界のメインプレーヤーを一変させる可能性すらはらんでいるといえそうだ。(ジャーナリスト 白井俊郎)

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