楽天が携帯電話の使用料を大幅に下げる? 三木谷浩史が目指す「日本発のモバイル革命」とは

楽天が携帯電話の使用料を大幅に下げる? 三木谷浩史が目指す「日本発のモバイル革命」とは

三木谷氏

「我々が実現した『完全仮想化クラウドネイティブネットワーク』は、世界初の技術で、これによって『日本発のモバイル革命』を起こせます」

 こう豪語するのは、楽天の三木谷浩史会長(54)だ。

 楽天は、今年10月にNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの“3メガ”に次ぐ「第4のキャリア」として携帯電話事業に参入する。従来の「楽天モバイル」は他社から通信回線を借り受けていたが、遂に自前の回線を持つ通信事業者(キャリア)となるのだ。

 だが、その前途には不安の声が絶えない。というのも、「キャリア事業には莫大な設備投資が必要」という“常識”があるからだ。

 たとえば、ドコモは第四世代携帯電話(4G)への移行に4兆円近くを投じた。ところが、楽天が予定している設備投資額は約6000億円。市場の懸念を反映してか、キャリア事業参入表明直後、楽天の株価は約1割下落した。

 冒頭のように自信をのぞかせる三木谷氏だが、楽天のキャリア事業参入に勝算はあるのか? ジャーナリストの大西康之氏が三木谷氏を直撃した。

■「仮想化」という画期的技術

――「設備投資額が物を言う」と言われるキャリア事業ですが、楽天の設備投資額は、他の“3メガ”の5分の1以下を予定しています。「大丈夫なのか?」という不安の声もあります。

三木谷 設備投資額が少なくて済むのは、むしろ我々の強みです。楽天がやろうとしているのは「携帯電話の民主化運動」。これを可能にしたのが、世界初の技術「完全仮想化ネットワーク」による通信ネットワークのオープン化です。

 三木谷氏が語る「完全仮想化ネットワーク」の概要をまとめたのが図1だ。従来型の通信ネットワークでは、キャリアが通信機器メーカーに外注して自分たちのネットワーク専用のハードウェア(「専用ハード」)を作る。いわばオーダーメイドの機器だ。こうした高価な専用機器を全国の基地局に置くため、膨大なコストがかかる。

 一方、今回、楽天が世界で初めて導入する方式では、専用ハードの主要な機能をソフトウェアが代替する(これを「仮想化」という)。高価な専用ハードは不要で、いわゆる汎用機(「汎用ハード」)、どこにでも売っているサーバーで済んでしまう。A社のハードが駄目ならB社、B社が駄目ならC社。どのメーカーの製品でも使えるオープンな仕組みだ。

 三木谷氏は、これを「携帯電話の民主化運動」と呼ぶ。そして、大幅に下げられた設備投資額は、携帯電話の利用料金にも反映できるという。

■通信障害は起こらない?

――ただ、低料金でも安全性はどうですか? 昨年もソフトバンクの携帯で、広域で長時間にわたる通信障害が起き、問題となりました。

三木谷 あれは交換機(ハード)のソフトウェアの不具合が原因と聞いています。通信事業者からすると、通信機器メーカーが提供した専用ハードの中身は、いわば“ブラックボックス”。自分たちでは直せない。修理は、専用ハードのメーカーに頼むしかない。だから時間がかかる。不具合が起きても、他のハードに簡単には代替できない。専用ハードに依拠したネットワークは、トラブルに弱いと言えます。

――楽天の方式では不具合は起きないのですか?

三木谷 可能性は、もちろんゼロではありません。ただ、仮に不具合が起きても、瞬時に予備ソフトへ切り替え、サービスを中断することなく提供できます。プログラムのバグも早期に発見でき、迅速に対応できます。ここに完全仮想化ネットワークの強みがあります。専用ハードに依拠したネットワークよりも、リスクを減らせるのです。

 このほか「完全仮想化ネットワーク」の料金や安全面に加え、開発を主導した技術者チームの存在、次世代通信システム「5G」の展望についても三木谷氏が語った「日本発『世界モバイル革命』を起こす」は、 「文藝春秋」5月号 に全文掲載されている。

(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2019年5月号)

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