EDISTORIAL STORE完成!柔軟に、無理なく広がってゆく「再生」の輪 スタイリスト・小沢宏のやり方(第4回)

EDISTORIAL STORE完成!柔軟に、無理なく広がってゆく「再生」の輪 スタイリスト・小沢宏のやり方(第4回)

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文・写真=青野賢一

 スタイリスト・小沢宏さんが、故郷である長野県上田市に自身の店「EDISTORIAL STORE(エディストリアル ストア)」を構える過程を追う全5回のシリーズ記事。第4回は長野に赴いて取材を行った。お話を伺ったのは前回の記事でも少し触れた#残反ショッパープロジェクト(ブランドや企業から無償提供してもらった残反や残布をショッピングバッグとして活用する取り組み)の縫製を担当するフレックスジャパン株式会社。そして開店に向けて準備が着々と進む「EDISTORIAL STORE」の様子も併せてご紹介しようと思う。

老舗シャツ・メーカーが#残反ショッパープロジェクトにかかわるまで

 東京駅から北陸新幹線に乗車して1時間40分ほどで長野駅に着く。北陸新幹線は駅間がそれほど長くないというのもあって、長野駅は想像以上に近い印象だ。そこからしなの鉄道に乗換え、のどかな景色を眺めながら進むこと数駅。フレックスジャパン株式会社のある屋代高校前駅に到着した。

 フレックスジャパン株式会社は1940年設立のシャツ・メーカー。その前歴は江戸時代の繊維商「加納屋商店」という長い歴史を持つ会社だ。この日にお邪魔した長野県千曲市の本社のほか、国内には東京支社、大阪営業所、そして海外にも工場を有している。今回は常務取締役の宮下靖さん、生産統括本部と本社工場の責任者の小山幹人さん、生産統括本部 生産事業部 本社工場開発チームの堀内恵理香さんにお話しいただいた。

 まず、フレックスジャパンと小沢さんの接点を伺ったところ、そのきっかけは〈TRANS CONTINENTS〉の仕事だったという。1990年にセレクトアイテムとオリジナル商品という構成でスタートした〈TRANS CONTINENTS〉は、紆余曲折を経て2014年よりはるやま商事株式会社がライセンス展開を行うこととなった。この新生〈TRANS CONTINENTS〉のクリエイティブディレクターを務めたのが小沢さん。そしてフレックスジャパンは一部商品の製造元であった。

「今の取り組みとはまったく違うものですが、このときに初めて小沢さんとお会いしました」と宮下さんは当時を振り返る。「もちろんお名前やお仕事は存じあげていましたが、上田のご出身というのはお会いして知りましたね。今回のプロジェクトについては去年の秋、冬あたりにお話をいただきました」(宮下さん)。

「小沢さんが上田にお店を出されるにあたり、そこでのショッピングバッグについて協力いただけないか、という話が営業担当から我々生産の方にきまして。ひとまずサンプル製作でしたらできますよ、とお手伝いをさせてもらっていたのですが、やっていくうちに話が盛り上がって、結果、いろいろなところから提供してもらった生地を使って弊社が生産を担うことになりました」と小山さん。本格的に生産がスタートしたのは今年に入ってからだそうだ。

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生活スタイルの変化とシャツ業界の動向

 フレックスジャパンはシャツが主軸商品だが、このプロジェクトで扱うのはバッグ。そのあたりについて宮下さんは「昨今のオフィス・ウエアのカジュアル化やコロナの影響もあって、シャツ業界は縮小傾向です。そんななか何ができるのかといろいろチャレンジしていたところでしたのでまったく抵抗はなかったですね。実際、何年か前から『バッグを作れないか』という話は少しずつですがありまして、去年は帆布を使ったものなども手がけました。幸い社内にアイデアを出せる人間がいたり、厚手の生地でも縫える設備を導入していたりということがあったので、今回のプロジェクトもスムーズに進めることができています」という。

 これは余談だが、オフィス・カジュアルが浸透してきたところにコロナ禍が訪れたことで「少し前からあった脱スーツという流れではシャツ業界の下げ幅はスーツ業界に比べたら少なかったのですが、コロナの影響からリモートワークが定着したことでワイシャツの洗い替えが不要な生活スタイルになった方が増えました。それによって白などの定番商品の売上点数はぐっと下がりましたね。これによってシャツ業界は打撃を受けているのですが、クリーニング業界はさらに大変だと聞きます」(宮下さん)。

 なるほど、コロナ前は何枚も取っ替え引っ替え着てはクリーニングに出すのが当たり前だったワイシャツが、いまやそれほど着数が必要ではなくなったため、クリーニング業界が間接的に影響を受けているとは気づいていなかった。

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