その敬語、大丈夫? 乱れてる? 新入社員じゃなくても注意したい敬語と正しい伝え方

その敬語、大丈夫? 乱れてる? 新入社員じゃなくても注意したい敬語と正しい伝え方

新入社員でなくとも間違いやすい敬語。皆さんは、敬語の使い方に自信がありますか? 間違って使われることが多い敬語の具体例と正しい使い方の例をご紹介します。

毎年この季節になると、新入社員の間違った敬語が話題になります。しかし、間違った敬語を使ってしまうのは、新入社員だけに限りません。みなさんは自分の敬語に自信はあるでしょうか。

間違った敬語の中には、もはや間違った使い方が一般的になったものもあります。「間違った使い方をしたら絶対にダメ」というわけではありませんが、知らないと恥ずかしい誤用もあります。この機会に間違いやすい敬語について確認してみませんか?


■「最近、敬語が乱れている」は、昔からある現象
文化庁が発表している国語の世論調査によると、国語の乱れを感じている人は全体の6割を超えており、「どのような点で乱れていると思うか」という質問に対する回答で最も多いのが敬語の乱れだそうです(令和元年「国語に関する世論調査」)。

参考:図解で見る「国語に関する世論調査」

「最近、敬語が乱れている」というのはよく耳にするフレーズですが、敬語は本当に「最近」乱れてきたものなのでしょうか。国会図書館で過去の文献を調べてみたところ、1966年に出版された本にも「最近、敬語が乱れている」という一文がありました(「正しい敬語:あなたは言葉で評価される」大石初太郎著)。

「最近の若者は……」というフレーズが昔から使われていたように、言葉の乱れと感じられるものは昔から存在しているのでしょう。

言葉の乱れが全て悪いわけではありませんし、言葉の変遷に近いものもあります。例えば「敷居が高い」という表現は、本来「不義理をしてしまって行きにくい」という意味の言葉でした。しかし「高級過ぎて行きにくい」という意味で使われることが一般的になり、遂には広辞苑にも「高級過ぎて行きにくい」という意味が追記されました。

敬語でも間違った使い方が一般的になり、現在は使用しても問題ないとされているものがあります。例えば「とんでもございません」という言い回しには、みなさんも馴染みがあると思います。「とんでもない」という言葉は、それだけで1つの形容詞です。その一部だけを変える「とんでもございません」は誤用とされてきました。しかし文化審議会の指針で問題がないと発表されて以降市民権を得ています。

今、もし皆さんが間違った敬語の使い方をしていたとしても、それは将来、一般的になるかも知れません。恥ずかしく思い過ぎる必要はありませんし、間違って使っている人に厳しく指摘するのも避けたほうがよいでしょう。

とはいえ、このような前提でも、「あれ?」と思われてしまうような敬語を使ってしまうのは恥ずかしいと感じる人は多いと思います。間違って使われることが多い敬語と正しい使い方を見ておきましょう。


■あなたは気になる? 文化庁の調査対象になった「言い方が気になる敬語」
文化庁の「国語に対する世論調査」(令和元年度)で、言い方が気になるかどうかの対象になっていた敬語は以下の8つです。皆さんは、この言い方が気になるでしょうか。参考までに「気にならない人」の割合と、正しい例も紹介します。

1)「先生は講義がお上手ですね」 気にならない 67.6%
正しい伝え方例:「先生の講義は素晴らしいですね」

2)「就職はもうお決まりになったのですか」 気にならない 59.5%
正しい伝え方例:「就職はもうお決まりになりましたか」

3)「誠に申し訳なく、深く反省させていただきます」 気にならない 51%
正しい伝え方例:「誠に申し訳ございません。深く反省しております」

4)「規則でそうなってございます」  気にならない 18.5%
正しい伝え方例:「規則でそうなっております」

5)「昼食はもう頂かれましたか」 気にならない 32.5%
正しい伝え方例:「昼食はもう召し上がりましたか」

6)「お客様が参られています」 気にならない 22.6%
正しい伝え方例:「お客様がお見えになりました」

7)「お歩きやすい靴をご用意ください」 気にならない 22%
正しい伝え方例:「歩きやすい靴をご用意ください」

8)「こちらで待たれてください」 気にならない 18.7%
正しい伝え方例:「こちらでお待ちください」

皆さんはどの言い方が気になったでしょうか。続いて、一般的に間違いやすいと言われる敬語についても見ておきましょう。


■使うのはNG? それともOK? 「させていただきます」問題
敬語の誤用としてよく話題になるのが「させていただきます」という表現です。「間違った表現であると知ったので使わないようにしている」という人もいれば、「使い続けている」という人もいると思います。

結論から言うと「させていただきます」は、正しい敬語になる場合と、誤用になる場合がある言い回しです。よくある間違いとして、文化庁の動画で紹介されていた具体例をご紹介しておきましょう。

間違い例1)
×「それでは、これから研究発表をさせていただきます」

間違い例2)
×「新郎と同じクラスで勉強させていただいたものです」

「させていただきます」が使えるのは、「許可」と「恩恵」の2つの条件を満たしているときとされています。具体例をご紹介いたします。

正しい例1)
〇「同行させていただいてもよいでしょうか」

正しい例2)
〇「お言葉に甘えて、火曜日に変更させていただきます」

許可と恩恵の2つの条件を満たすかどうかの判断が難しいという人は、基本的に「させていただきます」は使わないようにするのがおすすめです。丁寧に話そうとするあまり、乱発してしまう人がいますが、聞いている方は違和感を抱いてしまうことも多い言い回しです。敬意を表したいときは、敬語だけでなく、表情や所作など非言語の部分で丁寧さをプラスすればよいでしょう。


■新入社員でなくても間違いやすい敬語と正しい使い方
新入社員でなくても間違えやすい敬語をご紹介しておきます。間違って使っていたものはありますか。

×「了解しました」
〇かしこまりました

×「山田は本日お休みをいただいております」
〇「山田は本日休みをとっております」

×「ご覧になられる」
〇「ご覧になる」

×「どちらにいたしますか」
〇「どちらになさいますか」

「敬語は面倒」「わかりにくいので苦手」という人もいますが、初めてあった人やビジネスシーンでは敬語を使う日本人にとって、敬語は避けられないものです。ときどきチェックしながら、必要な場面では正しい敬語を使えるようにしておくとよいでしょう。
(文:藤田 尚弓(話し方・伝え方ガイド))

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