コロナ禍で売れたのは? 2020年上半期ヒット商品TOP10をマーケの専門家が番付!

コロナ禍で売れたのは? 2020年上半期ヒット商品TOP10をマーケの専門家が番付!

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未知のウイルス、新型コロナウイルスが世界的に猛威を振るった2020年。世界経済は混乱を極め、まだまだ収束の兆しも見えませんが、新型コロナウイルス感染症の拡大によってビジネスは大きな変化の波にさらされました。飲食店業界や航空業界など感染症の拡大を懸念して需要が急速に冷え込んだ業界がある一方で、新しい生活様式の影響で大きく売り上げを伸ばす商品も出てきました。

ここでは、米国ビジネススクールでマーケティング理論を学び、経営コンサルティング企業の代表を務める筆者が、新型コロナウイルスに大きく振り回された中での2020年上半期のヒット商品をランキング形式でお届けしていきます。


■第10位:エクササイズ商品・ダイエット商品
まずは第10位から。第10位はエクササイズ商品・ダイエット商品です。

2020年4月7日に東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に緊急事態宣言が発出され、4月16日には対象が全国に拡大されました。緊急事態宣言下で人々は外出自粛を余儀なくされ、自宅で過ごすことが多くなったために、運動不足に陥る人が続出。自宅で手軽に運動不足を解消できるエクササイズ商品が飛ぶように売れました。

同じような理由で、有名アスリートなどが自宅で手軽にできる運動を紹介したYouTube動画なども爆発的な再生回数を記録しています。

また、自宅で運動もすることなく過ごした結果、“コロナ太り”で体重が増える人も多くなり、痩せるためのダイエット関連商品も売り上げを大きく伸ばした商品といえます。


■第9位:納豆
続いて第9位は納豆です。新型コロナウイルス感染症のパニックの中で真偽が不確かな情報がSNSを中心に拡散され、消費に大きな影響を与えました。その中の一つの商品が納豆であり、仕入れるたびに買い占めが起こり、スーパーなどの店頭から姿を消す時期もありました。

スーパーに行っても納豆のコーナーには商品がまばらでなかなか購入できなかった経験をした方も少なからずいることでしょう。これは『納豆がコロナに効く』という真偽不明の情報がSNSを通して多くの人の間で共有されたことによります。

事の発端は、2020年1月30日に国立がん研究センターが「発酵性大豆食品の摂取量が多いほど総死亡リスクが低い可能性が明らかになった」という調査結果を発表したことですが、その後2月上旬には民放テレビで納豆による免疫力アップの効能を特集した番組が放送されたことで『納豆=健康にいい』というイメージから『納豆=コロナに効く』という真偽不明の情報にすり替わり、“コロナ予防”として納豆を買い求める消費者がスーパーに殺到したのです。

余談ではありますが、同じように真偽不明の情報で店頭から姿を消した商品としてトイレットペーパーが挙げられます。これも「コロナの影響でトイレットペーパーやティッシュペーパーの生産が滞り、品薄になる」という誤った情報がSNSを中心に拡散されたことに起因します。

その後もSNSで店頭から消えたトイレットペーパーの棚の写真がシェアされたり、テレビの情報番組で大々的に取り上げられたりすることで「今購入しておかないと価格が上がったり、手に入らなくなったりするかも」という疑念が膨らみパニック買いを加速させることとなりました。


■第8位:カップラーメン(保存食)
新型コロナウイルスの第一波が猛威を振るう中、納豆やトイレットペーパーなどと同じくスーパーの店頭から姿を消した商品がありました。それはカップラーメンや袋入りラーメン、レトルト食品、冷凍食品などの保存のきく商品です。

緊急事態宣言が発出され、学校が休校になったり、自宅で仕事をするようになると、外出自粛と相まって、1日3食を自炊しなければならない家庭も多くなりました。そこでインスタント食品や冷凍食品は手軽に調理できるうえに保存もきくので買い物の回数を減らせるということでまとめ買いする消費者も多くなって、お店の棚から姿を消すほど品薄になったのです。

また、学校が休みとなった際に、子供が一日中家にいる家庭はおやつとしてのお菓子の購入量が増えたため、全体的なお菓子の売り上げがアップしたという傾向も見られました。


■第7位:Zoom(リモート会議システム)
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で密閉、密集、密接という“三密”を避けるために参加者が会議室に集まる従来の会議方法が改められ、パソコンを活用したリモート会議システムが急速に普及してきました。

その中でも『Zoom』と呼ばれるシステムは多くの利用者を獲得しています。新型コロナウイルスが猛威を振るう前と後でそのユーザー数を比較すると、2019年12月には1000万人のユーザー数が、2020年3月には2億人と実にわずか3カ月で20倍もの成長を遂げています。

Zoomはオンライン会議などビジネス利用だけでなく、自宅に居ながらにして友人や知人とバーチャルで飲み会を開催する“Zoom飲み会”などで活用されるなど、その利用範囲を広げて益々私たちの生活の中に浸透してきています。


■第6位:パソコンおよび周辺機器
自宅からZoomなどを使ってリモート会議にアクセスするためにパソコンを買い替えたという消費者も多く見受けられました。実際のデータで比較してみると、IT専門の調査を行うIDC Japanが発表した日本国内におけるパソコンの出荷台数は、2020年の4月から6月にかけて特に家庭での伸びが著しく159万台と、前年同期比40.7%増という驚異的な売り上げを記録しています。

パソコンに加えて、カメラやマイクといったリモート会議に必要となる周辺機器も手に入りにくくなる状況が続き、価格が高騰するなどといった状況も見られました。


■第5位:Netflix(定額動画配信サービス)
外出自粛が続き、自宅にいる時間が長くなると自宅での時間を潰す需要が高まってきます。このニーズに合致して利用者を増やした商品の一つが自宅で好きな時間に好きな動画が見放題の動画配信サービスです。

日本でも事業を展開する世界的な定額動画配信サービス『Netflix』は2020年1月から3月までの期間で世界での会員数を1577万人増やし、売上高は前年同期比28%増、純利益に至っては同比210%増を達成しています。4月から6月までの期間においても引き続き業績は好調で、会員数は3月末から1009万人増え、期間の売上高、純利益ともに過去最高を記録しています。

またNetflixばかりでなく、今や定額で動画見放題のサブスクリプションサービスはAmazon Prime VideoやHulu、U-NEXTなど多くの企業が提供しており、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による“巣ごもり消費”と相まってその利用者数を増やしています。


■第4位:あつまれどうぶつの森
任天堂が2020年3月20日に発売したNintendo Switchのゲームソフト『あつまれどうぶつの森』はわずか16日間で300万本を超えるセールスを記録するなど驚異的なヒット商品となりました。これは新型コロナウイルス感染症拡大の影響で外出自粛期間が長引いたことに加えて、そのゲーム自体の魅力的なシステムが挙げられます。

『あつまれどうぶつの森』では、ユーザーが無人島で生活する主人公になって島を開発したり、村のどうぶつたちと交流したり、さまざまな季節行事に参加したりと無人島でのスローライフを仮想体験することができるのが人気の秘訣です。例えば10月であればハロウィーンのイベントを開催するなどユーザーを飽きさせない仕掛けを次々に提供しています。

ストレスの溜まる外出自粛期間で『あつまれどうぶつの森』をプレイしたユーザーからは「ゲームに癒された」などの好意的な意見が多く寄せられ、『あつ森』の愛称で親しまれています。


■第3位:非接触型体温計
第3位は非接触型の体温計です。新型コロナウイルス感染症の症状として咳や発熱が認められるため、体温を測ることは感染を発見する一つの方法といえます。体温計の中でも非接触型のタイプは瞬時に体温が測ることができるため様々な場所で活用されています。

家庭はもちろんのこと、病院やイベント会場の入り口など、多くの人が出入りする場所では新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ意味で検温を行って、平温の場合のみ入場が許可されるといった具合です。このような体温計も商品によっては入手困難な状況が続いています。


■第2位:アルコール消毒液
アルコール消毒液も新型コロナウイルス感染症が広がるにつけ入手しづらくなった商品です。今では家庭や学校、会社、病院、飲食店、商店、官公庁など至る所でアルコール消毒液が設置されていますので、手指の消毒を行ってから入ることが習慣になっていることでしょう。

このアルコール消毒液も緊急事態宣言が発出される前後から需要が急激に高まり、生産が追い付かずに入手困難な状況が続きました。代用品として次亜塩素酸水や界面活性剤の入った洗剤も売れるなど、人々の消毒意識の高まりから除菌効果のある商品の売り上げが大きく伸び、中には店頭から姿を消す商品も見受けられました。


■第1位:マスク
2020年上半期に最も売れたとインパクトを残した商品といえばマスクをおいて他にないでしょう。新型コロナウイルスの感染が急速に拡大するとマスク需要が急拡大。入手困難となり、それまで50枚入り数百円で購入できていた使い捨てマスクが数千円という高値で販売される異常事態となりました。

このマスクが市場に極端に不足する状況から異業種が続々マスク生産に参入。例えば家電メーカーのシャープは三重県の多気工場でマスクの生産を行うと発表しました。4月からの販売を抽選制にしたところ、価格は1箱50枚入りで税抜き2980円+送料660円と高めの設定にもかかわらず、販売予定数量3万箱に対して470万人以上が応募するという予想を上回る加熱振りでした。

その後もスポーツ用品のMizunoやユニクロもマスクの販売を開始すると入手困難となるほどの人気となりました。今では機能性だけでなくファッション性も兼ね備えたマスクも市場に出回るなど、マスクマーケットは拡大を続け定着してきた感があります。


■【総括】2020年上半期のヒット番付を振り返って
2020年上半期のヒット商品を振り返ってきましたが、冒頭でもお伝えしたように上半期は新型コロナウイルスに振り回された感のあるランキングとなりました。新型コロナウイルス感染症の拡大で世の中に大きな変化が起こり、爆発的に売れた商品もありましたが、逆に口紅などの化粧品や航空チケットやパック旅行など大きく売れなくなった商品も現れました。

このような社会の大きな変化の下では、企業にとって業績を維持、成長させるためには環境の変化を敏感に感じ、プロダクト戦略をしっかりと練らなければ、最悪“コロナ倒産”の憂き目にあう状況に追い込まれることも十分に考えられます。

2020年の下半期も企業にとっては“ウィズコロナ”、“アフターコロナ”を見据えて経営の難しい舵取りが続くと予想されます。
(文:安部 徹也(マーケティング戦略を学ぶガイド))

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