幕末の武士が灼熱のパナマで知った氷入り葡萄酒の味 『開成をつくった男、佐野鼎』を辿る旅(第16回)

(柳原三佳・ノンフィクション作家)

 今年の夏も猛暑日続きでした。ここ数年で夏期の最高気温はどんどん上昇し、今年は新潟県中条の40.7度をはじめとして、日本海側で40度を超える高温を記録した地域が多数出ています。

 私が子どもの頃の夏休み(昭和の時代です)は、たまに30度を超えただけでも「すご〜い!」と驚いていた記憶があるので、昭和、平成、令和と時を重ねる中で、いかに地球温暖化が進んでいるかがよくわかります。

江戸時代は小氷期で涼しかった

 では、「開成をつくった男」佐野鼎(さのかなえ)が青年期を過ごした幕末の気候はどうだったのでしょうか?

 当時の日本には、現在の気象庁のように公式に気温を計測する機関がなかったので、残念ながら詳細なデータは残ってないのですが、文献をいろいろひも解いてみたところ、江戸時代は小氷期にあたり、今とは違って夏でもかなり涼しかったようです。

 佐野鼎が「万延元年遣米使節」の一員としてアメリカへ渡った1860年は、ちょうど小氷期が終了する時期にあたり、夏には一時的に高温になる日もありました。それでも最高気温が30度を超えることはほとんどなかったようです。

 そんな過ごしやすい時代に生きていたサムライたちにとって、初めての海外渡航で体験した赤道付近の暑さは、やはりかなり過酷なものだったようです。

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