野村ホールディングスの“モーレツ”離れ 新入社員からは「普通の会社なので拍子抜け」

野村ホールディングスの“モーレツ”離れ 新入社員からは「普通の会社なので拍子抜け」

永井氏は「厳しい環境、一過性ではない」 ©共同通信社

 4月4日、新たな構造改革策を発表した「野村ホールディングス」。永井浩二CEO(60)によれば、18年3月期実績に比べ、1400億円のコストを削減するという。

「社員の増資インサイダー事件で当時の渡部賢一CEOが辞任したのを受け、永井氏が後継者に抜擢されたのは12年のこと。若返りを求める声もありましたが、あの“大タブ”こと田淵節也元社長を超える在任8年目に突入しました」(メガバンク関係者)

 だが、永井氏を取り巻く環境は厳しい。直近の18年4〜12月期決算で7年ぶりの最終赤字(▲1012億円)に転落。08年に買収したリーマン・ブラザーズの収益が上がらず、のれん代の減損処理を行ったことなどが主因だ。「(少子高齢化などで)伝統的な投資銀行ビジネスは崩壊しつつある」と危機感を露わにした永井氏。そこで、リーマン買収で築いた欧州でのトレーディング事業を大幅縮小し、コストの半減を決めた。

「その余力を中国の富裕層ビジネスに振り向ける方向ですが、リスクが大きい。とりわけ金融の主戦場である欧州市場でのプレゼンス低下は避けられません」(同前)

■“ノルマ証券”から脱却。急速に進む“モーレツ”離れ

 業界の“ガリバー”野村を苦しめるのは、海外事業だけではない。最大の問題が、

「政府が推し進める働き方改革です」(野村関係者)

 野村と言えば、“ノルマ証券”と皮肉られるほど、徹底的な戸別訪問や電話営業を武器に顧客を開拓してきた。その拠点が駅前など一等地に構えてきた国内店舗だ。同業他社を圧倒するそのノウハウは脈々と受け継がれてきたが、今回、3年間で首都圏中心に2割、30店以上減らす“荒療治”に踏み切った。

「野村では急速に“モーレツ”離れが進んでいます。働き方改革アクションプランを公表し、残業時間などを『KPI』という指標で“見える化”してきました。今では、新入社員から『定時に帰れと上司にせかされる。あまりに普通の会社なので拍子抜けした』という意見も聞かれるほど。過去を懐かしむ声もありますが、もう逆戻りすることはできません」(同前)

 永井氏の口癖は「野村の社長は時代が選ぶ」。働き方改革が何より重視されるこの時代、野村のビジネスモデルは岐路に立たされている。

(森岡 英樹/週刊文春 2019年4月18日号)

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